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平成22年4月 第2397号(4月14日)

新刊紹介
 「大学経営起死回生のリーダーシップ」
  高木直二 訳

 カタカナが主人公の小説はストーリーを追うのに難儀する。臨場感が希薄になる。この本も、登場する人物や大学名などがそうなので、イメージを掴むのに苦労した。
 米国の二人の著者が〈高等教育の世界においてリーダーシップはどうあるべきかについて、その王道を正面から述べた〉もので、〈研修用テキストとなり得る完成度の高い本〉だという。
 30年間の研究に基づいて、米国の大学リーダーが最高の成果をあげたときのリーダーとしての行動について聞き書きなどしてまとめた。価値ある助言が散りばめられ、箴言集としても読める。
 一章で、模範となるリーダーシップの5つの行動を解説。二〜六章で、5つの行動を詳しく紹介。七章でリーダーシップは〈誰もが実践できる「行動パターン」であるかを考察する〉
 5つの行動のうち「ビジョンを分かち合う」で〈高い収入より面白い仕事〉をいい、「人が働きやすいようにする」で、〈顔を合わせてのやりとりを促進する〉を主張するのは日本人の琴線にも触れる。
 訳者は、@少子化の中、どのように入学者を確保したらよいかAどのように質の高い教員を確保するかB施設を維持するための資金をどう捻出するか、など日本の大学関係者に役立つと言う。
 この国にも、財務の立て直しを行い、「早大のゴーン」と呼ばれた関昭太郎やこの欄の上に登場する加藤 寛ら優れた大学のリーダーはいる。願わくは、次は日本版を、カタカナを極力抑えて。

 「大学経営 起死回生のリーダーシップ」 高木直二 訳
 東洋経済新報社
 п@03―5605―7021
 定価 1800円+税

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