Home日本私立大学協会私学高等教育研究所教育学術新聞加盟大学専用サイト
教育学術オンライン

平成20年10月 第2333号(10月1日)

国際的研究のネットワーク強化を 科学技術政策研が論文分析

 世界の論文生産量は一貫して増加しており、アメリカが世界の三割程度でトップとなっており、近年では特に中国の躍進が目立っている。また、欧州を中心に国際共著論文の数が急増しており、このためイギリスやドイツは「世界の研究活動への関与度」で日本を上回っている。しかし、「知識の創出への貢献度」については、化学や材料科学を中心として、日本はイギリスやドイツ以上の水準にあることが明らかになった。今後は、国際的な研究ネットワークの強化が日本の課題と考えられている。
 このたびのデータベース分析にはトムソン・ロイター サイエンティフィックの"Web of Science"データベースを用いている。分析対象期間は一九八一〜二○○七年。分析方法は【A】article、letter、note、reviewを分析対象とした整数カウント、【B】articleを分析対象とした分数カウントによる。
 ▽日本の研究活動の量的状況(論文シェア):日本は一九八○年代以降、論文シェアを着実に伸ばし、世界第二位にまで上がった。日本を含む先進国の論文シェアは、中国などの進出国の論文量が増加したため、相対的に低下傾向。
 ▽日本の研究活動の質的状況(TOP10%論文シェア):日本は、イギリスやドイツに水を空けられ、近年低下傾向。
 日本の国際論文共著率は、一九八○年代の五%程度から、次第に上昇し二○○六年には二三%(三年移動平均値)となった。これはアメリカの二八%とほぼ同程度だが、世界論文数上位一○か国のうち日本を除く平均値は三七%で、日本の国際論文共著率は低い。
 国際共著関係の分析から共著相手先の選定に際し、地理的要因が強く影響することが示された。中国、韓国が論文シェアを拡大していることもあり、今後日本とアジアとの共著関係は一層拡大する方向にあると考えられる。

Page Top