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平成21年7月 第2367号(7月15日)

文科省
  特集・大学の国際化と地域貢献
  平成20年度文部科学白書

 文部科学省は、『平成20年度文部科学白書』を公表した。同白書は、文部科学省全体の施策を広く国民に紹介することを目的とし、毎年刊行されているもの。特集と文部・科学技術の動向と展開の年次報告部の二部構成でまとめられており、平成20年度の特集テーマは、「教育政策の総合的推進」と「大学の国際化と地域貢献」について記述されている。ここでは、特集「大学の国際化と地域貢献」及び二部から「第四章:私立大学の振興のために」を取上げる(一部省略)。

大学の国際化と地域貢献

 一、大学の国際化
 知識基盤社会の到来や、大学の機能別分化が進む中、我が国の大学は、教育研究機能の高度化、国際競争力の強化、国内外での社会貢献を図るため、様々な国際化に向けた取組を組織的・継続的に行っていくことが期待されており、積極的な取組が行われている。
 文部科学省においても、「国際化拠点整備事業(グローバル30)」など国際化に取り組む各大学を支援している。平成20年7月に関係6省により「留学生30万人計画」が策定され、2020年を目途に30万人の留学生受入れを目指し、我が国への留学について関心を起こす動機付けから、卒業・修了後の進路に至るまで、関係省庁・機関等が連携して総合的な施策を実施することとされている。
 二、地域の発展と大学
 大学は、地域の「知の拠点」として多様な役割・機能を果たす中で、地方公共団体・企業と連携した共同研究・受託研究や、大学教員による高校への出前授業など、地域の様々な機関と連携し、多様な取組を展開している。国としても、これらの取組を一層推進する観点から、戦略的大学連携支援事業、社会人の学び直しニーズ対応教育推進プログラム、産学連携による実践型人材育成事業など多様な支援を行っている。

私立学校の振興のために

 一、重要な役割を果たす私立学校
 私立学校に在学する学生・生徒などの割合は、大学・短大で約8割、高等学校で約3割、幼稚園で約8割、専修学校・各種学校で9割以上となっており、私立学校は我が国の学校教育の発展に大きく貢献している。また、グローバルな知識基盤・学習社会の中で、各私立学校は、多様化する国民のニーズに応じた特色ある教育研究の推進が求められており、それぞれが建学の精神に基づく個性豊かな活動を積極的に展開している。このように、私立学校は、我が国の学校教育の発展にとって質・量両面にわたり重要な役割を果たしている。
 このため、文部科学省は、私立学校の振興を重要な政策課題として位置付け、その教育研究条件の維持向上と在学する学生生徒などの修学上の経済的負担の軽減を図るとともに、経営の健全性を高めるため、次の施策をはじめとする振興方策を講じ、その一層の充実に努めている。
 さらに、学校法人が近年の急激な社会状況の変化に適切に対応し、様々な課題に対して、主体的、機動的に対応していくため、平成17年4月1日から、A学校法人における管理運営制度の改善、B財務情報の利害関係人への公開、C私立学校審議会の構成の見直しを主な内容とする改正私立学校法が施行された。
 【私立大学に対する助成】
 一、経常費に対する補助

 一般補助は、平成19年度より、各大学等の経営の効率化を促すため、定員割れ大学等への減額の強化を段階的に行っている。
 特別補助は、平成20年度は、各大学等が特色を活かせるきめ細やかな支援をより一層充実させ、また、経営の効率化や学校規模の適正化などの経営改善に取り組む大学等を支援するため、19年度より設けられた「定員割れ改善促進特別支援経費」を拡充させた。
 二、施設・設備等の設備に対する補助
 文部科学省では、私立大学などに対する施設・設備について、次のような補助を行っている。A私立大学が各大学の経営戦略に基づいて行う研究基盤の形成を支援するため、研究プロジェクトに対して重点的かつ総合的に補助を行う「私立大学戦略的研究基盤形成支援事業」、@学術や教育に必要な機器の整備に対する補助、A校舎などの耐震補強工事、アスベスト対策工事、バリアフリー化工事に対する補助。平成20年度予算では、合わせて約223億円を計上している。このうち、@Aに関する補助金の配分に当たっては、外部の学識経験者から構成させる委員会において審査・選定を行っている。
 【私立学校振興方策の充実】
 一、日本私立学校振興・共済事業団の事業

 私立学校振興のための施策として、文部科学省から私立大学等経常費補助金の交付を受け、これを私立大学などを設置している学校法人に交付しており、平成20年度の交付額は、3249億円を予定している。
 さらに、私立学校の校地・校舎などの施設設備の整備などに必要な資金については、長期・低利の有利な条件で学校法人への貸付けを実施しており、平成20度においては、総額約600億円の貸付けを計画している。
 二、私立学校に関する税制
 特定公益増進法人の証明を受けた学校法人に対する寄附金については、個人の場合には所得控除、企業などの法人の場合には一般の寄附金とは別枠で損金算入が認められている。個人が学校法人に寄附を行った場合については、平成19年分より所得控除の対象となる寄附金の限度額が引き上げられた。また企業などの法人が学校法人に寄附を行った場合については、20年度より、法人税の損金算入限度額が引き上げられた。
 三、学校法人に対する経営改善支援
 平成20年度において入学定員を満たしていない私立学校が、大学で266校(約47.1%)、短期大学で243校(約67.5%)を占めている。文部科学省としては、「学校法人経営指導室」を設けるなど事務体制の充実を図るとともに、学校法人運営調査などを活用した経営に関する指導・助言を行っている。引き続き、学校法人の経営改善や再生などに向けた具体的な方策の検討を行うなど経営改善支援を進めていく。

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