Home日本私立大学協会私学高等教育研究所教育学術新聞加盟大学専用サイト
教育学術オンライン

平成21年2月 第2346号(1月28日)

第591回理事会 21年度事業計画・予算の基本方針決まる
  財政基盤の強化、地域連携など重視
  21年度政府予算案など文部科学省担当課長等が説明

 日本私立大学協会(大沼 淳会長)は去る一月二十三日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷において、平成二十年度第一回企画財務委員会(担当理事=廣川利男東京電機大学学事顧問)で平成二十一年度の同協会の事業計画及び予算案の大枠を協議・決定した上で、同日、第五九一回理事会を開催した。昨年十一月以来二か月ぶりとなり、協議事項の関係から、初めに事業報告を行い、その後、協議事項の審議が行われた。協議事項では、平成二十一年度同協会事業計画案・予算案の編成方針のほか、中央教育審議会等の審議動向と大学改革等への対応、平成二十一年度の私大関係政府予算案・税制改正等についての文部科学省の担当課長等からの解説及び質疑があった。また、年が明けて初の理事会であることから、議事終了後には会場を移しての懇親夕食会が開かれ、公務多忙の中、河村潤子私学部長をはじめ、文科省の幹部多数も出席した。

報告事項

 大沼会長の開会の挨拶の後、議事に先立って、昨年十二月十三日に逝去された原野幸康氏(同協会参与、前常務理事・元事務局長、(財)日本高等教育評価機構専務理事)並びに一月十五日に逝去された佐川典寛氏(大阪歯科大学元理事長・学長)のご冥福を祈り、全員で黙祷を捧げた。
 議事に入り、報告事項では、初めに関連団体の私立大学退職金財団役員の任期満了に伴う候補者について、理事長候補に福井直敬氏(武蔵野音楽大学理事長・学長)を、また理事候補に野又 肇氏(函館大学理事長)、高柳元明氏(東北薬科大学理事長・学長)、赫 彰郎氏(日本医科大学理事長)、黒田壽二氏(金沢工業大学学園長・総長)、西村駿一氏(別府大学学園長)の五氏を、監事に小田一幸氏(東京造形大学理事長)を推薦することが報告された。任期は四年間。
 次に私学研修福祉会「平成二十一・二十二年度私立大学の教育・研究充実に関する研究会(大学の部)」の運営委員会委員について、小田一幸氏、香川達雄氏(女子栄養大学理事長)、佐藤東洋士氏(桜美林大学理事長・学長)、古屋忠彦氏(山梨学院大学理事長・学長)、小林素文氏(愛知淑徳大学理事長・学長)の五氏の推薦が了承された。また、同協会評議員の登録変えについて、大妻女子大学の佐野博敏前理事長から花村邦昭新理事長に交代したことが報告された。さらに、昨年十二月二日に実施された教育学術充実協議会(二十年度第二回)の報告も行われた。
 そのほか、広報活動の一環としてのホームページへの「加盟大学専用サイト」の一部開設についてなど多岐にわたる報告が行われた。

協議事項

 協議事項に移り、まず、平成二十一年度事業計画案の策定方針及び予算案の編成方針等について、理事会に先立って開かれた企画財務委員会での議論(別掲参照)に沿って、廣川副会長が概説した。
 事業計画については、拡大合同研究会での議論、加盟校から寄せられた意見等を参考に、企画財務委での検討結果に沿い、事業全体の枠組みは前年度を踏襲するとともに、財政基盤強化、地域連携などを重点的に取り組む。予算については、会費の単価等は据え置くこととする提案が承認された。
 引き続き、大阪国際女子大学の退会が提案され承認された。同大学は平成十四年四月から学生募集を停止し(十六年には三年次編入学も募集停止)、平成二十年九月に大学廃止の申請が文科省に認可されたことに伴うもの。
 次に、故原野幸康氏の「偲ぶ会」の実施について来たる二月二十七日、第五九二回理事会終了後の午後六時より、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷において行うことが決まった。
 中央教育審議会等の審議動向と大学改革等への対応についての協議では、まず小出事務局長から、昨年末の「学士課程教育の構築に向けて」の答申が出され、各大学における質の充実へ向けた取組に大いに参考になること、また、「キャリア教育・職業教育の在り方」「中長期的な大学教育の在り方」の審議も行われていることなどが概説された上で、大学分科会の委員でもある黒田壽二副会長が「中長期的な大学教育の在り方」について、(1)多様なニーズに対応する大学制度、(2)グローバル化の中での大学教育、(3)人口減少期の大学の全体像の三つの審議項目のほか、(1)〜(3)に関わる各種の行財政システムのそれぞれのポイントを解説するとともに、(3)の量的規模に関連して求められたヒアリングで発表した「私立大学の健全な発展に向けて」において、私立大学の厳しい現状を訴え、また安定的発展に向けた施策の検討課題として、入学定員の取扱いの適正化の促進、地域別・規模別の振興策の促進などを提案したことを説明した。

21年度予算案等

 協議事項の最後に、平成二十一年度私立大学関係政府予算案及び学校法人関係税制の決定等について、文科省の担当課長等から説明された。
 ▽税制改正(村田善則私学行政課長):寄附金の所得控除限定額の五〇%への拡大要望については認められなかった。家庭の教育費負担の軽減については、扶養控除の在り方を検討するとともに、少子化対策の観点からの見直しを含めた税体系の抜本的改革の際に検討されることになった。
 ▽私学助成予算案(白間竜一郎私学助成課長):「骨太方針二〇〇六」に加えて、当初はさらに棚下ろし等による”深掘りの▲二%”といった逆風もあったが、全体で▲一%に止めることができた。また、基盤的経費である経常費補助金については、対前年度〇・九五%減に押さえることができた。その他、耐震化対応の支援(第一次補正で八〇億円、第二次補正(案)で二〇億円)も説明。
 ▽国公私立大学を通じた大学教育改革の支援の充実等(義本博司大学振興課長):質保証のための取組支援として、学士課程教育等の質保証の取組や就職支援強化など総合的な学生支援の取組に一一〇億円(新規)、戦略的大学連携支援プログラムに前年度の二倍の六〇億円等を措置した。
 ▽留学生三〇万人計画、奨学金事業の充実(下間康行学生支援課長):留学生受入れ環境の整備、グローバル30拠点の形成(初年度一二大学)など、また、奨学金事業では、貸与人員増や入学時増額貸与額の創設及び返還・相談体制の強化を図ることなど。
 ▽医師不足対策と地域医療を支える大学病院の機能強化(渡部廉弘医学教育課課長補佐):医学部の入学定員増(私大は二七一人増)や大学病院の周産期医療体制の整備と人材育成等の強化などについて説明。
 ▽科学研究費補助金の充実(長澤公洋学術研究助成課企画室長補佐):対前年度三八億円増となり、基盤研究Cの一四億円増、基盤研究Sの一〇億円増、若手研究Sの七億円増などのほか、新たな領域開拓の新学術領域研究の拡充六五億円増などを説明。
 ▽学校法人の資産運用(馬場 剛私学部参事官付企画官):学校法人運営調査委員会が取りまとめた「学校法人の資産運用について」の意見を受けて発出した通知について説明。
 これらの説明の後、閉会となった。理事会の終了後には、会場を移しての新年懇親夕食会が催され、河村潤子私学部長、片山純一高等教育企画課長、戸松幹孝私学行政課私学共済室長等も加わって、理事らとの懇親を深めた。

Page Top