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平成21年6月 第2362号(6月10日)

近大広報マン“力泳”
  入江選手が幻の世界新
  会見設営やTV局回り

 大学の広報担当が国内ではなく、世界を向こうに回すようなことがある。水泳男子背泳ぎで”世界新”を出した近畿大学の入江陵介選手の取材対応した広報マンはそんな体験をした。
 入江選手をずっとフォローしたのは、近大広報課課長補佐の門 利幸さん。本紙連載「大学広報力」(08年9月17日付)にも登場している。
 入江選手は5月10日の日豪対抗(キャンベラ)男子200m背泳ぎで従来の世界記録を1秒08上回る1分52秒86をマーク。
 門さんは、入江選手と豪州出発前に、Eメールで連絡し合う約束をした。マスコミから世界新樹立を聞いた門さんは同選手にメールしたが二日間返事なし。
 「三日目に”えらいことになった”と電話が来ました。友人らから数百件のお祝いのメールが届き、その返信に追われ連絡できなかったと謝っていました。彼らしいと思いました」
 帰国後、多くのマスコミから記者会見の催促。しかし、成田空港は新型インフル騒ぎの真っ只中。結局、伊丹空港で”囲みの会見”になった。
 「盆と正月が一緒に来たようでした。うちの大学が新型インフルで休校を決めた時期と重なって…」と門さん。
 国際水泳連盟が着用した水着に問題あり、としたのは同月20日。入江選手が大阪の「テレビ局回り」をしている最中だった。出演したテレビ局ではコメントしたが、翌21日朝、改めて水着問題で記者会見。
 そして、6月6日、東京で「競泳ジャパンオープン」。この大会は、夏の世界選手権に向けたステップのはずだったが周囲から「世界新」を求められた。
 結果は0秒15足りず。入江選手は涙ぐんだ。「周りのあたたかい拍手がうれしかった。プレッシャーは荷が重かった。すべて背負い込む自信がなかった」 
 この結果に、門さんは「自身の記録を塗り変えられなかったことは残念ですが、まだまだこれからの選手。今回色んなプレッシャーの中で、泳いだ経験はロンドン五輪に向けて、非常にいい経験を積んだのではないかと思います」
 そして、近畿大学生、入江陵介を語った。
 「高校時代は海外遠征や合宿の合間に必死に勉強にも取り組み、クラスナンバーワンを通しました。大学に入ってからも、勉学に対する姿勢は変わりません。水泳をやっているから勉強ができないとは思われたくないという負けん気の強さを持っています。文武両道に加えピアノも器用にこなす多才な青年です」

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