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平成23年12月 第2465号(12月21日)

大学は往く 新しい学園像を求めて〈34〉
  大阪経済法科大学
  「Sコース」で822人が資格取得
  八尾駅前に新キャンパス 正課と共に特別講座

 経済と法律を両輪に、「社会に活きる」大学を目指す。大阪経済法科大学(藤本和貴夫学長、大阪府八尾市)は、建学の理念の「経済と法律が社会の両輪であり、この二つの学問を修めることによって無類の人格を形成することができる」に則り、「実学教育」によって社会で活躍する人材を輩出してきた。同大学が誇るのは、独自の教育プログラム「Sコース」。難関試験合格や資格取得のための特別講座で、正課授業と並行して試験勉強に打ち込む。昨年度は、公認会計士試験現役合格をはじめ822人の資格取得者が誕生するなど、同大の「就職力」と「資格力」のエンジンになっている。開学40周年を迎え、実学力・実践力を重視した新カリキュラムに基づくコース制改革や近鉄八尾駅前の新キャンパス開校など、再び、新たな挑戦を始めた。大阪経済法科大学の実学教育の実際、これまでの歩みとこれからについて、学長に聞いた。(文中敬称略)

就職力と資格力 経済と法科が両輪

 大阪経済法科大学は、今年開校40周年を迎えたばかりのフレッシュな大学である。創立者の金澤尚淑が1971年に大阪府八尾市に経済学部と法学部の2学部からなる大阪経法大を開設した。
 学長の藤本が創立者を語る。「金澤博士は、経済学と法学を学び、その後、実業界に入り、経済と経営に通暁するにつれ、法律に対する精確な認識が不可欠なことを改めて確信。知識基盤社会の到来を予測して、学ぶ意欲を持ち、そのための努力を惜しまない者すべてに門戸が開かれた本学を創立しました」
 徹底した実学教育を行い、これまでに約4万人の卒業生を送り出してきた。現在、八尾市の花岡キャンパスで2学部、2300人の学生が学ぶ。同大学が力を入れてきたことの一つが、高校と大学の教育をつなぐ「初年次教育」である。
 「大学生としてのスタディスキルを身につけると同時に、自分の将来に対する希望、学び・考えることの楽しさ、目標に挑戦する勇気を育てることを重視。入学生を1クラス20人以下にして、教員、職員、学生(2〜4年生)の3人で指導します。学生は職員には話しやすいようで、単位や就職などの相談もするようです」
 4年間のキャリア教育を説明する。「1年次には社会を知り、自分の適性を知るキャリア開発、2年次からは学部の専門ゼミとともに、キャリア・就職支援を目的としたキャリアデザイン演習のWゼミがスタート。
 3年次では実践的なキャリア演習のほか、国内外で充実したインターンシップも体験できます。4年次には、就職情報の提供、模擬面接の実施、加えて専任のキャリア支援職員がきめ細かいフォローを行います」
 「一人多資格」が目標
 「Sコース」は、1997年に開設された。受講料無料で法科大学院入試や公務員などの難関試験合格をバックアップ。ほかにも「一人多資格」を目標にさまざまな資格取得を支援する。教員とともに実績ある専門学校の講師らが試験対策などをサポートする。
 「Sコースは、入学の際にSコースに入るかどうか、を聞きますが、半数近くが受講します。一人多資格は、一人で4から5の資格を取る学生もいますが、数でなくステップアップした資格を取るよう指導しています」
 毎年2月には、資格検定合格者祝賀会を催す。それは、高い就職率にもつながる。「2010年度は92.2%(就職者数482人/就職希望者数523人)と高い就職率を実現。就職に役立つ資格取得の支援で、4年連続800人以上の学生が何らかの資格・検定試験に合格しました」
 「Sコース」の実績。公務員試験合格者49人(国家公務員オタ種、東京特別区職員、京都市役所、奈良県庁、大阪府警、兵庫県警、東京消防庁など)、法科大学院・大学院合格者三一人(大阪大、大阪市立大、同志社大、立命館大、関西学院大、関西大などの各法科大学院、大阪大の経済学研究科など)
 大阪経法大は、来年度、さらなる教育改革を行う。経済学部、法学部ともに新しいコース制となり、グローバル化するビジネス社会に対応したカリキュラムを組む。
 経済学部は、経済専攻領域の「グローバル経済」「総合政策」と、経営専攻領域の「会計・ファイナンス」「ビジネスマネジメント」のコースを設置。「経済と経営をともに学ぶことで、より幅広く社会を捉え、社会に役立つ学びを充実させます」
 法学部は、既存の「法曹」「公務員」に加え、「ビジネスロー」「国際関係」の4コース制となる。「ビジネスシーンでも活躍できる法的知識と能力を養います」
 2012年春には、近鉄八尾駅前に都市型キャンパスが誕生する。高さ60mのタワー型キャンパスに最先端設備と教育メソッドを満載した豪華な学びのステージ。
 「八尾駅前キャンパスには、大講義室は設けず、20ものゼミ室をつくりました。講義や演習で、徹底した少人数対話型教育を実施。また、学生が能動的に授業に参加するアクティブラーニングで実践力を高めます」
 さらに、全館無線LANを敷設し、社会で必要とされるICTスキルも自然に養う。「大阪でも有数の先端産業集積地である八尾市・東大阪市を舞台に、フィールドワークやプロジェクト学習など実践的な学習がさらに充実します」
 2011年春、学生ホール棟「クロノス」が完成した花岡キャンパス。「1年生と2年生の一部が花岡キャンパス、2年生の一部と3、4年生が八尾駅前キャンパスで学びます。二つに分かれますが、近接しているので一つのキャンパスととらえ、お互いの特長を生かしていきたい」
サークル活動も盛ん
 サークル活動。スポーツでは、テコンドーが強いことで知られる。2000年のシドニー五輪テコンドー競技に代表選手を派遣。空手道部や卓球部も強豪。「文化系では囲碁部が関西の強豪の京大、阪大、立命館大に伍して頑張っています」
 地域貢献はユニークだ。花岡キャンパス内のふれあいの池では、環境活動グループが絶滅危惧種の「ニッポンバラタナゴ」を繁殖中だ。「地元の八尾市から要請を受けて繁殖させています。市役所の展示用水槽で見ることができます」
 学生の国際交流も盛んだ。国際学生交流セミナーは今年で5回目。昨年は5大学(中国・復旦大学、韓国・崇実大学校、ロシア極東連邦大学、国立台湾大学、大阪経法大学)の学生が参加した。「今年はモンゴル国立大学の学生が加わり、6カ国、35人の学生がソウル、大阪、上海の3都市で合同セミナーを行い、友情を深めました」
グローバル化を促進
 最後に、大学のこれからについて聞いた。「グローバル化をもっと促進していきたい。アジアと本学の学生が共に学ぶ中で、語学力や、コミュニケーション力を体得するシステムをつくっていきたい。来年度から経済、法律の両学部に国際系のコースを設置したのは、グローバル人材が求められる現代社会のニーズに対応したものです」
 こうつけ加えた。「来年度から、リーディングカンパニーへの就職を見据えた就職版SコースともいえるBLP(ビジネスリーダープログラム)が始まります。ここでは、論理的思考やコミュニケーション力、プレゼンテーション力などを養います」
 大阪経済法科大学は改革をやめない。グローバル人材が求められる時代を、経済と法律を両輪に、グローバル化対応と、実績を誇る独自の教育プログラム「Sコース」によって新たな時代を切り開こうとしている。


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