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研究成果等の刊行

No.43(2011.11)

「学士課程教育改革の現状と課題」

講演者:杉谷 祐美子、串本 剛、濱名 篤

はじめに

私学高等教育研究所主幹 瀧澤 博三

 中教審答申「学士課程教育の構築に向けて」が公表されて3年が経ちました。私学高等教育研究所では、2009年度から研究プロジェクトの一つとして「私学学士課程教育における“学士力”育成のためのプログラムと評価」をテーマとした研究を行なっていますが、2010年には、この研究の一環として、学士課程教育の具体的展開について調査するため、全国の国公私立大学の学科長を対象とした、「学士課程教育の改革状況と現状認識に関する調査」を実施しました。調査対象としては、人文・社会科学系と理工学系の学科に重点をおいたサンプル構成になっており、医歯薬系では年限の長さ等を揃える意味もあって看護等の保健系のみを対象にしています。内容としては、学士課程教育についてのイメージと、学習目標・教育目標の設定等の教育改革状況を中心としたものです。「学士課程教育」についてのイメージは徐々に浸透しつつありますが、課題は山積しているようです。
 しかし、ひとくちに課題といっても、国公私立などの設置形態、学部数などの組織特性、大学の入試難易度、どのような専門分野なのか、卒業後の進路の方向性がどの程度明確なのか等によって多様化していることは間違いなく、全体平均の数値をみるだけでは見落としてしまいかねないことも多くあります。改革が難航している項目の中には、その必要性自体が学科長たちに認識されていないものもあるようです。
 今回の公開研究会では、この研究プロジェクトのメンバー3人の先生方から、これまでの研究成果について発表して頂きました。具体的には、杉谷報告では「学士課程教育」という考え方がどのように歴史的に形成されてきたのかを整理分析し、串本報告で全国学科長調査の分析についての中間報告を行い、最後に濱名報告でこれまでの知見の整理と今後の課題について説明しました。この冊子は、この研究会の記録を取りまとめたものですが、これからの学士課程教育の「質」を考えるうえでの参考にして頂ければ幸いです。

  1. 杉谷 祐美子 氏 (青山学院大学教育人間科学部准教授)
    【講演】「学士課程教育はどのような歴史的展開を経て生まれたのか」(PDF形式)
  2. 串本 剛 氏 (東北大学高等教育開発推進センター講師)
    【講演】「学士課程教育の改革はどこまで進んでいるのか~全国学科長調査の分析結果から~」(PDF形式)
  3. 濱名 篤 氏 (関西国際大学理事長・学長)
    【講演】「学士課程教育のこれからの課題は何か」(PDF形式)
  4. 串本 剛 氏 (東北大学高等教育開発推進センター講師)
    【コメント】「公開研究会報告 学士課程教育改革の課題-学科長調査を踏まえて」(HTML形式)

*** 「関連資料」部分等は割愛しました。 ***