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教育学術オンライン

平成21年7月 第2368号(7月22日)

教学・経営の理解を深める
  大学職員サポートセンターがセミナー開催

 去る7月18日、「大学職員サポートセンター(小日向 允理事長)は、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷において、「大学経営人材養成セミナー2009」の第1回を開催した。同セミナーは、大学が教育・研究・社会貢献を確実かつ効果的に行うため、マネジメント等について全10回に分けて学ぶもの。各回は、大学の存在の基盤を探求する基礎理論編と課題を解決する指針を示す実践編で構成されている。この度の第1回のセミナーでは、全国から国公私立大学の教職員らが参集し、「高等教育論」と「教育評価論」について学んだ。

 はじめにオリエンテーションが行われ、同サポートセンターの小日向理事長と澤田 進理事が開催主旨等を述べた。
 講座では、絹川正吉国際基督教大学名誉教授が基礎理論として「高等教育論」について、主に大学教育論、教育論・知識伝達の構造、学生論について講義を行った。
 「知識基盤社会」への対応と「大学のユニバーサル化」の問題が一緒くたに議論されているために、政策と現実の問題を抱える大学とにギャップが生じていることを指摘し、「ユニバーサル化」の視点で、大学教育を普遍的に認識することが、「大学教育の理論」を構成すると述べた。かつての大学教育は、ディシプリンを継承し、発展させることであったが、今日の大学教育の理論的視点は、ユニバーサル化した学生に対する教育内容・カリキュラム・教育方法を示す等、「学生の学習支援」であると述べた。
 また、社会化(個人が当該集団の容認する社会的行動を習得することによって、集団への適応を学習する過程)は、学校教育の意義であるが、大学教育が「社会化」であるということは、「大学」は「学校」ということになる。大学の理念は「真理の探究」=「社会変革力」であって、「学校化」に対する大学人の抵抗感覚は正当であると述べた。社会は大学の「学校化」を求めており、現実は「学校」になっていることも指摘した。
 学生論については、大衆化した時代の大学教育の意義を見出すのであれば、学生を知らずにはできないと述べた。学生を知るための手法としては、IRを挙げた。IRは、大学が変わるための調査であり、調査結果により何かを行うものではないと述べた。
 大学教育や学生論を考える上での示唆に富む話に参加者らは聞き入った。
 続いて、高知工科大学の岡村 甫公立大学法人高知工科大学理事長が、実践講座として「教員評価論」について、講義を行い、同大の教員評価システムの特徴について、また具体的に評価の計算式を紹介した。
 同大においては、平成13年度より教員評価を試行的に実施し、15年度より本格的に採用し、現在に至っている。特徴は、プロセス評価ではなく、結果評価であること。16年度からは、評価結果の三年平均を昇給に反映させている。
 岡村氏は、結果を重視することは、プロセスを良くすることになるが、プロセスを重視しても結果がよくなるわけではない。自己点検すれば自己評価できることが重要であると述べた。
 また、大学評価システムは、大学評価に必要な資料が自動的に集まってくる仕組みであると述べた。

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