Home日本私立大学協会私学高等教育研究所教育学術新聞加盟大学専用サイト
教育学術オンライン

平成20年9月 第2330号(9月10日)

概算要求 科学技術関連は1兆2026億円 理数教育や若手支援強化へ

 前号1面に記載の通り、文部科学省は、八月末に、平成二十一年度概算要求を財務省に提出した。科学技術関連(成長力の強化―研究開発力強化法、革新的技術創造戦略等に基づく科学技術の振興)の概算要求総額は、一兆二〇二六億三〇〇〇万円(重複を除く)となった。理数教育や若手・女性・外国人研究者への支援強化など、科学技術分野の人材育成は本年も重要な項目となっている。主要事項の概要と要求・要望額は次のとおり(カッコ内は前年度予算額との比較増減、▲は減)。

 1 人材育成・確保のための投資の拡充
 一、次世代を担う若者への理数教育の充実―一四九億六二〇〇万円(六〇億八七〇〇万円)
 概要:子どもが科学技術に親しみ学ぶことができる環境を充実する。
 b理数好きな子どもの裾野の拡大▽コア・サイエンス・ティーチャー養成拠点構築事業【新規】―九億三〇〇〇万円、▽理科支援員等配置事業―二四億五〇〇〇万円、▽理科教育等設備整備費補助―二五億円
 b理数に興味・関心の高い生徒・学生の個性・能力の伸長▽スーパーサイエンスハイスクール―一五億二一〇〇万円、▽国際科学技術コンテスト支援事業―五億六〇〇〇万円、▽理数学生応援プロジェクト―三億三二〇〇万円、▽未来の科学者養成講座―二億円
 二、大学における人材育成機能の強化と産学が協働した人材育成―七三五億六四〇〇万円(▲一〇〇〇万円)
 概要:大学院教育の抜本的強化や国際的に卓越した教育研究拠点の形成、人材養成面での産学連携の強化。
 b大学における人材育成▽組織的な大学院教育改革支援推進プログラム―九〇億二四〇〇万円、▽グローバルCOEプログラム―三四四億八八〇〇万円、▽地域再生人材創出拠点の形成(科学技術振興調整費)―二三億五〇〇〇万円、▽原子力人材育成プログラム―二億五五〇〇万円
 b産学が協働した人材育成▽産学連携による実践型人材育成事業―七億一八〇〇万円、▽先導的ITスペシャリスト等育成推進プログラム―二四億五三〇〇万円、▽地域産業の担い手育成プロジェクト―五億四〇〇万円、▽若手研究者ベンチャー創出推進事業【新規】―六億円
 三、イノベーション創出の担い手となる若手・女性研究者等への支援の強化―九七九億二一〇〇万円(一一九億六〇〇万円)
 概要:若手・女性・外国人研究者など多様な人材が能力を発揮できる環境を整備する。
 b若手研究者等の活躍促進▽優秀な博士課程学生への経済的支援の充実(特別研究委員事業)―一一六億五〇〇〇万円、▽若手研究者要請システム改革プログラム(科学技術振興調整費)(若手研究者の自立的研究環境整備促進―一〇二億円、イノベーション創出若手研究人材養成―二〇億円)、▽「若手研究」等の充実(科学研究費補助金)―三七二億一八〇〇万円、▽戦略的創造研究推進事業(さきがけ)―八九億三八〇〇万円、▽海外特別研究員事業―一七億三二〇〇万円、▽若手研究者への国際研鑽機会の充実―八億九三〇〇万円
 b女性研究者の活躍促進▽女性研究者支援システム改革プログラム(科学技術振興調整費)―二七億五〇〇〇万円、▽出産・育児等による研究中断からの復帰支援(特別研究員事業)―四億三七〇〇万円
 b外国人研究者の活躍促進―六二億一七〇〇万円
 四、科学技術に関する理解と意識の醸成―一一一億一五〇〇万円(二三億一〇〇万円)
 概要:国民に科学技術を伝え、国民との対話を通じて説明責任と情報発信を強化する活動を推進する。
 b地域の科学舎推進事業―一〇億四一〇〇万円
 b国立科学博物館―四九億七三〇〇万円
 b日本科学未来館事業―二八億三八〇〇万円

 2 多様な技術シーズを生み出す基礎研究の充実と国際競争力の強化
 一、学術研究の振興
 @大学・大学共同利用機関等における独創的・先端的基礎研究の推進―一三二〇億二四〇〇万円(一三三億四七〇〇万円)【再掲】
 概要:大学・大学共同利用機関等において、独創的・先端的な基礎研究を推進する。
 A科学研究費補助金の拡充―二一七一億七六〇〇万円(二三九億七六〇〇万円)
 概要:挑戦的研究の強化や新領域の開拓、若手研究者への投資拡大、多様性を確保する基盤研究の充実とともに間接経費を拡充。
 B人文・社会科学の振興―一二億六〇〇〇万円(六億五九〇〇万円)
 概要:国公私立大学を通じた共同利用・共同研究拠点の整備等により、当該分野の振興を図る。
 ▽近未来の課題解決を目指した実証的社会科学研究推進事業―二億九〇〇万円、▽世界を対象としたニーズ対応型地域研究推進事業―一億一〇〇万円、▽人文学及び社会科学における共同研究拠点の整備の推進事業―七億五〇〇〇万円
 二、競争的資金の拡充等による研究開発の推進及び加速―四四八八億四〇〇〇万円(六九五億九一〇〇万円)【再掲】
 概要:多様な基礎研究を推進する科研費等の競争的資金の拡充(間接経費の拡充を含む)を図る。
 競争的資金の拡充▽戦略的創造研究推進事業―五四九億六三〇〇万円、▽科学技術振興調整費(革新的技術推進費を含む)―四八六億六〇〇〇万円
 研究費の効果的・効率的運用の一層の徹底▽研究費の適正な執行に係る指導等を強化するための体制整備―一一〇〇万円、▽府省共通研究開発管理システムの運用―五億六四〇〇万円
 三、産学官連携などによるイノベーションを生み出すシステムの強化
 @基礎研究からの技術シーズの創出―五七七億六三〇〇万円(八九億三三〇〇万円)
 概要:戦略的創造研究推進事業や戦略的イノベーション創出推進事業を実施する。
 b戦略的創造研究推進事業―五四九億六三〇〇万円
 b戦略的イノベーション創出推進事業【新規】―二八億円
 A産学官連携の戦略的な展開と地域イノベーションの創出―五六六億一九〇〇万円(一一六億二八〇〇万円)
 概要:産学官連携体制の強化や地域におけるクラスターの形成支援、産学連携拠点の形成支援等を推進。
 b大学等における研究成果の社会還元の推進―一六六億八一〇〇万円
 b地域イノベーション・システムの強化―二七一億七六〇〇万円
 b産学官連携拠点の形成支援―一一四億円
 B科学技術振興調整費によるシステム改革の先導等―四八六億六〇〇〇万円(一四億八六〇〇万円)
 概要:総合科学技術会議の方針に沿って、科学技術システム改革に関する優れた取組等を支援。「経済財政改革の基本方針2008」等に基づき、新たな仕組みとして「革新的技術推進費」を創設する。
 b科学技術振興調整費―四億八六六〇万円(うち、革新的技術推進費―一四〇億円)
 C世界トップレベル国際研究拠点形成促進プログラムの着実な推進―七一億九〇〇万円
 概要:優れた研究環境と高い研究水準を誇る「目に見える拠点」を形成する。
 四、科学技術振興のための基盤の強化―三四八億九〇〇万円(九八億一九〇〇万円)
 概要:先端的な研究開発施設等の共用を促進し、知的基盤の整備を図る。
 ▽研究施設、設備等の整備、共用の促進―二一八億二〇〇万円、▽知的基盤の整備―一三〇億七〇〇万円
 五、科学技術の国際活動の戦略的推進
 @ODAとの連携等による地球規模の課題の解決に向けた国際科学技術協力の強化―一三億四八〇〇万円(八億四八〇〇万円)
 概要:地球規模の課題について、開発途上国のニーズに基づき、共同研究等の科学技術協力を実施する。
 b地球規模課題対応国際科学技術協力事業―一三億四八〇〇万円
 A我が国の先端的な科学技術を活用した国際共同研究等の戦略的推進―三〇億八二〇〇万円(一八億三二〇〇万円)
 概要:地球規模課題等への対応や、我が国と諸外国との関係強化等を推進する。
 ▽戦略的国際科学技術協力推進事業―一五億五八〇〇万円、▽戦略的国際共同研究事業【新規】―一五億二四〇〇万円
 B科学技術外交等の国際活動を推進する基盤の整備―一六〇億四六〇〇万円(一一億九一〇〇万円)
 概要:外交人材への支援や国際活動の基盤整備等を推進する。
 ▽研究者ネットワークの形成・強化―三億三三〇〇万円、▽各国学術振興機関との連携によるボトムアップ型国際共同研究の推進(仮称)【新規】―六億円

 3 国家基幹技術など分野別研究開発の強化
 国家基幹技術やiPS細胞研究など重点分野への集中投資
 @ライフサイエンス―八六一億七〇〇万円〈革新的タンパク質・細胞解析研究イニシアティブ(仮称)【新規】―六九億円等〉、A情報通信―六億一二四〇万円〈次世代スーパーコンピュータの開発・利用【国家基幹技術】―二七一億五五〇〇万円等〉、B環境―九一七億三〇〇〇万円〈地球環境変動予測研究の推進―二五億二〇〇〇万円等〉、Cナノテクノロジー・材料―四二六億六一〇〇万円〈X線自由電子レーザーの開発利用【国家基幹技術】―一三五億一二〇〇万円等〉、D原子力―二七五三億二八〇〇万円〈高速増殖炉サイクル技術【国家基幹技術】―三七一億五七〇〇万円等〉、E宇宙・航空―二四三九億一五〇〇万円〈宇宙輸送システム【国家基幹技術】―四七〇億一一〇〇万円等〉、F南極観測・海洋地球科学技術―六四四億三〇〇万円、G地震・防災―三七四億五九〇〇万円、Hものづくり技術―八三億五二〇〇万円、I新興・融合分野―四一二億五二〇〇万円、J安全・安心分野―四〇一億七二〇〇万円

Page Top