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平成21年9月 第2372号(9月2日)

教育振興基本計画部会
  アクションプランの進捗状況審議
  基本的方向ごとの目標・施策・課題

 中央教育審議会の教育振興基本計画部会(田村哲夫部会長)は、去る8月25日、東京・霞ヶ関の霞山会館において第三回会合を開き、昨年7月に閣議決定された教育振興基本計画のその後の進捗状況や来年度の施策の方向性などについて審議した。
 同計画で取り組む重点施策の四つの基本的方向のうち、高等教育に関わる平成20年度の取組結果と課題については、次のように総括した。
 『基本的方向3:教養と専門性を備えた知性豊かな人間を養成し、社会の発展を支える』では、▽学士課程の学習成果として共通に求められる能力の養成、▽「知」の創造・継承・発展に貢献できる人材の育成、▽大学の連携等を通じた地域再生への貢献などが実施目標であり、組織的なFDの実施、厳格な成績評価制度の導入、各学問分野の世界的教育研究拠点の形成、留学生の受入れ・派遣の支援事業の実施、大学地域コンソーシアム形成の進展、複数大学の共同教育課程の編成など、それぞれの取組みを充実させた。
 今後の課題としては、大学設置基準、設置認可、認証評価制度、情報公開等の教育の質保証の検討をさらに推進する。また、地域再生の核となる大学間の戦略的連携の支援を推進する。
 『基本的方向4:子どもたちの安全・安心を確保するとともに、質の高い教育環境を整備する』では、▽安全・安心な教育環境の整備、▽教育の機会均等の確保などが実施目標であり、公立小中学校施設の耐震化等の推進、124万人の学生等に対する奨学金事業や就学援助、授業料減免等の支援を実施した。
 今後の課題としては、地方公共団体等の支援に努め、学校施設の耐震化をさらに進めるとともに、経済的理由で修学が困難な者に対し、どのような具体的な施策が求められるか検討し、可能なものから実施していくこととした。
 これらの基本的方向に沿った施策等の進捗状況を示した上で、引き続き、平成21年度の「教育重点施策2009〜平成21年度教育振興基本計画アクションプラン(各年度に重点的に取り組むべき施策)〜」を確認した。
 平成21年度では、同20年度の基本的方向に沿って、実施目標を次のように定めている。
 『基本的方向3』では、▽高等教育の質の向上を図り、「知」の創造・継承・発展に貢献できる人材を育成する、▽大学等の国際化を図る、▽大学等の連携を通じた地域振興のための取組などの社会貢献活動を支援する。
 『基本的方向4』では、▽子どもたちが安全・安心な質の高い空間で学び、生活できるよう、教育環境の整備を推進する、▽私学助成や奨学金の一層の充実を図る。
 これらの目標については実現に向けての進捗状況を毎年度点検していく。
 なお、併せて、平成22年度の「教育重点施策2010」の策定の方向性については、施策等の進捗状況の検証が効果的に行えるように改善を図る。
 達成目標と行動内容の関係、各施策と各事業の関係を明確にし、具体的な事業内容を示した「行動計画」となるようにすることとなった。
 そのほか、去る7月の「教育安心社会の実現に関する懇談会報告〜教育費の在り方を考える〜」で提言された内容について、文科省における学校段階別の検討状況が報告された。
 幼児教育段階:無償化の実現へ向けて具体的な検討を進めるとともに、今後とも幼稚園就園奨励費補助金等を充実する。
 初等中等教育段階:修学支援制度の現状と課題、今後の改善策等について専門的な見地から、有識者で構成する「児童生徒の修学支援に関する検討会議」を中心に検討を進めていくこととする。
 高等教育段階:大学段階における教育費の負担軽減については、引き続き授業料等の減免措置の拡充や貸与奨学金の充実に努める。
 大学院段階では、高度の人材養成の観点から、ティーチング・アシスタント(TA)・リサーチ・アシスタント(RA)等を通じた経済的支援など、学生に対する給付型の経済的支援の充実に努める。そのため、平成二十二年度概算要求において、これらの取組を進めるために必要な経費を要求する。

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