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平成20年9月 第2330号(9月10日)

高等教育修了は世界2位 OECD調査05年 低い日本女性の進学率

 経済協力開発機構(OECD)がまとめた〇八年版「図表で見る教育」のうち教育機関に出される日本の公的支出の割合(1面掲載)以外のデータを、ここでは取り上げた。日本に関するブリーフィング・ノートから@高等教育進学と男女差A教育費の家計への影響B教員の給与と学習環境―について紹介する。
 @高等教育進学と男女差
 大学型高等教育機関及び非大学型高等教育機関を修了した若年者層(二五〜三四歳)の人口比率で、日本(五四%)はOECD加盟国三〇か国中カナダに次いで二位となっており、五五〜六四歳の一二位と比較して大幅に順位を上げている。
 これは、大学型高等教育機関の卒業者の割合の上昇によるものである。大学型高等教育機関の卒業者の割合は、九五年の二五%から〇六年の三九%まで上昇している。
 また、高等教育の学歴取得率の高さは、非大学型高等教育機関の卒業者の割合がOECD加盟国の中でも比較的高いことによっても説明される。後期中等教育段階においては、普通課程に通う生徒は職業教育課程に通う学生に比べて多い。
 日本では、男性の大学進学者が女性を上回る一方、OECD平均では、女性の大学進学者が男性を上回る。
 日本における大学型高等教育機関への進学率は男性が五二%、女性が三八%であるのに対し、OECD平均では男性五〇%、女性が六二%である。
 男女差は専攻分野の違いにも見られ、理工系分野に進学する女性の割合は低い。他のOECD加盟国と同様に、日本は保健・福祉分野及び人文科学・芸術・教育学において女性進学者の占める割合は高く、それぞれ六二%、六九%である。
 また、他のOECD加盟国と同様、工学・製造・建築分野を選択する女性の割合は非常に低く、一三%に留まっている。
 A教育費の家計への影響
 日本では教育機関に対する私費負担の割合がOECD平均を上回り、特に家計負担の割合が高い。教育機関に対する教育支出のうち公財政支出が占める割合はフィンランド、スウェーデンが九五%を越える。
 韓国及び非加盟国であるチリが五〇%台である。〇五年の日本の教育支出の公私負担割合は、公財政支出が六八・六%であり、OECD各国平均八五・五%を大きく下回った。
 一方、私費負担は三一・四%であり、データが存在するOECD加盟国の中では韓国(四一・一%)、アメリカ(三二・七%)に次いで三番目に高い結果となった。
 教育支出に占める家計負担の割合は二二・〇%と大きく、韓国に次いで二番目の水準である。特に、高等教育段階における家計負担の割合は、五三・四%であり、データの存在するOECD加盟国の中で一番高い。
 日本における私費負担の割合は、就学前教育及び高等教育において特に高い。日本では就学前教育における教育支出のうち五五・七%が私費負担であり、OECD各国平均の一九・八%を大きく上回る。
 一方、初等・中等教育への教育支出のうち私費負担は九・九%であり、OECD各国平均の八・五%を若干上回る。私費負担の中でも、家計支出の占める割合は、特に就学前教育及び高等教育において高く、それぞれ三八・四%、五三・四%が家計から支払われている。
 大学型高等教育機関における授業料と学生が受け取る公的補助との関係で各国を分類した場合、日本は韓国と同じグループに位置付けられる。
 B教員の給与と学習環境
 教員の給与はOECD平均を超える。最低限の教員資格を持ち、勤続十五年の教員の給与は初等教育及び中等教育段階で四九,〇九七ドルであり、ともにルクセンブルグ、スイス、韓国、ドイツに次いでデータの存在するOECD加盟国中五番目に高い。
 初等教育及び前期中等教育段階における日本の教員給与の初任給は二六,二五六ドルであり、OECD各国平均(初等教育段階:二七,八二八ドル、前期中等教育段階三〇,〇四七ドル)を下回る一方、最高給与の額では日本はOECD加盟国中四位である。
 なお、給与体系上の各時点間の昇給について検討する場合には、オーストラリアなどの国々では勤続五〜九年で最高給与に達するのに対し、日本や韓国を含む国々では、最高給与を得るために三〇年以上の勤務経験を必要とする点についても留意する必要がある。
 初等・中等教育における一人当たりの支出はOECD各国平均を上回るが、平均学級規模は依然として大きい。
 初等教育における日本の一人当たり教育支出はOECD各国平均を上回るが、平均学級規模は一クラス二八・三人と、OECD平均である二一・五人を大きく上回り、韓国及び非加盟国チリに次ぐ水準である。一方、一四のOECD加盟国では、初等教育における平均学級規模は二〇人以下である。
 前期中等教育における日本の平均学級規模は一クラス三三・三人と、OECD平均である二四・〇人を大きく上回り、韓国に次ぐ規模である。

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