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特集・連載

大学は往く 新しい学園像を求めて

<202>名古屋学芸大学
地域に学び、世界へはばたく
来年度から学群制看護学部を新設  4学部で高度なステージへ

 「人間教育と実学」が建学の精神である。名古屋学芸大学(杉浦康夫学長、愛知県日進市)は、2002年に開学したフレッシュな大学。管理栄養学部、ヒューマンケア学部、メディア造形学部に加えて、今年度、看護学部を新設した。医療関係への新たな挑戦であり、より鮮明な特色を持つ学部が加わり4学部の新体制でより高度なステージをめざす。①専門分野で活躍できる力を身につけるカリキュラム②より専門的な知識と技術を学ぶ最先端の施設と設備③充実したプログラムと学科専属スタッフのアドバイスによる高い就職実績―などが特長。日進キャンパスには、姉妹校である名古屋外国語大学が並立する。「より強く各学部の特徴と専門性を打ち出し、それを背景に、学生、教職員の行動指標として『地域に学び、人と結び、人を支えて、世界にはばたく』を前面に打ち出したい」と語る学長に学園の歩み、改革、これからを聞いた。
  (文中敬称略)

建学の精神 「人間教育と実学」

 学長の杉浦が建学の精神について語る。「建学の精神に基づき、人間を対象として『人と心』をテーマに、人間のために『知と美と健康を創造』していくことを基本理念と定めています。人間への限りない知的関心を原点に、生きることの意義を考え、解き明かし、未来につなぎたい」
  名古屋学芸大学は、2002年、管理栄養学部(管理栄養学科)とメディア造形学部(映像メディア学科・デザイン学科・ファッション造形学科)の2学部4学科で開学した。
  05年、名古屋学芸大学にヒューマンケア学部(子どもケア学科)を開設。06年、大学院メディア造形研究科修士課程、大学院栄養科学研究科修士課程、08年、大学院栄養科学研究科博士課程、11年、大学院子どもケア研究科修士課程を設置。
  18年、国立病院機構名古屋医療センター(名古屋市中区三の丸)との協定により看護学部(看護学科)を開設。同学部は、名古屋医療センターの敷地内に設置されている。
  現在、4学部に2845人の学生が学ぶ。男女比は、男子15%、女子85%と女子の比率が高い。出身地は、東海四県で90%を占める。
  学長の杉浦は、名古屋大学医学部卒業(医学博士)、名古屋大学医学部長、同大学理事・副総長などを歴任、2013年、名古屋学芸大学ヒューマンケア学部教授となり、16年10月から学長を務める。看護学部開設の意義を語る。
  「看護学部設置は前学長時代からの悲願でした。栄養や養護など看護に近い領域を持ちながら看護学部がなかった。医療職に携わってきた者が何人もいたことも背中を押しました。医療系のディシプリンを学内に注入したい」
  4学部の学び。管理栄養学部管理栄養学科は、食と健康について、様々な分野を総合的に扱う。「医療や健康づくりの観点を重視しながら「栄養」を探求し、高い専門性を発揮できる、新しい時代に対応した管理栄養士を育てています」
  メディア造形学部の映像メディア学科。「フォト、映画、CG、サウンド、TV、インスタレーション、アニメーション、パフォーマンスの八領域を横断的に学ぶ一方、幅広い教養を身につけ、社会のニーズに応えるのみならず、新たなニーズを創出できる人材を育成します」
  デザイン学科。「学生の個性を引き出し、柔軟な発想力や創造力を育てるため、多角的な教養教育と専門教育を用意。協調性ある知識人、バランス感覚のある社会人としてのデザイナーの育成を通して、広く産業界を支えるのが目標です」 
  ファッション造形学科。「ファッションデザイン、クリエイティブデザイン、テキスタイルデザイン、ファッションビジネスの4専門領域を設定。ファッション産業界のプロセス全体を理解、把握し、専門性を発揮できる人材を育成します」
  ヒューマンケア学部・子どもケア学科。「乳幼児から学齢期(小中学生)、さらに高校生までを「子ども」と定義。2専攻二コースからなる。
  「子どもケア専攻の養護教諭コースは、時代のニーズに即した養護教諭を、同子ども心理コース(2019年度より児童発達教育コースへ名称変更予定)は、乳幼児から青少年までの多感な時期の子どもに強い心理のスペシャリストを、幼児保育専攻は、乳幼児期を中心に、子どもを対象としたケアの専門家を育成します」
  看護学部看護学科では、未来志向の看護専門職、"時代を見つめ、未来を自ら歩みだす、看護専門職"の育成をめざす。医療現場と一体となり、最先端の教育環境で看護師養成に取り組む。
  「確かな知識と豊かな感性をもち、看護の対象に合わせた看護実践ができる、看護実践に対して研究・探究心をもって取り組み、看護の発展に寄与できる、看護の対象の想いに寄り添うことができる、共感力・共生の心をもった人材の育成をめざしています」
  専門分野へ就職8割
  2018年3月卒業生の就職決定率は、98.1%、専門分野への就職が79.3%。「約8割の学生が、専門分野へ就職しています。学びを将来に活かせる結果が、この数字に表れていると思います」
  就職力を支えるのがキャリアサポートセンター。「就職に向けて、共通性と専門性を融合した『三層構造のキャリアデザインプログラム』を展開。学科ごとに専属スタッフを配置、進路・就職をトータルに支援します。求人情報は、自宅のパソコンからも閲覧できます」
  就職サポートは手厚い。「就職試験や教員採用試験で遠隔地(片道100キロ以上)に行くときは、10回まで一定額の交通費支給が受けられる制度があります」
  学生、教職員の行動指標に「地域に学び」とあるように、地域連携には力を入れる。地域連携の取り組みは、20数種類、300以上ある。ヒューマンケア学部の学生を中心に、地域の親子を招いて遊びの場を提供するイベントを定期的に開催している。
  「管理栄養学部の学生が献立を考え、デザイン学科の学生が包装を考案したお弁当をメーカーと共同開発したり、メディア造形学部の学生が考案した特殊詐欺被害防止のキャッチフレーズが愛知県警察の広報啓発ポスターになったり、様ざまな取り組みをしています」
  国際交流にも積極的
  グローバル化にも積極的だ。海外協定校が、米国、英国、ドイツ、フランス、スウェーデン、オーストラリア、韓国、台湾に11校。これら協定校と交換留学を進める一方、短期の海外研修も行っている。
  「ファッション造形学科では、ドイツの大学と交換留学を実施、現地で取得した単位を本学の単位と認定しています。デザイン学科の学生は、韓国、台湾の学生とワークショップを開催するなど国際交流を深めています」
  18歳人口の減少、入学定員の充足率の低下という状況下、大学を取り巻く環境は一段と厳しい。最後に、これに、どう対応するのかを聞いた。
  「大学はいかに独自性を出し、自らの方向と特色を社会に発信することができるかが、今後の発展を占う試金石ともいえます。そのためには2つの力、新しい息吹を吹き込む力と内部からの改革する力が必要です。新しい息吹は、新設の看護学部です。今まで3学部の間で行われていた『人間の衣食住』に係る共同作業・共同研究を、看護学部をからめて『人間の健康な生活』を柱にして、外部の地域の企業・自治体と内部の学生・教職員による協働作業・連携事業として発展させたい。そうなれば、本学の建学の精神である『人間教育と実学』を、大学の教育と学生生活の中により具現化できると思います」 
  改革には内圧と外圧
  こうつけ加えた。「大学を動かす改革には『内圧』と『外圧』が必要で、この2つを利用して、やらざるを得ない状況に持って行かなければなりません」。この言葉に、改革への決意が滲んでいた。