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大学改革

-3-人事制度改革の実践
~教員評価システムの具体的な取り組みを考える~

明海大学学長 髙倉 翔

明海大学学長 髙倉 翔

 日本私立大学協会(大沼 淳会長)では、平成十七年十月五日から七日まで、大阪市・大阪ガーデンパレスにて、平成十七年度事務局長相当者研修会を開催した。研修会は、「アドミニストレーター」をテーマに講演と班別研修等が行われ、そのなかで「人事制度改革の実践~教員評価システムの具体的な取り組みを考える~」と題して、髙倉 翔明海大学学長からご講演をいただいた。本紙ではこのなかから「明海大学における人事制度改革の取り組み」について掲載する。

(三)、教員評価と教員の意識を適切に調整する。適切に調整するというのは、やはり教員の意識としては、教員評価はあまりしてほしくない、あまりどころか、本当は願い下げだという意向が強いです。今、年功序列・終身雇用から成果主義へ、ということが言われています。しかし一方では、ポスト成果主義、日本型成果主義という本も出版されています。そういったものを模索するということが、調整のポイントではなかろうか、ということです。
(四)、均衡の取れた知の三角形。これはもう先ほどお話させていただきました。
 教育機能といった場合に、新しい視点、例えば、事務職員の方にも学生支援のエキスパートとしての役割機能を期待するというようなお話です。フリーター、ニート対策というようなものまで含めて、やはり教育機能を考えていこうと強く感じているわけです。
(五)、総合的な教員評価システムの確立。あくまで総合的です。総合的というのは、言葉としては説明しやすいですけれども、具体的にどうやるのかということは、大変なことです。
(六)、実務家教員の評価方法について研究開発に着手する。これは実務家教員を積極的にインバイトする。そういう動向にあります。明海大学では、法科大学院を作ったわけではありません。ただ、今年の四月にホスピタリティ・ツーリズム学部を発足させました。その場合に実務家教員を約半数、インバイトしました。それと同時に、学部長付オフィサーを、理事会で任命してもらいました。学部長付オフィサーは、ホスピタリティ・ツーリズム学部の学部長(実務家教員)の傍にいて、色々と相談にのる役ということです。とにかく実務家教員を積極的に導入する。これは特に実学志向を考えた場合に、当然前面に出てくるわけですが、その評価の仕方は、手探りです。実務経験が教育や研究というものとどう結びついてくるのか、その結び目のところを何でどう判断するのかというところが非常に微妙ですけれども大切なところです。これはまさに、研究開発、リサーチ&ディベロップメントの話であると思っております。
(七)、手段としての評価。私は、認証評価もそうだと思っております。それと同じように教員の評価は、やはり手段としての評価であって、教育機能というものをより充実させていくのが最終の目的だと思います。あるいは、その結果、付加価値を付けた学生を社会に送り出していくということが、目標であって、そのための手段としての評価であるわけです。これも先程言いましたけれども、「評価する者は評価される」、しかも「三六〇度評価」が期待されるという、評価文化の定着を目指すこと、これが非常に大切なことだと私は思っております。
(八)、教員と事務職員とのイコール・パートナーシップ、FDとSDの統合の推進。本日は事務局長相当者の先生方の研修会でございます。何度も出てまいりましたけれども、教員と事務職員とのイコール・パートナーシップ、これが大切です。
 例えば、私は、学長企画会議というものを二週間に一度開催しています。これは規程に何もありません。規程にない会議を招集して、そこで事実上色々なことを決めるのは規程違反だと言う人がいますが、抵触しないと思います。学長が意思決定をする補助機関としてご意見を頂戴するわけですから、責任は学長にあるということです。事務職員の皆さん方と一緒にディスカッションするわけですが、その場合に、真ん中に教員が座って、事務職員の皆さん方が外側にテーブルを置いて座る。それではダメです。ラウンドテーブルにするのです。イコール・パートナーだったら、これはもうラウンドテーブルしかないです。本当は教授会も同じです。教授会は、教授で組織するフォーマルなものですから、これはまた別なのかもしれません。とにかく、できるところからやっていくわけです。
 それからFDとSDの統合、積極的に推進、これはもうお話しました。
(九)、人事制度改革を実行するためには、理事会、理事長の経営と教学、両サイドにわたるリーダーシップが非常に大切です。理事長は経営サイドだから、教学に口を出すな、教授会と対立するなという構図は、私立大学の体質を弱めるだけです。理事長が経営と教学にわたるリーダーシップを発揮するということの大切さ。逆に言えば、そのリーダーシップを発揮できない理事長はダメです。
 それからもう一つは、理事長あるいは理事会と教学組織、学長との連携協力が重要です。それからまた、事務局の協力が不可欠です。先ほども少しお話しましたけれども、事務職員の方々に、新しい役割機能というものをきちんと位置づけていこうという考え方です。つまり、別の言葉でいうと、教員と事務職員の役割機能が、重なり合ってきている。そこに、新しいエキスパートが発生している。
 そのエキスパートというのは何か。まず学生支援です。これに関しては、積極的に育成していかなくてはならない。それと同時に、認証評価制度が実施されることを考えると、認証評価のエキスパートというものを、やはりファカルティとスタッフが重なり合うところに、きちんと配置も、確保もできるような、そういうマネジメントが不可欠だということです。それと同時に、本日は教員評価の話をしました。教員評価もしていく。そのプロセスで、非常に事務職員の皆さん方のご協力をいただいている。それは、単なる事務量が増えるということではなくて、事務職員の皆さん方に、例えば、研究業績の評価など、ある意味での判断をしてもらっている。非常に適切だと私は思います。
 そうしますと、学生支援、認証評価、教育評価、教員評価、そういった側面でも、エキスパートの役割を果していく、ということを期待されるし、またそれができなければ、大学は上手く走っていかない。
 そういう意味で、繰り返すようですが、教員と事務職員の皆さん方の重なり合い、ボーダレス化、そういうことがどんどん進行している。しかもそのボーダレスの状態がどんどん増えている。そういう社会的要請というものをいかに汲み取るか、そういうセンスが必要ではないかと思います。
 事務局長の先生方、どうぞ、そういった状況を踏まえながら、もっと促進していくというようなことで、色々とお力添えをいただきたいと思うわけです。
 なお、最後になりましたけれども、明海大学での教員評価の結果の一覧表をチラリとお見せします(割愛しました)。ある学部の教員の細かい項目。偏差値で出てきます。それを整理しますと、一番からずっと二枚に及びます。学部によって性格の違い等々ありますから、それぞれの学部単位で偏差値を出しているということです。それにしても、これだけのものを作るというのは、エキスパートとしての事務職員の方のお力添えがなかったら、絶対にできません。事務職員の方が、大きな役割を果たしてくださっている。その結果が出てきているわけです。
 それからもう一つ、今は説明責任というような時代ですから、開示請求があるわけです。他人の開示はしません。自分の偏差値を教えて欲しいという場合は、学部長を経て、学長が説明することになっています。情報の開示もやはり求められてくるので、それに耐えられるものでなくてはならない。
 何でも最初は難しいですが、とにかく難しい難しいって言っていたら、何もやらないことになります。これはあくまで手段としての評価であって、教育の役割機能を高めていくというのが目的です。そのための手段、ツールなんだというような意味合いでも、教員評価をどう進めるかというようなことについて、明海大学の非常に荒っぽいものでございますが事例を報告させていただきました。ご清聴ありがとうございました。(おわり)