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平成20年10月 第2336号(10月22日)

ICT活用で指導力向上を! 教員研修システム「TRAIN」活用セミナー開く

 (独)メディア教育開発センター(NIME:清水康敬理事長)は、去る十月三日、東京国際交流館において、「教員のICT活用指導力向上フォーラム―TRAIN活用による教員研修の可能性―」を開催した。NIMEでは、昨年度から、文科省の「教員のICT活用指導力の基準」に基づき、ICT活用指導力の向上に関する教員研修Web総合システム(TRAIN)を開発してきた。二年目にあたる今年度は、その充実を図っており、このたびはその経過が報告されたほか、二つのパネルディスカッションが行われた。

 はじめに清水理事長が、プロジェクトの経過を報告。今年度はICT活用指導力向上ビデオ・モジュール一〇六本を、女性教員を中心にすでに収録し終えたこと、FAQも二三四件に増えたことなどが紹介された。
 続いて行われたパネルディスカッション@では、「ICT活用指導力向上におけるTRAIN活用」をテーマに、三氏が実践例を紹介した。
 まず、神奈川県横浜市立高田小学校の佐藤幸江主幹教諭が、「教師自身は抵抗なくICTを活用するが、いざ授業での活用となると、活用イメージが持てず、尻込み状態になっている」と述べ、同校で行った研修会を紹介。研修会は、ICT活用の意義や特性を具体的な授業場面に落とし込んだビデオ・モジュールを視聴することで、実際の授業で活用してもらうもの。若手教師を対象に、数日間に分けて行われ、研修会参加者で具体的なイメージを共有し、職員室でのICTの話題も増えてきたという。
 続いて、鳥取県教育センターの岩ア有朋研修主事が、TRAINは研修規模に合わせた活用方法があり、受講者個々のスキルや意識を事前に高めておくための事前活用も考えられることを事例から述べた。
 最後に金沢星稜大学での実践例について村井万寿夫教授が発表した。同大では、教職科目「教育方法論」において、ICTを活用した学習指導の現状や課題について講義するとともに、自らICTを活用した授業を構想し、教材作成することを演習課題としている。講義・演習過程でTRAINを紹介し、閲覧することで授業のイメージを高めて実習に臨むことができるようにしているという。
 パネルディスカッション@の司会を務めた中川一史氏(同センター教授)は、TRAINはアイディアそのものより、視点をアドバイスするもの、実際の授業実施にどう結び付けられるかが鍵であると述べた。
 続くパネルディスカッションAでは「TRAIN活用によるICT活用指導力向上の可能性」をテーマに、金 俊次山形県米沢市立第四中学校校長、山本朋弘熊本県立教育センター指導主事、園屋高志鹿児島大学教授が、実例を紹介した上で、それぞれの諸観点からICT活用指導力向上の可能性について述べた。
 その中で金氏は、TRAINは、@授業改善をサポート、A自主研修を応援する、B新しい研修形態を生む、とICT活用指導力向上の可能性を述べた。
 また、山本氏は、TRAINを活用し、ワークショップや模擬授業と組み合わせた研修を紹介した上で、熊本県立教育センターが行った意識調査の結果から、TRAINを活用した研修が受講者のICT活用指導力向上や意欲向上につながることを示した。
 最後に清水理事長は、今後の課題として、ICT指導力をどのように量っていくのか、自己評価の方法を探っていきたいと述べた。

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