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平成19年1月 第2257号(1月1日) 2007年新春特別号

2007年 新春座談会
  「全入時代の教育と私学経営 高度化と多様化への対応」
  学校法人制度を堅持し私学振興を 建学の精神の下、特色ある教育を展開

改正教育基本法を私学振興の根拠に

 中原 安倍首相が昨年末の国会の最優先課題として掲げた教育基本法の改正案が参議院本会議で与党の賛成多数で可決、成立しました。教育基本法は昭和二十二年にできた非常に古い法律ですが、ちょうど六〇年目にしてやっと改正にこぎつけたといった感じです。ご承知のとおり、この改正教育基本法には新たに第七条に「大学」、第八条に「私立学校」について条文が定められ、特に私立学校については「私立学校の有する公の性質及び学校教育において果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならない」と定められています。さらに第十七条には「教育振興基本計画」として、基本的な講ずべき施策を定めることなどが書かれており、この改正教育基本法を今後は私学振興の大きなバックボーンとして歓迎したいところです。
 瀧澤 どうもありがとうございました。
 今、中原先生からお話のあった教育基本法の改正案が成立したということで、これまで大学の理念、私学の理念が規制改革の流れの中で大きな影響を受けてまいりました。そういうところに教育基本法が改正され、大学や私立学校の理念を再認識しようという動きが実ったことになります。今後の新しい規定をめぐっての動きに大いに関心を持っていく必要があると思います。
 大橋 教育基本法の改正では、世間の注目がもっぱら愛国心の扱いに向けられていましたが、大学関係者にとっては大学に関わる第七条が、私学関係者にとっては私学振興の支えとなる第八条が、新たに加わった条文として将来に向かって大きな力となることを願っています。既に申し上げましたように、これまでは大学といっても、実は学部大学、大学院、専門職大学院の三つの独立した組織があるようなひずんだ形になっていました。教育基本法の改正によって、大学というのは一つの組織であって、その中に多様なレベルのプログラムを提供する教職員集団が存在しているという本来あるべき姿に変わってくれば、これは大変いいことではないかと思っております。
 廣川 新たに日本の伝統文化を重視する視点が加わり、大学と私学への援助が必要というわれわれがこれまで主張してきた内容が改正法に明記されていますので私学助成にも繋がるものと期待しています。
 これまで、私立学校振興助成法ができて私立大学等の経常費の五〇%助成が認められたにもかかわらず、国の財政難を理由に一一%そこそこになってしまっています。
 われわれは、学校法人、私立大学として公の私学精神が社会に信頼を受けるようにコンプライアンス、情報公開に努力すると同時に、せっかくの改正法がお題目で終わることのないよう積極的に行動していく必要があると思います。

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