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平成21年4月 第2356号(4月15日)

76%の学校法人財務・財政計画を策定
  経営改善方策のアンケート結果報告

 日本私立学校振興・共済事業団は、このほど「学校法人の経営改善方策に関するアンケート」報告を刊行した。同アンケートは、平成5年、10年、15年に行われており、私学の経営情報を提供するとともに経営相談業務に役立てることを目的としている。この度のアンケート回答法人数は、506大学法人、115短期大学法人、合計621法人(回収率93%)。アンケート結果の概要は次の通り。

 【管理運営(経営組織と人事管理)】
 ▽経営予測への対応計画=経営改善に向けた計画・方策の策定状況は、大学法人で39.5%が「計画はある」と回答し、52.8%が「検討中である」と回答している。短期大学法人においては、47.0%が「計画はある」と回答し、42.6%が「検討中である」と回答している。
 ▽計画の内容=大学法人では、「学部・学科の改組転換」、短期大学法人では、「教職員の給与等の削減」が最も多い。
 ▽中長期計画の策定=大学法人で47.0%(238法人)、短期大学法人で39.1%(45法人)が「策定をしている」と回答し、大学法人で39.8%(201法人)、短期大学法人で41.8%(48法人)が「検討している」と回答している。
 ▽中長期計画の内容=両法人ともに「財務・財政計画」、「カリキュラム・教育改革」の順で回答が多い。
 ▽理事会の状況=両法人ともに「理事会は重要項目が発生した場合に機動的に開催している」、「理事会の人数構成はバランスがとれている」、「理事会では建設的な意見が期待できる」の順で回答が多い。
 ▽理事の状況=両法人ともに「常勤で経営に専念する理事が必要数いる」、「事務局長は理事を兼任している」の回答が多かった。
 ▽定年年齢=5年前と比較すると、両法人とも教員・職員にかかわらず、65歳に集中してきている。
 ▽人事考課制度=〔教員〕大学法人では、20.4%が実施、検討中が45.4%。短期大学法人では、18.2%が実施、検討中が34.8%。〔職員〕大学法人では、42.9%が実施、検討中が39.7%。短期大学法人では、21.7%が実施、検討中が33.0%となっている。
 ▽人事考課制度のメリットとデメリット=〔メリット〕両法人ともに「教職員の志気向上」、「組織の活性化」、「実績に報いた金銭的待遇ができる」の回答が多かった。〔デメリット〕両法人ともに、「考課の基準作成が困難」、「評価の信頼性、公正性を欠く危険性」の回答が多かった。
 【学生募集】
 ▽重点を置く学生募集とその方法=両法人ともに、特に効果があったと思うものとして「オープンキャンパス」を挙げている法人が多い。
 ▽調査(マーケティングリサーチ)=大学法人では、62.2%、短期大学法人では53.9%と半数以上の法人が調査を実施している。
 【教育改革】
 ▽大学教育に対する学生の満足度=全体として9割以上の法人が、大学・短期大学における教育内容に、過半数の学生は満足しているという認識を持っている。
 ▽中途退学防止の取組=特に教職員と学生のコミュニケーションの促進や保護者との連携をとりながら集中的に取り組んでいる学校が多い。
 【進路・就職支援】
 ▽未内定者への支援=最も行われているのが、「職員・相談員による個別相談」(大学法人92.9%、短期大学法人86.1%)であり、次いで「電話による状況の把握」(大学法人80.2%、短期大学法人76.5%)。
 ▽学生の就職に対する満足度について=大学法人の56.7%、短期大学法人の67.8%が、卒業生の七割以上が卒業後における就職に満足していると答えている。
 ▽卒業生の早期離職状況について=調査を実施している大学法人は16.0%、短期大学法人は13.0%と極めて少ない。
 【その他】
 ▽資産運用規程=大学法人は61.4%が整備していると回答したが、短期大学法人では56.5%が整備していないという回答であった。
 ▽資産運用の内容=「国債・地方債の運用」、「外国債の運用」、「社債の運用」、「投資信託」という回答が上位を占めている。
 ▽地元企業・自治体・地域との連携=大学法人の89.5%、短期大学法人では77.4%が現在取り組んでいるという回答をしている。

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