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特集・連載

大学は往く 新しい学園像を求めて

<211>東北生活文化大学
実学の強さと少人数教育
来年度に美術学部 「衣・食・美」が学びの柱

創立118年の伝統のなかで実学教育を重視。校名のように、生活の文化に欠かせない様々な分野で高等教育を施してきた。東北生活文化大学(山田宗慶学長、仙台市泉区虹の丘)は、現在、家政学部(家政学科及び生活美術学科)と短期大学部からなる。「衣・食・美」を学びの旗印に、4年制大学は、「衣・食・健康と美術・デザイン」を、短期大学部は「食・栄養・保育」をそれぞれ学科の柱とし、学びを深め、各種の教職課程や養成課程などで自分を高める。きめ細かな少人数教育や実学の強さを発揮した高い就職率が特長。地域住民との「ワクワクぷろじぇくと」など地域貢献活動も活発。卒業生に、人気漫画『モディリアーニにお願い』(小学館ビッグコミック連載〉の相澤いくえがいる。2019年、生活美術学科を独立させて美術学部美術表現学科を設置する予定。「高度の専門性を備えた教員がアットホームできめ細かな少人数教育をモットーに社会で必要とされる専門的な力と社会・時代の変化を理解する基礎的・教養的な力を身につけさせたい」と語る学長に学園の歩み、改革、これからなどを尋ねた。(文中敬称略)

校訓は「励み・謹み、慈み」

 建学の精神は、『高い知識と技倆を修め、常に文化創造に寄与する、清く、正しく、健全な人間の育成を目指す』。「100余年間ゆるぎなく堅持されています。創立者の教えの言葉である『励み、謹み、慈み』は、校訓として学内の石碑に収められ、校歌にも謳われています」と学長の山田。
東北生活文化大学を運営する三島学園は1900年、三島駒治先生が東北法律学校を創設。「当時の東北地方の女子教育の立ち遅れを痛感した三島駒治、よし夫妻は、3年後には裁縫を中心に教育する東北女子職業学校を創立しました」
1922年、東北法律学校を廃止。26年、東北女子職業学校に高等師範科を設置。戦後の47年、三島学園女子専門学校を設置。51年、三島学園女子短期大学を開設。
58年、三島学園女子大学(家政学部家政学科)を開設。65年、同女子大学家政学部に生活理学科及び生活美術学科を増設。キャンパスを現在の仙台市泉区虹の丘に移転。
87年、三島学園女子大学が男女共学制となり、校名を東北生活文化大学と改称。2001年、三島学園女子短期大学家政科の学科名称を生活文化学科に改称。03年、同大学家政学部家政学科に家政学専攻と健康栄養学専攻を設置。
04年、三島学園女子短期大学を男女共学とし、校名を東北生活文化大学短期大学部に改称。05年、短期大学部生活文化学科に生活学専攻と子ども生活専攻を設置。07年、大学家政学部家政学科家政学専攻を服飾文化専攻に改称。19年、生活美術学科を独立させて美術学部美術表現学科を設置する予定。
現在、大学家政学部家政学科と生活美術学科(2019年度より美術学部美術表現学科に昇格予定)、短期大学部に488人の学生が学ぶ。大学の男女比は男子3、女子7で、短期大学部は女子が圧倒的。
学長の山田が学園を語る。「建学の精神に基づいて、我が国の生活文化の向上を図るため、学術の中心として、幅広い教養を授けています。それとともに、深く生活と文化に関する専門の学芸を教授研究し、知的、道徳的及び応用的能力を展開させ、社会に貢献する人間性豊かな人材を育成しています」
各学科の学び。家政学部家政学科服飾文化専攻は、衣生活を広い視野で理解し、新時代にふさわしい服飾表現に挑む。「家政学に基づいた専門性の高い教育とファッション産業と連動した実験・実習・研修を通して、ファッション分野の様々な業種や家庭科教員として幅広く活躍できる人材を養成します」
同健康栄養学専攻は、「食」の分野から地域に貢献。高度な知識・技術を持ったスペシャリストをめざす。「家政学の科学的考察と実践教育を通して、現代社会において食生活の面から人の健康的な生活を支援する高度な専門職と生活科学への探求心を備えた人材を養成します」
生活美術学科は、美術全般を基礎から学び、コースに分かれ段階的に自分の専門性を磨く。「専門教育課程を通して、幅広い技術と教養に加え、人格的にも優れた教育者、美術家、デザイナー、クラフツマン等、造形美術分野において地域社会の発展に貢献できる人材を養成します」
短期大学部生活文化学科食物栄養学専攻は、「食」をトータルコーディネートし、安全でおいしい食事を提供する栄養士をめざす。「さまざまな食の分野で活躍する栄養士をめざして、安全でおいしい食事を提供できるよう、食に関する知識を深く学び、現場に即したレベルの高い調理技術を身につけていきます」
同子ども生活専攻は、子どもの目線に立って、子どもの生活を豊かにすることのできる保育士を育てる。「これからの子育て社会で必要とされる先生になるために、保育の心を養い、高度な専門性と豊かな人間性を備えた保育者を育成します」
特色の少人数教育。学生一人ひとりの自己実現を親身にサポートする。「クラス担任を2人にして充実させ、学生一人ひとりに対して履修指導から学生生活全般にわたって、よりきめ細かに親身な指導を行っています」
就職率は100%。少人数制を生かした計画的できめ細かな就職支援が支える。各学科とも資格取得を重視。「正規のカリキュラムの中にキャリア開発科目の講座を設け、4年間(2年間)を通して、人間力の育成と就職リテラシーの醸成に努めています」
最近の就職先として目立つのが管理栄養士・栄養士。「社会的課題の食の安心・安全の番人として、食品産業、病院、社会福祉施設、給食センター等で活躍しています。短期大学部子ども生活専攻は、ほぼ全員の卒業生が保育士、幼稚園教諭としての道に進んでいます」
伝統的に教職に就く学生も多い。「宮城県内をはじめ東北6県、関東圏で家庭科・美術科教員として活躍しています。民間企業ではアパレル・食品・サービス業などに多く就職し、主に営業・販売等の仕事で活躍しています」
活発な地域貢献活動は、「ワクワクぷろじぇくと」が象徴している。各学科の学生と教員がタッグを組み、専門分野を生かして"まちに住む人がワクワクできるようなプロジェクト"になっている。
「学んだ知識やスキルをフルに活かし、地域の生活向上をめざした暮らしデザイン活動で、『これからのまちのために、希望に満ちた楽しい暮らしを、仲間と地域の皆さんと一緒に創り出したい』という学生や教員の思いが込められています」
いくつかを紹介する。「仙台LOFT×TSBコラボ企画」は、健康栄養学専攻、生活美術学科が行う。「仙台駅前にある仙台ロフトと本学とのコラボ企画開催。3階ランチボックス売場では『3・1・2弁当箱法を使って夏を元気に過ごそう!』と、お弁当のサンプルは生活美術学科の学生がホンモノそっくりに作りました」
地域映像ソフト制作「伝統工芸の美・仙台箪笥のデザイン」は、生活美術学科の学生が手掛ける。国の伝統的工芸品指定を受けている仙台箪笥の工芸的美しさ・機能美・デザインと現状、これからの仙台箪笥について、美術・デザインの視点から提案された革新的な商品の開発などを紹介する映像を制作。
「食育フェスティバルin仙台」は、せんだいメディアテークで開催され、健康栄養学専攻の学生が「米粉を使ったおやつ作り」でブースを設け、米粉の良さを来場者らにアピールした。
大学のこれから。「少子化の流れは地方の小規模の大学にとって厳しいものがあります。『山椒は小粒でもぴりりと辛い』といいますが、小さくても特色ある大学をめざしたい。ファッション、食、アート、保育・幼児教育と、生活に関わる広い分野の学びを通して、豊かな人間力と実践力を備え、地域文化の向上と地域社会の発展に貢献できる『地域の未来を、共に創る』人材を育成したい」

こう結んだ。「そのためにも、各学科の、それぞれの学びをレベルアップする必要がある。高等教育に求められているのは、きめ細かく、教育の質を上げることです。これに傾注したい」。ひときわ強い口調だった。