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平成21年3月 第2352号(3月11日)

大学分科会 5部会・2委員会体制で審議 第5期の第1回大学分科会開く
  質保証システム部会、大学規模・大学経営部会など新設して推進へ

 文部科学省は、去る三月四日、東京・世田谷の昭和女子大学人見記念講堂を会場に、「平成二十年度大学設置等に関する事務担当者説明会」を開催した。近年、大学・学部・学科の設置や大学院研究科の設置等において、明らかに準備不足の傾向が顕著であり、審査において留意事項を付されたり、申請を取り下げる事態が増えている。また、設置認可後の設置計画履行状況等調査(アフターケア)においても手続きの不履行が多い。このことから、大学設置基準等の改正内容の申請書類の変更点等を中心に、適正な事務処理に係わる事項の周知を図ることを目的に大学設置等に係わる事務担当者を対象に説明会が開かれた。

 開会に当たり、高等教育局高等教育企画課の水田功大学設置室長は、「近年は、設置計画の著しい不履行が多く、平成二十年度も審査の取り下げや不認可等が一六件に上っている。設置の趣旨・教育上の目的、施設・設備などの面で基本的な理解が欠けていると思われるものも多い。今後、このようなことのないように、設置等の事務担当者の皆様のご理解をいただき、学生をはじめ社会に信頼されるようにしてほしい」との注意を呼びかけた。

 21年度は届出設置にもアフターケア
 議事に入り、はじめに大学振興課法規係の後藤教至専門官が、設置基準・設置認可の現状と課題に触れ、設置認可後のアフターケアで留意事項を付されるケースの多いこと、また、設置基準の緩和以降の届出設置急増に伴い、同様の問題点も多いことから、二十一年度は、届出設置についてもアフターケアを実施することなどを説明した。
 次に、「大学における教育課程の共同実施制度」について、実施組織、教育課程、学位、校地・校舎、専任教員数等のポイントを説明した。この制度は平成二十一年に認可申請の手続きを経て、二十二年四月からスタートすることになる。
 続いて、大学設置室の松本 眞専門職が「大学の設置等の認可の申請及び届出に係る手続等に関する規則の改正概要」について、平成二十一年度改訂版の“作成の手引き”に基づいて、提出書類、様式、提出部数、提出時期、認可等の公表などの主要な変更点(届出様式の整備・改訂等の記載方法など)を説明した。
 次に、「大学設置審査手続きの改善」について、このほど一部改正した大学設置分科会審査運営内規について説明した。早期判定として「可」のみならず、一定の基準を超えるものについては「不可」とすることも可能となった。(1)大学新設の場合には、「全体計画審査・教員審査」または「第一次専門審査・教員審査」の結果、@設置申請の根幹に係る是正意見が付され、もしくはA設置計画全般に多数の是正意見が付され、審査を継続しても「不可」となる蓋然性が高いと認められる場合か、または「全体計画審査・教員審査」及び「第一次専門審査・教員審査」の結果、いずれにおいても、警告が付された場合には、早期判定で「不可」となる。(2)学部等新設の場合には、「第一次専門審査・教員審査」の結果、@設置申請の根幹に係る是正意見が付され、もしくはA設置計画全般に多数の是正意見が付され、審査を継続しても「不可」となる蓋然性が高いと認められる場合に、早期判定で「不可」となることなどを説明。
 併せて、蓋然性が高いと認められる場合や警告の運用方針についても詳細に説明した。
 続いて、同室の小野寺多映子係長が「学部等の届出設置のポイント」について説明した。その中で、広報活動については計画の構想段階であっても、大学の責任において実施してもよいが、未確定な内容や紛らわしい表現などがないように適切に行わなければならない。また、設置計画が法令に適合しない場合、法令に基づく措置命令を行うため、学生保護の観点から、学生募集活動は、原則として届出後六〇日以降に行うこと。なお、収容定員の増加に係る学則変更の認可申請を伴う学部等の届出設置では、認可前における学生募集等はできない。

 アフターケアで付される留意事項
 引き続いて、同室の中田尚樹係長が、アフターケアの状況について説明した。同調査は、毎年二月末に@設置認可により新設したすべての大学・学部等、A届出により新設した学部等のうち、大学設置・学校法人審議会大学設置分科会設置計画履行状況等調査委員会が対象校として決定した学部等(平成二十一年度からは「届出」による新設学部等はすべて正式実施)に報告書の提出を求め、書面による審査を経て、必要に応じて面接調査、実地調査を行う。調査の結果、留意事項を付す主な観点は、@設置計画を適切に履行していない場合、A認可時またはアフターケアで付された留意事項に適切に対応していない場合、B学生からの要望等のうち当該大学の改善に資する事項などであり、留意事項は当該大学に通知するとともに公表される。
 平成二十年度には、調査対象は延べ三八〇大学(うち面接調査三二大学、実地調査四四大学)であり、留意事項は延べ一〇〇大学であった。
 続いて、同室の八島 崇係長が、「設置認可申請における留意点」について説明した。特に、申請書類作成上の留意点として、設置の趣旨〜教育課程〜教員組織の一貫性、教育課程と履修モデル、教員組織(専任性、教員審査、専門委員会)、申請書類の虚偽・不正、定員超過を挙げた。さらに、「設置審査の主な観点」として、▽設置の趣旨・目的、▽名称、英文表記の国際的通用性、▽教育課程、などを挙げた。
 そのほか、大学院や専門職大学院についても留意点の説明をした。また、平成二十一年度改訂版の手引きの主な変更点も説明した。
 最後に、私学行政課法人係の八木雄一郎係長が「寄附行為変更認可申請書類作成上の留意点」について解説し、説明会を終了した。

 戦略的大学連携支援プログラム 公募説明会

 文科省は、昨年度から実施している「戦略的大学連携支援事業」のプログラムを今年度も引き続き実施する予定であり、公募に当っての説明会を次の五会場で開催する。出席の事前登録は不要で、関係資料は三月中旬に文科省ホームページに掲載される予定。
 〈会場・日時〉
 ●広島会場/メルパルク広島・三月十九日
 ●大阪会場/メルパルク大阪・三月二十三日
 ●福岡会場/福岡ファッションビル・三月二十五日
 ●仙台会場/メルパルク仙台・三月二十六日
 ●東京会場/学術総合センター・三月二十七日
 なお、開催時間は各会場とも一〇時三〇分〜一二時
 (問合せ先)文科省高等教育局大学振興課大学改革推進室:電話〇三―五二五三―四一一一(内三三一九)

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