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大学改革

-1-人事制度改革の実践
~教員評価システムの具体的な取り組みを考える~

明海大学学長 髙倉 翔

明海大学学長 髙倉 翔

 日本私立大学協会(大沼 淳会長)では、平成十七年十月五日から七日まで、大阪市・大阪ガーデンパレスにて、平成十七年度事務局長相当者研修会を開催した。研修会は、「アドミニストレーター」をテーマに講演と班別研修等が行われ、そのなかで「人事制度改革の実践~教員評価システムの具体的な取り組みを考える~」と題して、髙倉 翔明海大学学長からご講演をいただいた。本紙ではこのなかから「明海大学における人事制度改革の取り組み」について掲載する。
 
 座ったままで失礼させていただきます。本日は教員評価システムのお話をさせていただきます。レジメにそって明海大学における人事制度改革の取り組みについて述べます。
1、教員の任用
 (一)、「教員選考手続について」(一九九九年度~)
  これは、私が、学長に就任して以来七年間にやったということではありません。理事会、もしくは理事長のリーダーシップのもと、理事会とのパートナーシップの中で、進めてきたものです。教授会の説得も重要です。学長が教授会を説得するというのは、現実にはそれは大切な学長の役割だと思います。私が直接、間接に人事改革に関わってきたということでございます。
 学長になって最初に改革したことは、教員選考手続についてです。それは、学長裁定で、規程を変えるというようなことではありません。つまりそれは、どういうことかというと、「当該教授会において、その人事について審議し、票決以外の任意の方法により、学部長が意見をとりまとめる」。ここの、票決以外の任意の方法というのは、これは投票はやめましょうということです。学部長が意見を取りまとめる。これは、学部長が当事者能力を発揮しなさいという話です。そして、そこが票決以外の任意の方法です。
 この任意の方法というのも、ディスカッションしているうちに、ある学部教授会でそういったことになってきたので、それはいい表現であると、その書き込みをしました。任意の方法というところに、学部の自主性、自律性が発揮されるのだと。
 それと同時に、理事長(法人側)と学長(教学側)の合同審査ということで、「面接等を行う。…当該学部長等関係者の同席を求めることができる」。しかし、すべて同席してもらいます。事務局長、それから人事担当の庶務課長等にも同席してもらう。このようなことをやっています。
 これはしかし、学長裁定という形でしたので、機関決定していませんから、大学の規程集に載っていません。各教授会で説明をし、教授会の了承はとってありますが。
 それで、私どもは、十八年度に認証評価を受けますので、そのためもあって、その学長裁定を、今までにあった諸々の人事に関する規程と統合して規程に格上げし、九月から施行をしたところです。新規程の制定です。
 (二)、「学部長候補者の選考方法」(二〇〇一年度~)
  その次に、学部長候補の選考方法です。これは、教授会の議を経てということで、一般に投票をやってもらいます。しかし、一人に絞らずに複数の候補者を選んで、順位を付けずに学長に推薦する。その中で考えさせていただきましょうということです。学長の裁量かもしれませんが、これは微妙です。率直に言いまして、その投票を尊重します。誰がトップであるかというのはわかるわけです。わざわざ開票するときに立会人を先生の中から選んでいますから、筒抜けです。それでも、差し替えざるをえないということもありました。しかし、それは、学長として自分のやりやすいようにという意味ではありません。トータルマネジメントをする場合に、コーナーストーンとしての学部長を選考しようというわけです。だから極端に言えば、学長指名、あるいは学長が推薦し、教授会の議を経るという方法もあるかもしれませんが、そこまではやらずに、複数選んでいただく。しかし、その結果は尊重するけれども、必ずしも結果に添えない場合もあったということです。
  その後は、やはり一位の者が、学部長になっております。
 (三)、「教員の活動状況調査」「教員選考基準等」の見直し(二〇〇一年度~)
  教員の活動状況、選考基準の見直し。要するに業績、その中に教育上の業績を入れていくという話です。教育上の業績の基準として、(1)優れた教育方法の実践例、(2)過去に制作した教科書・教材、(3)授業科目に関するシラバス案、(4)教育面で高い評価を受けた事実、(5)大学教育改善に関する団体等での活動の概要、(6)その他大学の教員評価において教育上の高い評価実績等、を例示しました。
 (四)、教員の雇用形態の多様化(二〇〇三年度~)
  教員の雇用形態の多様化。一度雇用したら、定年までいるというシステムは、少し変えていこうではないか。それからもう一つは、テニュアとテニュア・キャンディトという仕分けが必要ではないかと思います。ある時期に評価の結果、テニュア・トラックの方に移行する。トランスファーする。これは、よくあるアメリカ式のやり方です。アメリカ式は、非常に複雑だと思いますけれども、これを簡素化して導入したわけです。
  レジメの(3)のところで「任期制、年俸制の積極的な導入」(評価による契約更新など終身雇用、年功序列主義から成果主義へ)と、元気よく書いてありますが、簡単なものではなくて、願いです。やはり願いを持たなくては改革できません。何となく落ち着くとこには落ち着くだろうと思っていたら、落ち着かないです。願いでもいいから文章にして、いつもこれを噛み締めていた方がいいかなと思います。
2、教員評価
 (一)、学生による「授業評価アンケート」の実施(二〇〇〇年度~)
  その次がその教員評価です。これはまず、授業評価アンケート。評価の時代ということで、教員の授業評価がかなり一般的になってきました。私も授業を担当していたときに、一回だけこれを経験しておりますが、自分で導入して、自分で経験したという変な話ですが、やはり書いてあることを見ると、当たっていると思います。それから、私はアメリカの大学でも教員評価を経験しました。私が、どういう処遇を受けるのですかと聞くと、それはまた別途考えて、ということでした。別にクビになったわけではありません。
  授業評価を導入する場合には、徐々に授業評価が導入されたという国ですから、私は率直に言って、実施することに意義があると思います。最初は、実施することに意義がある。何でも最初は難しいです。
  しかし、私が期待したのは、緊張感を持った授業と授業改善。評価結果は、その先生にだけはお知らせするわけですから、緊張感を持って授業をする。あるいは、授業改善という、期待。これは期待しているのであって、それを命令したり、強制したりするわけではない。でもやはり緊張感を持って授業をする。その緊張感がどれだけ続くかは別で、どれぐらいの人が緊張感を持ったか分かりません。実施することに意義があるということだけでは、どうも十分ではないので、緊張感を持った授業と授業改善を期待したということです。
 (二)、「教員評価」の実施(二〇〇一年度~)
  そしてもう一つ大切なことは、授業評価アンケートは教員評価とは関係ありませんよという前提で始めました。それを前提にしないと、授業評価アンケートを実施するというのは、そう簡単なことではなかったわけです。
  その次は教員評価の実施。その背景には、教育改革国民会議の教員評価提言も後押しになっております。授業評価の次の年には教員評価。問題は、授業評価は教員評価に組み入れないという約束でやっていますから、まだ入れるわけにいきません。しかしその時に、私の大学の給与規程を見ましたら、期末手当は査定によることができると書いてありました。書いてはありましたが、誰もやろうとしないし、やってこなかったということです。理事会の方のご意見が強かったわけですが、これを取り入れようではないかということも大きなポイントでした。教育改革国民会議の提言も、大きなベースになるものですが、学内的に期末手当は査定によることができるという規程があったということです。これも大きなポイントだったと思います。しかし依然として、教員評価に授業評価アンケートは取り入れない。これは取り入れないという約束です。しかし、いつまでもそれではいかない。
 (三)、「教員評価」の改善(二〇〇三年度~)
  教員評価を改善する。まず、評価基準を見直す。それからもう一つは、教育評価を重視する。研究機能よりも、教育機能の方にシフトされているというわけですから、教育機能を重視するのは当たり前です。
  教育業績に関する総合評価とは、どういうことかというと、学生による授業評価というものを、そのまま生で教育評価に結びつけるというのは、甚だ危険だということです。総合評価ですから、色々な要素を総合的にまとめて、そして、教育評価というものを行うということです。そして、その教育評価、総合評価は学部長の裁量による、統一基準でやってくださいということです。
  そこで今度は授業評価アンケート。つまり学生による授業評価。ここで教育評価に取り入れます。しかし取り入れると言っても、授業形態を考慮すると、これはまた評価の現われ方が極端に違ってきます。あくまで総合評価の要素の一つとして取り入れるということです。
  それから、教育業績調書。当然です。研究業績だけではなくて、教育業績について、自己申告してもらう。そしてその中に、学生の授業評価に基づいて、どのような教育方法等の改善工夫をしたか自己申告してもらう。しかし、自己申告というのは、自己評価ですから、これは自己申告も自己評価も、ある意味では同じような流れかもしれません。
  認証評価の場合には、非常に大きなポイントは、嘘を書いてはダメだということです(エヴィデンス・ベースド)。これは認証評価の場合、非常に大きなポイントです。一方、先生方の自主的な対応を尊重することが、やはり大学人としては大切であるし、また尊重しなければ、改善は進まないということです。
  そこで、『資料二・三』をご覧いただきたいと思います。(資料二・三の詳細は、次号に掲載)
  これは二〇〇三年に改善したものです。この改善のポイントは、一つはA教育活動にウエイトを置いたということです。それからもう一つは、最後のX補正は、学部長が補正をする。インフォーマルにどんな努力をしているかという点は、近くにいる人の目で見る以外にないだろうということで、補正のところにウエイトを置きました。(つづく)