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平成21年9月 第2373号(9月9日)

新刊紹介
  「楽しく挑戦 就職活動」
  河田美恵子・森田育代著

 就職氷河期の再来などといわれ、大学生の就職は厳しいものがある。企業の急速な業績悪化に伴い、09年春卒業の学生の内定取り消しが続出した。
 世の中を俯瞰してみれば、その通りだが、人は食べるためには働かなくてはならない。学生にとって〈就職は人生の二つめの節目〉と著者は書く。
 〈一つめは、親の庇護を離れ学校教育スタートのとき、二つめは、学校教育を終えて社会活動に踏み出すとき(就職)、三つめは、職業人として社会活動期に区切りをつけたとき(定年)〉
 四章からなるが、一章の「学生生活の基本の心得」に著者の「思いのたけ」が篭る。挨拶、お辞儀、言葉遣い、立ち振る舞いなど、美徳でもある日本古来の「しぐさ」を諭す。
 昨今の若者の言動をみるにつけ、「そんなことも、できないのか」という年配者の声が聞こえてきそう。しかし、現実は、その通りで、どこかで直してやらないと美徳も何もない。
 今の若者は、美しい「しぐさ」を家庭でも、学校でも教わらなかった。だとしたら、「人生の三つめの節目」を機会に、教え、正してやればいい。こちらも居づまいを正して読んだ。
 二章以下では、履歴書、エントリーシート、内定承諾書の書き方から職業人の心構えなどを教える。
 かつて、『面接の達人』なんて本が就活生のバイブルといわれた。いまも毎年改訂出版されているとか。
 達人本は、意に適わないので読まないが、この本は別物。共に秘書経験ある著者の若者に対する優しい眼差しがあり、背後に凛とした背骨がみえてくる。

 「楽しく挑戦 就職活動」
 河田美惠子・森田育代著
 学文社
 03―3715―1501
 定価1300円+税

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