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平成21年3月 第2351号(3月4日)

共助が被害拡大を防ぐ 防災シンポ

 首都圏直下型の地震(M7クラス)が、今後三〇年以内に発生する確率は七○%とも言われている。東京都新宿区の高層オフィスビル群内にキャンパスを抱える工学院大(三浦宏文学長)は、現在、文科省の学生支援GP採択プログラム「いのち・つなぐ・ちから」に取り組んでいる。自治体や他大学との連携、地域住民との協働により、高層キャンパスを使っての実践的な防災訓練等を行っている。
 三月一日に、同大新宿キャンパスにて行われた防災シンポジウムは、大学と国・自治体・地域住民・事業者が、地震に強い街づくりを実現するための協働を考える催し。折りしも今年は消防法の一部改正の施行により、大規模・高層建築物では自衛消防組織設置等の自助が義務化される。また、これまでの震災での教訓から、公助に頼るばかりではなく、共助による対応が被害拡大を軽減することが報告されている。
 同大の取組から見えてくることは、緊急事態に際して、地域住民や事業者相互と連携した対応ができるよう、コミュニティに入り込み醸成すること。実践的訓練を行い、災害時には何をすべきかを心がけること。学生という若い人材が、ボランティア活動も含め活躍に期待できるということ。さらに、大学の機能や設備を利用することで、混乱する情報を整理・収集し、発信できる可能性もある。
 基調講演「首都直下地震に備える」では、元NHK解説委員の伊藤和明氏が、首都圏直下型地震は、ある程度切迫している、というデータを挙げて、学生らを守る一方で、避難場所として指定されていることから、学校施設の耐震化は急務であることに触れた。
 基調報告では、同大の村上正浩准教授による、地域と連携した減災対策の取組の報告をはじめ、消防庁、東京都等による報告が続いた。また、神戸学院大の前林清和教授が、阪神淡路大震災の際の取組を述べた。
 最後に、緊急事態に遭遇した場合の事業継続計画の策定について、NPO法人事業継続推進機構理事長の丸谷浩明氏が説明を行った。

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