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大学は往く 新しい学園像を求めて

<99>上武大学
 即戦力の職業人を育成
 駅伝や硬式野球 スポーツで存在感高揚

 「雑草精神(あらくさだましい)」と建学の精神は勇ましい。その意は、「いつの時代にあっても、どのような環境におかれても、実社会において即戦力となる幅広い職業人の育成」とある。上武大学(澁谷正史学長、群馬県伊勢崎市・高崎市)は1968年に創立された新しい大学。ビジネス情報学部と看護学部の2学部からなる。教育目標は、①学生一人ひとりの個性を尊重した教育②創造力豊かな人間形成を重視した教育③理論と実践の融合を目指した教育④地域社会や国際社会に貢献できる人材教育―である。スポーツでは硬式野球部が第62回全日本大学野球選手権大会で初優勝を飾り、駅伝部は今年度まで六年連続で箱根駅伝出場を果たしている。文化系でも吹奏楽部が2011年に全国大会銀賞に輝くなど活躍している。「世界で活躍できる若者を育てたい。そして、地域に根ざした教育・研究の重要な拠点となれるよう努力を続けていきたい」という学長に大学の歩み、改革、これからなどを聞いた。
(文中敬称略)

地域の教育・研究拠点に

 上武大学は、1950年に創立された教材出版を行う株式会社学文館が淵源。60年、学文館、高崎高等予備学校を開校。63年、学文館を学校法人にして学文館女子商業高等学校(翌年、新町高等学校に改称、79年に廃校)を開校。
 68年、商学部の単科の上武大学を設立、群馬県で最も古い私立大学になる。86年、経営情報学部を設置。2002年、商学部をビジネス情報学部に改称。04年、看護学部を新設した。
 今年度から、経営情報学部をビジネス情報学部に統合、新たな学科体制となった。新ビジネス情報学部は、スポーツ健康マネジメント学科と国際ビジネス学科の2学科に。学部学科再編を学長の澁谷が説明した。
 「2つの学部はカリキュラムなど重なるところもあり、教員のパワーも分散していたきらいがあった。また、分かれていた学部を一緒にすることで効率を図り統合再編しました」
 キャンパスは2つ。伊勢崎キャンパスにビジネス情報学部スポーツ健康マネジメント学科と旧ビジネス情報学部(2、3、4年生)、高崎キャンパスにビジネス情報学部国際ビジネス学科と旧経営情報学部(2、3、4年生)、看護学部。
 近年の大学改革は著しい。2012年、「医学生理学研究所」を立ち上げた。「看護学やスポーツ生理学の教育・研究をより一層充実させるのが目的です。今後、研究とともに、地域貢献、産学連携を目指して活動していきたい」
 今年4月には、「手がき文化研究所」を設立した。「絵手紙をはじめ絵画、書、古碑など手がきにまつわる文化を幅広く研究、公開講座などを行います。選択制の講座もあり、日本文化を学びたいという留学生からも人気です」
 学長の澁谷が大学を語る。「『雑草精神』のもと、時代や環境に左右されず、実社会で即戦力となる人材を育成しています。自己の適性を見出しながら、将来設計を立てていくことを目的とするキャリアデザインなどに力を入れ、実社会において必要とされる力を身につけるよう指導しています」
 学部の学び。ビジネス情報学部国際ビジネス学科は3コース。国際ビジネスコースは、「英語力を高めながら専門教育の学修を行い、海外研修プログラムも実施、日本はもとより国際社会においても通用するビジネスセンスを磨いていきます」
 会計ファイナンスコース。「簿記・会計の基本原理を学びながら、国際化が進む現代社会において『お金』に係る諸問題を解決できる幅広い情報力と、深い知識を持った人材育成を図っています」
 経営・経済コース。「起業家育成やNPO法人設立のための理論や実務の学修、ボランティア活動を通した地域貢献活動の手法、メディアのPR活動の実践など、実社会の問題解決に貢献できる知識と応用力を身に付けた人材を育成します」
 ビジネス情報学部スポーツ健康マネジメント学科は3コース。スポーツマネジメントコースは、「ビジネスとしてスポーツを捉え、スポーツビジネスの企画や運営、営業能力を養い、スポーツビジネスの分野で即戦力の人材を育てます」
 スポーツトレーナーコース。「実践的な運動能力を高めるとともに、効率的なトレーニング手法や肉体的機能などに関する知識を身に付け、各種のスポーツ指導者やトレーナーとして活躍することができます」
 柔道整復師コース。「柔道整復師国家試験受験資格を得るために必要な知識と技術を段階的に身に付けます。卒業後は柔道整復師として開業、医療機関等への就職、各種クラブチームのトレーナーなど活躍の舞台があります」
 看護学部看護学科は、看護師としての知識や技術だけでなく、他の職種とも共通した基礎的な医学知識を身に付ける。「どの医療現場でも患者や同僚から厚い信頼を得られるような、人間愛あふれ、卓越した看護実践能力を持つ医学に強い看護師を養成します」
 ゼミとチューター制
 教育の特色は、ゼミナールやチューター制にある。ゼミは、1年次の対話ゼミ・フレッシャーズゼミから卒業まで4年間通して行う。「少人数教育で、目的意識と表現力を養いながら専門課程に至るまで、体系的にステップアップしていきます。やりたいこと、将来の自分を見つけるための学修指導をしています」
 看護学部は、チューター制を採る。「専任教員が学生8~10人をチューターとして受け持ちます。これにより、学生一人一人のさまざまな学修課題や日ごろの学習活動について、真剣に指導を行うことができます」

資格取得支援講座開く

 就職力。「資格取得支援講座」を開講して、目標資格を取得するまでしっかりとサポートする。「就職率は全学では90%と全国平均ですが、看護学部は100%です。資格取得支援によって公務員、警察官や消防官になる学生も多くいます」
 スポーツ。硬式野球部は、プロ野球選手も多く輩出している。「今年度も、現役とOB二人が千葉ロッテと埼玉西武ライオンズに入団しました。中日やオリックス、DeNAなどで活躍している選手もいます」
 駅伝部は、2004年に早大の花形ランナーだった花田勝彦を監督に迎え強くなった。「当時の駅伝部のマネジャーが花田さんにラブレターを送ったのがきっかけです。箱根に出ることで地元も盛り上がります。地域貢献につながるのではないでしょうか」
 地域貢献も活発だ。スポーツマネジメント学科の小野里真弓ゼミは、県内のプロチームの運営に携わる。「県内には野球、サッカー、バスケットのプロチームがあります。ゼミ生は、集客戦略を研究するなど試合会場に出向いてスポーツビジネスを学んでいます」
 学生ボランティアも熱心に活動する。「防犯パトロール隊」が今年1月に結成された。「高崎市内の小学校の通学路を巡回して、児童や地域の安全を確保することで、地元の皆さまからも喜ばれています」
 大学のこれから。澁谷は、まず学生にエールを送った。「20歳前後の4年間は、人生のなかでも最も輝かしい時期のひとつと言うことができます。自らの夢をもち、何ごとにもチャレンジしてほしい。苦労はあるが、それを乗り越えて頑張ってほしい」

地域貢献と国際化に力

 こう続けた。「これからもスポーツ強化やボランティア活動を通じての地域貢献などは伸ばしていきたい。グローバル時代を迎え、英語力、英語によるコミュニケーション力に力を入れ、国際的に活躍できる人材を育てていきたい」。最後は、建学の精神に戻った。「雑草精神のもと不撓不屈の精神をもって全てに邁進してほしい」