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高めよ 深めよ 大学広報力

〈38〉高めよ 深めよ 大学広報力  こうやって変革した
  「古葉・前田効果」は絶大 野球とサッカー国際人養成にも一役買う
  東京国際大学

 認知度アップのために駅伝や野球といったスポーツ強化を図る大学は少なくない。プロ野球の元広島東洋カープ監督、古葉竹識やサッカーの元日本代表、前田秀樹(古河電工)という「ビッグネーム」を監督に招請して話題になったのが東京国際大学(荒井孝昌学長、埼玉県川越市)。この古葉、前田招請は受験生募集にいい結果をもたらしただけではなく、マスコミに取り上げられることが増え在学生の間でも「知名度が上がった」と好意的だ。広報担当者は「スポーツは、語学力とともに東京国際大の教育理念である真の国際人養成に欠かせない要素です」と説明しつつ、「うちの学生は、地元、川越市の外国人観光客誘致促進にも一役買っています」。PRに余念のない広報担当のいる東京国際大を訪ねた。(文中敬称略)

 東京国際大は、1965年、国際商科大学として開学した。創立時は商学部のみの単科大学だったが、86年に東京国際大学と名称を変えた。以後、経済学部、国際関係学部、人間社会学部、言語コミュニケーション学部などを新設、現在、5学部、6000名を超える学生が学ぶ。
 事務局次長で入試広報部長も兼ねる阿久根周逸が大学を語る。「開学以来、一貫して掲げてきたものは『真の国際人の養成』です。日本人の歴史と文化に基づいた自分自身の考え方を持ち、相手の持つ文化への深い理解を忘れず、世界と向き合える『真の国際人』を養成していきたい」
 ゴルフ部、ネルソン招請
 取材に入ろうとした途端、阿久根が「昨日、記者会見がありました」。世界ゴルフ殿堂入りを果たした名プレーヤー、ラリー・ネルソンが東京国際大のゴルフ部名誉監督に就任するという会見だった。
 野球の古葉、サッカーの前田に続く第三弾ですか?と思わず口に出た。阿久根の説明はこうだ。6月23日、同大の早稲田キャンパスで、ゴルフ部の名誉監督にラリー・ネルソン、監督にハル常住の就任記者発表会を行った。19媒体のマスコミ関係者が出席。
 ラリー・ネルソンは「学生の指導は、インターネットなどを通じてリアルタイムで行う」、ハル常住は「東京国際大ゴルフ部から世界メジャーに優勝できる選手を育てたい」とそれぞれ語った。
 阿久根は「ゴルフ部はまだ数人という規模。ラリー・ネルソンは21歳からゴルフを始めたそうで、大学からゴルフを始めても遅くはないという話をしていました。ゴルフ部の発展が大いに期待できます」
 野球部監督に古葉が就任したのは、08年4月から。元プロ野球の名監督が失礼ながらあまり強くはない大学野球チームの監督に就任。それもあってスポーツ紙はもちろん、雑誌や一般紙、地元紙なども大きく取り上げた。
 「東京国際大は、古葉監督で認知度を上げ受験生を増やした」(首都圏の私大関係者)などと囁かれた。阿久根は「知名度アップにはお陰さまで…。それより、古葉監督は野球の技術だけでなく、社会に出たとき通用する人間に育てる、という人間教育重視です」
 「古葉効果」で、今年は、野球部に55人の入部者があった。はっきり入学者の数字に表れたのはサッカーの前田監督のときだった。それまでサッカー部の入部者は数人(部員全部で20人前後)だったのが一挙に80人に増えて、現在の部員は100人に。「前田監督の下で指導を受けたいという理由です。前田監督も授業や成績のチェックが厳しいようです」(同)
 スポーツ部で特筆すべきは、他の大学にはあまりない、躰道(たいどう)部の活躍。バック転など多彩でアクロバティックな技を繰り出す新しい武道。人気作家の横山秀夫が同部OBで、同大の講演会などに協力してくれているという。
 川越の国際化を支援
 阿久根が古葉、前田効果と同じくらい強調したのが、地元、川越市との連携。同市は年間460万人の観光客が来る。言語コミュニケーション学部では、外国人観光客向けに、実践的な英語ガイドボランティア活動を単位化している。「学生たちは川越の町に出て、ハッピをまとって外国人観光客相手に頑張っています」(阿久根)
 昨年10月には「小江戸川越の国際化を考える」をテーマにした公開講座を川越市シティーカレッジの企画に協賛する形で実施。外国人観光客誘致促進を目指す川越が、どのように「国際化」の方向を見定め、いかに在住市民がコミュニケーション能力の向上を図ればよいかを模索した。
 阿久根が地域貢献を力説する。「文部科学省の現代GPに『小江戸川越の国際都市化支援プロジェクト』が採択され、平成17年から3年間、川越市民らと取り組みました。川越紹介の英語の小冊子を作成したり、川越まつりでは英語アナウンスも手掛けました」
 「国際」という名前を大学名に掲げている通り、留学生の派遣や受け入れに積極的。1989年、米国オレゴン州セーラム市に、東京国際大学アメリカ校(TIUA)を開校した。
 「TIUA留学プログラムは、姉妹校の米ウィラメット大学と授業やキャンパスライフの交流が行われ、1年間アメリカに留学しながら年次の中断なく4年間で卒業できます。充実した留学制度として高い評価を受けています」(阿久根)
 600人の留学生が学ぶ
 外国人留学生にも広く門戸を開いてきた。読売新聞の「教育ルネサンス」(09年5月26日)に〈東京国際大は開学以来、「国際人養成」を理念に掲げて積極的に留学生を受け入れ、今年度も24カ国・地域の約600人が学ぶ〉と載った。
 〈荒井孝昌学長は「留学生は刺激を与えてくれる。大学の学びに欠かせない」とまで言う。そうした状態を維持するには「大学職員が四六時中あらゆる角度から支援しないと」と長谷川事務局長は苦笑する〉と続いていた。
 同大は大学改革を進めてきた。徹底した少人数教育を行い、一年次からゼミが必修。04年度に新設した言語コミュニケーション学部は米ウィラメット大学の協力の下、アメリカの大学授業形態を取り入れている。第二キャンパスには、スタジオ棟を設けテレビ番組の制作が出来る。
 国際関係学部には、著名な教員も揃っている。元フジテレビのキャスター、露木茂は教授として「キャスター演習」を、元NHKキャスターの小室広佐子は准教授として「社会情報学」を教えている。二人とも学生の人気も信頼も厚い。
 阿久根が、「このことは、ぜひ言っておきたい」と語ったのはオープンキャンパスを学生がメインに行っていること。やる気のある約100人の学生スタッフを5人のチーフがまとめる。
 「スタッフは外部の研修機関で研修を受けます。そのあと、どういうイベントを行い、どういうことをしゃべるか、まで話し合います。どうすれば来場者が喜ぶか、自己表現の場にもなります」
 阿久根によれば、この体験は社会人になるための要素が身につき、就職にも役立つという。「大学は学生が商品、学生をみてもらおう」と始まったが、思わぬ効果を上げているようだ。
 阿久根は取材の終わりに語った。「創学40年という歴史は、大学としては若いほうかもしれません。だからこそ、東京国際大学は、若さと活力で社会の変化をキャッチし、常に新たなチャレンジを続ける大学でありたい」。最後までPRを忘れず、若々しい口吻の広報担当だった。