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平成21年2月 第2349号(2月18日)

女子大の意義とは? 第1回研究会を開催

 大学行政管理学会の女子大学研究会は、去る一月三十一日、第一回研究会を武庫川女子大学において開催した。同研究会は、受験生の女子大離れや四年制志向の加速を受け、女子大学の現代的意義や女子教育の優位性を探求することを目的とし、昨年十月、同学会に設立され、この度の研究会には、二七大学・団体、五一名が参加した。
 研究会では、はじめに「女子大学の自己像」と題して、武庫川女子大学教育研究所の安東由則准教授が、二〇〇四年に行った女子大学の@パンフレットの分析 とA自己点検・自己評価報告書の分析の結果について発表した。
 パンフレットのキャッチコピーで使用頻度が高いキーワードは、「自分・私・私たち」などで、「資格」と「就職」をアピールしている女子大が多く、女子大の意義について言及している大学は約半数だったという。自己評価報告書でも、創設時の女子教育の理念はあっても、今日的な女子大学の意義は明確になっていないとし、教職員が女子大学という本質的な属性を重視すべきであると指摘した。
 続いて、大阪樟蔭女子大学の法人本部企画広報室の春口昌彦室長代理が、女子大学数や特徴、女子学生の進学動向の推移など、女子大学を取り巻く環境の変化について、二〇〇五年に自身が行ったアンケート調査の結果を交えて述べた。
 女子大学の特徴としては、@学生数の規模では中小規模の大学が多い、A人文科学分野に重点が置かれた学科構成、B都市部に立地している傾向が強い等。実学・資格志向への対応など、大学間の格差が拡大しており二極化している現状を詳細なデータから分析した。また、「女性しか入学できない大学」から「女性のための大学」へといった、存在意義の再構築が重要であると述べ、今後の課題として、組織的なニーズ分析や、保護主義的な観点からの脱却を挙げた。
 参加者からは質問が相次ぎ、企業からの求人に際する男女不平等の実態や、女子大で女性が活用されていないという自己矛盾が提示され、さらに女子大学と共学大学における女子教育の違いや、女子大の存続意義を教職員が意識することの重要性が議論された。
 最後に、同研究会の顧問で、実践女子大学の井原徹常務理事が、「社会のための大学として存在できるよう、さまざまな観点からの議論が深まり、同研究会の活動がより活発になっていくことを願っている」と同研究会への期待を述べた。
 次回の研究会は、五月十六日(土)午後、大阪樟蔭女子大学で開催。講演者に、立教大学本部調査役の寺棟ケ男氏を予定している。

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