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平成21年10月 第2376号(10月14日)

私大協会
  留学生担当者協議会を開く
  留学生の在籍管理など事例発表

 開会に当たり、同委員会委員の谷岡一郎大阪商業大学理事長・学長が「留学生30万人計画は進行しているものの、新政権下での施策の動向が見えない中、留学生政策は混沌としているが、私大全体として今後どのような対応が求められるのか考えていきたい」と挨拶した。
 さっそく協議に入り、始めに、「国際交流と私立大学教育の質の向上―留学生30万人計画を活かして」と題し、佐藤東洋士委員(桜美林大学理事長・学長)が基調講演を行った。
 同氏は、去る7月に日本私立大学団体連合会が取りまとめた報告書『私立大学における教育の質向上』の内容を踏まえ、今後の留学生施策の在り方を語った。
 海外から多くの留学生を迎え入れ、グローバルな方向を目指して自己改造を図ることは、大学教育の質を高度化する結果につながるとした上で、『30万人計画』に対して、(1)教育・研究活動の活性化(教育内容の明確化、外国語による授業の導入、厳正な成績評価、学位制度の見直し)、(2)留学生受入れ環境整備(生活サポート・住環境、就職支援、フォローアップ)などが欠かせないと強調した。
 次に、「留学生に係る出入国管理行政の現状と改正入管法の概要について」と題し、法務省入国管理局入国在留課の菅野典子法務専門官が講演。
 同氏は、近年の留学生の新規入国者数、外国人登録者数、不法残留者数等の国別データを説明した上で、入管法改正の概要として、@在留カードの交付、A留学生による退学・卒業の届出、B教育機関による留学生の受入状況の届出、C在留期間の上限の伸長、D在留資格「留学」と「就学」の一本化など留学生・教育機関に関する主な事項を説明した。また、入管法施行規則改正の概要として、@申請様式の変更、A在留資格「留学」及び「就学」の在留期間の新設、B資格外活動許可の方法の追加的変更などを詳細に解説した。
 講演の最後は、「留学生30万人計画と文部科学省の留学生政策」と題し、文部科学省高等教育局大学改革官、学生・留学生課の江涛T宏留学生交流室長が講演した。
 同氏は、「留学生30万人計画」推進のため、国際的に開かれた大学づくりと国際的な枠組みでの質保証の推進やアジア等の成長に貢献する人材育成拠点整備の各種施策について解説。併せて、中教審大学分科会の「中長期的な大学教育の在り方に関する第二次報告」について、留学生に関わるポイントを概説した。
 休憩をはさみ二大学からの事例報告が行われた。
 工学院大学の事例では同大学の臼杵潤子国際交流センター課長補佐が「データベースによる外国人留学生の在籍管理」を発表した。
 同大学では、留学生数は少ないが、全学共通の在学生の在籍管理を@「学園統合業務システム」、A「学園ポータルシステム」などで管理するとともに、留学生のみを対象にB「留学生情報エクセルデータ」による管理(パスポート番号・有効期限、在留期間、外国人登録証明書番号、現住所、連絡先電話、Eメール、資格外活動許可番号・許可期間、アルバイト先情報、国民健康保険加入者証明番号・有効期限)など、14項目にわたっての留学生調査データを管理している。同氏は、これら三つの管理システムの長所・短所を補足説明もした。
 次に、東京国際大学の事例を横川知嘉国際交流事務部部長が「外国人留学生の危機管理に関する取り組み」を発表した。同大学には、現在学部生663名、大学院生97名が32か国から留学している。
 同大学では、多くの留学生がいることから不法滞在者の発生には厳しく対応し、外国人入試、在籍管理、留学生支援、奨学金などを充実させている。
 外国人入試では、出願書類の窓口持参(海外からの出願は不可)、日本語学校等の出席率重視(八割以下は不可)、保証人・教育委託者へ直接電話(中国のみ)、斡旋業者の排除など。また、在籍管理では、学生情報の一元管理、学生原簿として学籍管理・成績管理、授業出欠管理などのほか、パスポート・在留資格等の各種書類のコピー等を提出させる。
 留学生支援では、二週連続して休んだ学生への連絡や学業問題・生活面の指導のほか、トラブルへの対応にも万全を期している。
 今後の課題について同氏は「退学・除籍者の減少、就職支援の強化、留学生宿舎の整備などに取り組みたい」との抱負を語った。
 質疑応答の後、協議会は閉会となり、その後情報交換会が行われて終了した。

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