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特集・連載

大学は往く 新しい学園像を求めて

<234>甲子園大学
「食」と「心」の専門家を育成
人間形成を行い 専門的な知識と技術学ぶ

 「人々がより健康に」「より幸せになるために」をモットーに「食」と「心」の専門家を育成する。甲子園大学(中村秀雄学長、兵庫県宝塚市)は、1967年に栄養学部を開学、管理栄養士養成課程を設けた。2011年、「こころ」の視点から現代社会の諸問題や人間生活のあり方を解明、寄与することを目的に心理学部を開設。現在、2学部3学科及び大学院(2研究科)を擁する。学校法人甲子園学院の校訓三綱領「黽勉努力」「和衷協同」「至誠一貫」を建学の精神として人間形成を行い、専門的な知識と技能を学ぶ。①就職率100%と管理栄養士合格率の高さ②クラス担任制など教員との距離が近い少人数教育③地域や実習などでフィールドワークの積極的な実施などが特長。「栄養と心理の2学部は、切り口こそ違え、人々のより幸せな生活のために働く卒業生を送り出すことが使命です。『人の命を大切にする人材を育てる』ことこそが、本学の社会に対する約束なのです」と語る学長に学園の歩み、改革、これからを聞いた。(文中敬称略)

高い就職率と国家資格合格率

高台にあるキャンパスから北摂から大阪平野まで一望できる。自然にあふれ、四季折々の季節の変化を肌で感じることができる。大阪、神戸、篠山からのアクセスも良く、最寄駅から大学まではスクールバスが運行している。
 甲子園大学は、1941年に設立された甲子園高等女学校(創立者久米長八)が淵源だ。67年、甲子園大学(栄養学部栄養学科)が開学。86年、経営情報学部経営情報学科を開設。92年、大学院栄養学研究科食品栄養学専攻(修士課程)を開設。
 97年、人間文化学部(人間行動学科・比較文化学科)を開設。2001年、大学院人間文化学研究科人間文化学専攻(博士前期・博士後期課程)開設。02年、大学院栄養学研究科食品栄養学専攻(博士後期課程)、経営情報学研究科経営情報学専攻(修士課程)開設。人間文化学部人間行動学科を心理学科へ改称。
 04年、経営情報学部を現代経営学部へ改称、医療福祉マネジメント学科を新設。06年、経営情報学科を現代経営学科に改称、人間文化学部を人文学部に改称、比較文化学科を社会文化学科に改称。
 08年、栄養学部にフードデザイン学科を設置。11年、現代経営学部、人文学部、大学院現代経営学研究科の学生募集停止。心理学部現代応用心理学科を設置。
 学長の中村が大学を語る。「食と心の専門家を育てていますが、単なる専門家ではありません。栄養学部では、人々が健康に気をつけるよう食=栄養面で、心理学部では、周りを見て心に問題があれば、それぞれ助言するなど気配りの出来る、人の命を大切にする人材の育成をめざしています」
 現在、栄養学部(栄養学科、フードデザイン学科)、心理学部(現代応用心理学科)の2学部3学科に497人の学生が学ぶ。男女比は、男子37%、女子63%。出身地は、兵庫、大阪、京都など近畿圏が大半を占める。
 各学部学科の学び。栄養学部は1967年に日本で3番目に設置され、3000人を超える管理栄養士を輩出。「全国の病院をはじめ公的機関や学校、団体などで活躍しています。就活時はもちろん、社会に出てからも力強い味方になってくれています」
 同栄養学科は、管理栄養士の資格取得に向けて基礎から応用、臨床と段階的に学ぶカリキュラムで、「管理栄養士+α」の知識を身に付ける。「病気を癒し健康を守るためには、どのような食事を、どのように摂取するべきかを徹底的に追求。管理栄養士として必要な個々に適した栄養管理・教育を施しています」
 同フードデザイン学科は、多くの企業が求める、食材に関わる現場から生産、流通を経て食卓に運ばれるまでを総合的に企画・立案できる専門家を育成。「栄養士の立場から健康を守る食品を、どのように開発し、人々に届けるかを追求した学びで、栄養士・食品の専門家として活躍できる人材を養成しています」
 心理学部は現代人が心に抱える問題を理解し、それを解きほぐすことのできる人材を社会に送り出している。また、臨床心理士や国家資格となった公認心理師の育成にも力を注ぐ。
 同現代応用心理学科では、現代社会に必要とされる心理学を実践重視のカリキュラムで学び、3年次からは5つの領域に分かれてより専門知識を磨く。「多様化・複雑化していく現代社会人が抱える『こころ』の問題に取り組めるプロフェッショナルへと導いています」
 就職率100%、管理栄養士国家資格合格95・2%は、結果につながる質の高いキャリアサポートが支える。専門領域の学習のほか、地域社会や産業界とかかわる実学教育や時代のニーズに合ったキャリア支援プログラムを通じて、社会で必要な職業人能力を高めている。
 「キャリアコンサルタントの国家資格をもったスタッフの手厚い支援が『なりたい自分』へと確実に導いています。各種資格の合格だけを目指すのではなく、社会の役に立つ人材育成に努めています」
 教員との距離が近い少人数教育。栄養学部ではクラス担任制、心理学部では少人数ゼミ制を実施。「小規模な大学ですので、本学の教員は、学生一人ひとりの名前と顔を知っています。補講を組むなど学修面にとどまらず、一人ひとり生活面もサポートしています。『ここは私のたいせつな居場所』と感じてもらえる大学づくりを実践しています」
 地域社会との交流や現場実習などのフィールドワークには、学部の独自色が見られる。ユニークなのは、地域の発電会社と共同で行う太陽光発電設備の下でのサツマイモ栽培。「栄養学部の学生が、太陽光パネルで日射量が制限されたパネル下で、サツマイモがおいしく育つかどうかを研究。畑への照度や土の温度を計測しています。研究がうまくいけば地域貢献につながると期待されています」
 昨年、地元のFM局の人気番組のスポンサーとなって15回連続ラジオ講座を放送した。「ラジオ講座は『栄養と心の目』というタイトルで、教員が現場で教えているなかから、『肝臓を守る食事』や『大切にしたい中年期のこころ』といった身近な話題を話しましたが、リスナーには好評でした」
 卒業生には、水泳高飛び込みの寺内健がいる。「オリンピックには4大会連続出場という偉業を成し遂げました。北京オリンピックではパブリック・ビューを設営、学生や教員が応援しました。一度、引退しましたが、2020年の東京をめざして猛練習して、7月の韓国での世界選手権で7位となり、東京五輪の代表内定第1号になりました」
 グローバル化にも傾注している。台湾の中山醫學大學とは1989年に姉妹校連携協定を締結。「本年は、『台湾料理を食す』『台湾のマインドに学ぶ』をテーマに本学の教員、学生34人が台湾研修旅行を行いました」。心理学部は、韓国の釜山外国語大学と光州大学校と国際交流協定を締結。「毎年、4人の短期留学生を受け入れています」
 大学のこれから。「少子高齢化・高度情報化・グローバル化が進行し、変動の激しい社会の中、心の健康、体の健康は社会が最も必要としていることだと思っています。地に足をつけ、大学の使命とは何かを考え、その使命を達成することが求められています」
 具体的には?「人間教育の原点に立ち、積極的で協働志向の高い人間の育成に向けて努力していきたい。そのためにも教育の質を高め、自分で考える力、創造的な思考の出来る力、それを発表するプレゼン力、代替案を作れる力という4つの力を兼ね備えた学生を社会に送り出したい」
 こう結んだ。「本学から地域社会に、そして世界に向け有為な人材が数多く巣立っていくことを心から願っています」