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特集・連載

大学は往く 新しい学園像を求めて

<236>育英大学
道徳心と専門性持つ人材養成
学習・生活面できめ細かな指導

 『公正、純真、奉仕、友愛』が建学の精神である。育英大学(石井學学長、群馬県高崎市)は、2018年、学校法人群馬育英学園が開設したフレッシュな大学。教育学部教育学科で児童教育専攻(定員50名)とスポーツ教育専攻(同50名)の2専攻という小さな大学。学習面・生活面で学生一人ひとりにきめ細かな指導を行う。児童教育専攻では小学校・幼稚園の教員免許・保育士資格の取得、スポーツ教育専攻では中学校・高等学校の保健体育教員免許の取得をめざす。スポーツ教育専攻は、系列の前橋育英高校普通科Ⅳ類スポーツ科学コースとの高大連携を図り、指導力・技術の両面で優れた人材の育成が可能となった。前橋育英高校は、高校野球、サッカーで日本一に輝いた名門校。約半数が博士号を取得する教授陣の質の高い授業を通じて専門的で高度な知識・技術の修得をめざす。建学の精神をもとに、道徳心を備え、教育学・保育学分野に関する専門性を持つ人材を養成したい」と語る学長に、大学の現状とこれからを聞いた。

建学の精神 「公正、純真、奉仕、友愛」

 育英大学を運営する群馬育英学園は、1963年、前橋育英高等学校が開校。77年、前橋育英学園短期大学(保育学科)が開学。87年、前橋育英学園短期大学を高崎市に移転、名称を育英短期大学(男女共学、保育学科と現代コミュニケーション学科)に変更した。
 同高校は、野球部が2013年の夏の甲子園大会で、サッカー部が昨年の全国大会で全国制覇した。バスケットボールや柔道、剣道も強豪校だ。
 同短期大学は、「保育の育英」といわれており、群馬県内の幼稚園・保育園の保育士の50%を占める。こうした伝統を引き継いで2018年、育英大学教育学部が開学した。
 「幅広い教養と道徳心を持ち、主体的な判断と行動ができる教員の養成」を目的に掲げ、群馬県内で16番目の四年制大学だった。学長の石井が「夢実現の礎を」と大学を語る。
 「学校、家庭、地域における教育・保育・福祉・体育・健康について学びます。現在の教育現場のいじめや不登校等さまざまな問題に真摯に向きあえる豊かな人間性と深い専門性をもった人材の育成をめざしています。そのため、学生一人ひとりの個性にあったきめ細かなサポートで学びを支援しています。主体的な判断力と行動力を兼ね備えた人材に育てて社会に送り出したい」
 現在、153人の学生が学ぶ。開学1年目の入学者は、大学を広報する時間がなく定員の6割だったが、2年目の今年度は、定員充足率95%となった。男女比は男子5、女子5の比率。出身地は、県内が7割を占める。
 実習を重視。身に付けたいスキルにあわせた実習・演習室が充実している。「乳児保育、子どもの保健、障害児保育などの演習課目のための保育演習室、グランドピアノを設置し、レベル別の個別指導を行うピアノレッスン室、電子ピアノが50台設置され、伴奏法や幼児音楽などの授業で使う音楽室などがあります」
 教育学部教育学科は、3つの柱がある。①地域に貢献できる教育のプロフェショナルを育成する②幼児・児童期の学校教育を総合的に学ぶ③体育・スポーツに関する教育について総合的に学ぶ。児童教育専攻とスポーツ教育専攻の2専攻。
 2専攻の学び。児童教育専攻は、学校教育と幼児教育の2コース。学校教育コースは、幼児期から児童期における教育に関する専門的な知識と、その知識を統合的に理解し、応用できる人材を養成。幼稚園・小学校の教員免許状、保育士資格の取得が可能だ。
 「小学校からの英語教育が本格化することをにらみ、外国語の指導にも力を入れています。英検準1級やTOEIC800点以上をめざす講座を開講することになっています」
 幼児教育コースでは、カウンセリングや障害児保育などに関する専門的な知識を修得。発達障害を抱えた子供たちをはじめ、様々な角度から子どもたちの支援ができる幼稚園教諭・保育士の養成をめざす。
 スポーツ教育専攻は、次の4点を指導の柱に据える。①学校教育の専門的知識を備えた保健体育教員の養成②部活動の強化と指導者の育成③地域スポーツ指導者の育成④地方公務員(警察官・消防士)の養成。
 スポーツ教育専攻では、体育・スポーツに関する専門的な知識とその知識を統合的に理解し、応用することができる人材を養成。「個に応じた指導の工夫により運動嫌いや苦手な生徒をなくし、得意な子はさらに伸ばせるような指導力・技術の両面で優れた人材を育成、中学校・高等学校の保健体育教員免許取得をめざします」
 学びでは、アクティブラーニングによる主体的な学びを進める。アクティブラーニングは、学生が能動的に学ぶことによって認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図るのが目的。
 「本学は、積極的にアクティブラーニングを取り入れ、教員による一方的な指導ではなく、体験学習やグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーキングなどを通して主体性を涵養し、変化する教育環境に柔軟に対応できる人材を養成しています」

 充実のキャリア支援

 キャリアサポートでは、通常のカリキュラムに加え、授業外で充実した「教員・公務員採用試験対策講座」も実施。筆記試験や面接試験の対策を行うなどキャリア実現のための支援体制が充実している。
 教員採用試験に向けては、実践力を養うカリキュラムや実習のシステムが整っている。1年次から「教職体験実習」を取り入れ、くっつき実習(現場教員・教育実習生)を実施している。
 「授業観察・実践演習や本実習・教職実践演習の流れで、教育現場との繋がりを大切にしながら、実践力を養っています。社会的・職業的自立I・Ⅱの授業では進路選択の能力や就職後の心構えやマナーなども学びます」

 大学スポーツにも注力

 大学スポーツにも力を入れる。陸上競技(駅伝)部とレスリング部、バレーボール部を強化クラブに指定。「男子駅伝の強化を行い、2024年の箱根駅伝への出場をめざしています。10月26日の予選会に出場、30位でした」
 男子レスリング部は、東日本リーグ戦(2部)で初出場初優勝し、1部リーグ昇格を決めた、男子、女子とも全国大会で上位入賞をめざしている。バレーボール部は、関東大学バレーボール連盟において2部昇格をめざす。
 「どの運動部の学生も、競技だけではなく、競技で培った体力やチームワークなどを生かし、教育学部の学びによって教員や保育者、消防官や警察官等、地域で貢献、活躍できる人材をめざしています」

 多彩な地域貢献活動

 地域貢献活動も多彩だ。「大学の教育資源を提供し、社会への教育サービスと文化の向上」を目的に公開講座を実施。今年度も「糖尿病について理解を深めよう」、「言葉のリズムを楽しもう」といった同大教員らの講座がある。
 「結成した学生消防団は、消防団活動としてだけでなく、将来もっと幅広い防災活動を担う人材をめざしています。また、高崎市教育委員会と連携、市内の中学校でクラブ活動の指導員といった取り組みも行っています」
 大学のこれから。「大学教育でもAIの導入が言われています。本学は、教育現場の抱えるいじめや不登校等さまざまな問題に真正面から向きあえる人材を育てています。専攻は、児童・保育とスポーツ分野です。この分野は、それこそロボットが教えることはできません。地域で学び、地域に帰るという、地域に寄り添う大学として、教育学・保育学分野に関する専門性をもつ人材をこれからも養成していきたい」
 こう付け加えた。「建学の精神である『公正、純真、奉仕、友愛』をもとに、道徳心を植え付けるのは言うまでもありません」。冒頭の言葉に返るのだった。