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平成21年2月 第2350号(2月25日)

[新刊紹介]
  「対の探訪」奥深い数学の世界 仲田紀夫著

 テーマは難しいが、面白そうだし、読めそうだと手に取った本が、やはり難解で“万歳”することが間々ある。この本がまさにそうだった。
 「はじめに」で、儒教と道教の思想の具体的な対立の中身をあげ〈様々な分野、領域で数々ある対極、対立をまとめたい。その一歩を一卵性双生児から入りたい〉。面白そうだ、思わず飛びついた。
 正直なところ、理解できたのは「序論」の「世の中の柔剛バランス」で、民族、性格・特徴、思想・学派を取り上げて分析していたあたりまで、だった。
 〈世の中は光と影を持ったものが多い。ゲルマン系は静かで暗い街、ラテン系は明るく賑やかな街〉、〈荘子の天下編とツェノンの逆説の東西説は、似た内容が多い〉といった指摘は興味深く受けとめた。
 「本論」では「オイラー幾何学」や「ユークリッド幾何学」などが出てくる。文系人間は、それだけで怖じ気づき、読解不能箇所が続出。チェーンの外れた自転車になった。
 全体として、世の中にある双生児、民族、思想学派などに「対」の存在があるのは理解できた。そこから、著者のいう〈一般社会の事象を、数学上の定理に発展させて考察する〉までには至らなかった。
 この新刊紹介を気にせず柔軟な発想で読めば得ることは多いはずである。〈柔軟な発想を持つことで、数学を身近にわかりやすく学べる〉と著者はいっている。
 著者は、東京高等師範(現筑波大)数学科卒、前埼玉大学教育学部教授。現在、「社会数学」学者とある。数学関係の著書も多い。

 「対の探訪 数学的思考で旅するアナログとデジタルの世界」
 仲田紀夫著
 文芸社
 電話:03-5369-2299
 定価1300円+税。
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