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平成20年7月 第2323号(7月9日)

イノベーションが生産性に寄与

 科学技術政策研究所は、研究開発投資やイノベーション活動が全要素生産性の上昇に寄与していることを解明した。特に医薬品産業では、研究開発投資が企業価値の形成に寄与していることなども明らかにした。

 同研究所は、国際競争力の源泉となる「イノベーション」の測定手法を開発している。
 イノベーションの重要性は論を待たないが、個別の技術が産業にどの様なインパクトを与えているのかを定量的に測定する指標がなかった。
 このたびは、平成十八年度の基礎調査に基づき、実際のデータを用いて科学技術イノベーションの効果分析を試みた。具体的には、@科学研究の技術への波及プロセス、Aイノベーティブな企業・産業と科学研究との結びつき、B生産性等の変化、C科学技術システム改革がイノベーション創出に与えた影響などを調査。およそ三〇〇〇社の科学技術研究調査、特許データ、全国イノベーション調査データなどを分析した。
 その結果、全要素生産性の上昇に研究開発投資や企業のイノベーションが寄与していることが分かった。全要素生産性とは、資本と労働の増加によらない生産の増加を表す指標のこと。また、医薬品産業では、研究開発投資が企業価値形成に貢献。鉄鋼産業では、多孔ランス技術などが二三・二%の生産量増加をもたらした。
 バイオ産業やナノ産業、IT産業のように、科学研究の成果が直接製品化される「サイエンス型産業」に加えて、既存産業もサイエンス型化する傾向があることも分かった。例えば、自動車、航空機、産業用運搬車両産業などがそれにあたり、日本の自動車産業の競争力の要因として注目できる。
 また、米国特許約一六〇万件に引用された論文などを調べた結果、医薬品・電気機械関連産業の特許などで企業と大学の共著が増えており、公的研究開発の役割が高まっていることが示された。
 各国においてもイノベーション計測は課題となっている。今後は、各国との協力関係を構築しつつ、国内においても、複数の専門分野の研究者によるプラットフォームが必要となる。また、特許と論文の関係のみならず、人材養成や交流、組織間移動を通じた知識ストックの形成や知識の伝播の効果測定の解明も待たれる。

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