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教育学術オンライン

平成21年9月 第2373号(9月9日)

高めよ 深めよ大学広報力〈番外編〉
  広報力 加盟校アンケート
  「費用対効果」など悩む Pリリース大半が発行 ブランド力強化が狙い
  学内外にアンテナ張れ 広報担当に助言Pリリースに工夫を

 教育学術新聞はこのほど、加盟大学三八四大学に読者アンケート(7月末締切り)を行った。@本紙への要望やアドバイス、取り上げて欲しい企画、A大学広報の取組みについて、B取り組む教育、研究、社会貢献などでユニークなもの―を尋ね、113大学(29.4%)から回答があった。
 ここでは、「大学広報の取組みについて」のアンケート結果を「大学広報力」の番外編として取り上げる。回答を寄せた大学は、どこもプレスリリースを発行するなど、大学の姿を外部の人に知ってもらおうと一所懸命の姿勢がみられた。
 一方で、広報の費用対効果、学内での情報共有化やウェブの活用、危機管理の広報などに関して真剣に考え、悩んでいる様も明らかになった。
 そこで、アンケート結果(概要)を報告するとともに、「大学広報力」企画を連載してきた記者が寄せたアンケートの回答に対する助言を別項で掲載した。

 [プレスリリース]
 メディアへの発信(プレスリリース)はされていますか?という質問には、「その都度」、「不定期」、「年間70回」というように、発行頻度に差はあるが、回答した大学の大半がプレスリリースを発行していた。
 送り先は、FAXを通じて「地元紙」、「地元メディア」の回答が多く、具体的に、「(県庁や市役所、大学の)記者クラブ」と書いていたのが10大学あった。
 送り先を、「宗教系新聞4社宛て」、「看護師向け雑誌へ」などとする専門系大学ならではの回答も。
 また、「大学プレスセンターを通じて送る」と回答したのが3大学。これは、受験産業のサイトにいったん送り、そこからマスコミに送ってもらう、有料だ。
 送信手段は、FAX以外で「ホームページでも公表」という回答が4大学。送信の装置については尋ねなかったので、HP使用は、もっと多いとみられる。
 [リリースの中身]
 「大学の行事やイベント」と回答した大学がほとんど。具体的には、「入学・卒業式」、「学長などの人事」、「運動部の成績やサークルの発表会」、「教育や研究発表」、「セミナー、講演会や公開講座」、「学生の地域貢献」など。
 詳細に回答した大学もあった。「教育・研究の成果、大学の取組み(改革等)や大学主催イベントを県内のマスコミを中心に、内容によっては東京のマスコミにも発信」(九州の大学)
 「大阪科学・大学記者クラブを通じてのルート配信、地元メディア密着型メディアへの個別配信によって、教職員や学生の教育・研究成果、各種イベントを発信」(関西の大学)
 [課題]
 続いて、大学広報の課題は何でしょうか? と聞いた。多くの、様々な回答(課題)が寄せられた。各大学の広報に対する関心の高さを示す証左といえる。課題を類型化してまとめた。
 @大学広報の目的
 「大学のブランドの確立、募集力強化」、「大学の知名度を上げる」、「他大学との差別化、ブランディングの確立」、「受験者獲得に直結するような大学情報の提供」など知名度アップ、ブランディングをあげる大学が目立った。
 「大学には、その研究成果を社会に伝える義務がある。そのためにも、研究者と社会を繋ぐ広報の役割がより重要になる」(都内の大学)と高い問題意識を持った回答もあった。
 A費用対効果
 「広報は費用が伴う」、「広報コストはかかるのに、効果の測定が難しい」、「経費的に厳しい今、広報費増額には広報への理解が必要」、「広報予算確保に難儀している」、といった費用対効果に煩悶する回答が二四大学からあった。
 「(費用をかけ)広報宣伝強化は、志願者増につながるのか、教育機関として適切か」(九州の大学)、「学生募集につながる広報戦略の充実は大事だが、コストパフォーマンスとの兼ね合いが…」(関東の大学)と学生募集に絞って費用対効果を指摘する回答も。
 B職員の広報能力向上
 「事務職員の広報能力向上と、学園全体の広報活動への意識改革」、「ニュースの掘り起こしなど教職員への働きかけ」、「積極的な情報発信を行っていくための全学的な整備」、「学内構成員の広報マインドの醸成」など、職員の広報力アップの必要性を指摘する回答が目を引いた。
 CHPの活用
 前述のプレスリリースの項でも触れたが、HP活用は流行り。「ネットが普及したため、紙媒体中心からの見直しが必要」、「ウェブを通じ、いかにタイミングよく大学発の生き生きとした情報を発信していくか」、「学内情報の収集とHPにおける情報発信」などネット重視の回答があった。 
 D危機管理など
 危機管理を上げたのは三大学。「危機管理の対応には、マスコミ各社との関係を良好に保つ」(東北の大学)など不祥事が起きた場合の対応を心配していた。地域貢献について「地域貢献や社会貢献の取組みを、広く広報できるか否か」(九州の大学)という回答も。
 また、「総務課が、人事、経理、庶務、産学連携、地域貢献、競争的資金、そして広報も担当しているので広報には手が回らない」(東海の大学)という切実な声もあった。

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