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教育学術オンライン

平成21年9月 第2374号(9月23日)

BEAT
  教育イノベーション起こせ
  飯吉氏(MIT)、本間氏(立命館)、田中氏(京大)が講演

 東京大学大学院情報学環のベネッセ先端教育技術学講座(BEAT)は、九月九日、同大学において、公開研究会「日本の教育×オープン・イノベーション〜世界に貢献できる人財づくりと教育富国を目指して」を開催した。
 グローバル社会の中で、日本人がリーダーシップを発揮し貢献していくためには、日本の高等教育システムを、より世界に開き、絶え間ない教育イノベーション(教育に関わる文化や価値観、生活・行動様式の変革)を通じて、名実共に成長させ続けていく必要がある。このたびは、そのような背景をもとに、三人の講師が講演、会場と議論を行った。
 まず、飯吉 透MIT教育イノベーション・テクノロジー局上級ストラテジストが演台に立った。教育イノベーションの事例として、MITの取組を紹介するとともに、学習者の興味・能力・必要に応じたオンデマンドな知識・技能の習得を、テクノロジーの利用により支援する教育パラダイムの転換が必要だとした。更に、日本の大学が世界に伍していくためには、大学を世界に開き、国際化を推し進めなければならない、と危機感を訴えた。
 次に、招待講演に本間政雄立命館副総長(新戦略・国際担当)が登壇。これからの大学…何をなすべきか?をテーマに、現場の詳細な事例を交えて、どのように大学改革を進めていくべきかを語った。大学は経営・教育・研究に関するデータ収集・分析を行いつつ、戦略と計画を策定する必要がある。改革を妨げるものとして誰も責任を取らない「集団的無責任体制」、危機感の希薄さ、欠如を挙げた後、「FDもSDも形式的なものばかり。どこまで本気かわからない。必要なのは学長、理事長のリーダーシップ、それから現場の教員がどこまで覚悟を決めるかだ」と力を込めた。
 指定質問として、田中毎実京都大学教授・高等教育研究開発推進センター長は、「二人の主張にどこまでのリアリティがあるか」と疑問を投げかけるとともに、自らの考えと取組を述べた。田中氏は関西地区の広域FDネットワーク等を手がけるが、教育改善はまだ未成熟で非組織的で不確実であるとした上で、「大学の取り組みは一般化できず、地域性が尊重されなければならない。その上でオープン化、組織的な連携が成されるべき」などと述べた。
 その後、三講師は会場からの質問に答え、会場を変えての懇親会では日本の教育の未来について熱心な議論が続いた。

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