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平成20年4月 第2312号 (4月16日)

教員免許状更新講習 101大学等で試行 平成21年4月からの実施に向け
  教育の最新事情(必修)教育内容の充実(選択)の多彩な講座開設

 平成二十一年四月から施行される教員免許更新制の実施に向けて、平成二十年度において、全国各地の更新講習開設予定者のうち、一〇一大学・法人等が教員免許状更新講習のプログラム開発とその試行に係る委託事業を実施することになった。この試行によって、多様で質の高い講習プログラムが開発され、講習の修了認定や諸手続き等の諸課題の研究・検証を行うことができ、それらの成果を全国の更新講習開設予定者へ普及させることがねらいである。なお、一〇一大学・法人等から応募の申請があり、全事業が採択された。

教員免許更新制

 教員免許更新制は、昨年六月に成立した改正教育職員免許法、また、施行規則の改正等のもとで導入されることになり、これまで無期限だった教員免許状に一〇年間の有効期限が設けられるとともに、更新のためには、二年間で三〇時間以上の更新講習を受講・修了しなければならない。なお、この教員免許更新制がスタートする平成二十一年三月三十一日以前の免許状取得者にも更新制の基本的な枠組みが適用され、最初の修了確認期限(三五歳、四五歳、五五歳で迎える年度末)までに受講・修了しなければならない。
 免許状更新講習の受講者は、本人の専門や課題意識に応じて、教職課程を持つ大学等が開設する講習の中から、@「教育の最新事情」に関する必須事項(一二時間以上)とA教科指導、生徒指導その他「教育内容の充実」に関する選択事項(一八時間以上)について必要な講習を受講する。
 また、講習の開設者は、主な対象者や具体的な内容を明示して講習を開設し、開設される講習は、一覧として文部科学省のホームページにおいて情報提供し、選択しやすい形をとる予定である。
 修了認定については、開設者が試験を実施し、文部科学大臣が告示する到達目標に掲げる内容について最低限の理解が得られていると認められる場合に行われることになる。
 講習受講者の受講料及び受講にかかる交通費などの経費については、教員免許が個人の資格であることを考えれば、本人負担が原則となる。しかし、免許更新制の導入に係る国会審議において、受講費用の負担を軽減するための措置を講じるべきとの指摘があったことを踏まえ、今後、講習受講の費用負担の在り方について検討される。

101大学等で試行スタート

 このほど、試行に採択された教員免許更新プログラムは、国立大五〇校、公私立大四一校、法人等一〇法人等であり、予算は三億五〇〇〇万円が計上された。
 試行は、それぞれに特徴があり、二十一年四月からの実施をにらんだものとなっている。また、講習の構成は、必修一二時間・選択一八時間を想定したもの、必修の一二時間分のみ、あるいは選択の一八時間分のみのものなどいろいろあり、講習料金はほとんどが無料(一部材料費負担)となっている。また、実施期間は夏休みが中心である。
 試行講習の中から、特徴的なものを取り上げてみると次のとおりである。
 ▽共愛学園前橋国際大学
 小学校英語活動の必修化に伴い、児童の英語に対する向学心を育てるための「児童英語教材と指導法」などの選択講座が多彩。各教科の教育法のほか、一三講座。小学校教諭対象。
 ▽杉野服飾大学
 児童・生徒に「つくる」楽しさを伝えるサポートとしての「実習の楽しみ―色・染・縫・洗―」講座を開催。教科指導に関する事項として、一日修了コース(六時間)=「色彩・草木染」、二日修了コース(一二時間)=「洗浄・トートバッグ」、どちらかのコースを選択。対象は中・高等学校の全教科の教諭。
 ▽桜美林大学
 インターネットで二四時間eラーニングによる講習実施。教育の最新事情(一二時間)として、「教師についての考察」「子どもの変化についての理解」「教育政策の動向についての理解」「学校内外での連携協力についての理解」など。
 ▽中央大学
 「裁判員制度」を取り上げる。教育の最新事情(一二時間)で「子どもの生活世界の変容と対人関係能力」「キャリア教育のあり方」「軽度発達障害と脳科学」など六講座と教育の内容充実(六時間)で「教育と法―裁判員制度理解のために―」、なお受講資格に制限がある。
 ▽玉川大学(通信教育部)
 通信教育方式により実施。郵送によるレポート添削指導、修了認定試験は在住地域の都市で受験可。教育内容の充実の五講座各一八時間。「国語教材の文学作品の教材論と学習論」(小・中教員対象)、「授業における情報活用」(小学教員対象)、「子ども力の育成」(小学校教員対象)、「読解力を高める説明的文章の指導法」(小学教員対象)、「児童一人ひとりを生かす学級の創造」(小学教員対象)など。
 ▽(独)国立科学博物館
 博物館活用法、「人類進化」など最新自然科学研究入門講座。「博物館活用法」では、展示内容と学習指導要領等(三時間)、ワークシート作成・プレゼン及び評価等(三時間)、また、「教員のための最新自然科学研究入門」では、人類進化(二時間)、資料活用の実習・評価(四時間)。
 ▽学術・文化・産業ネットワーク多摩
 同ネットワークのうち多摩地区の四大学(大妻女子大、中央大、帝京大、明星大)による開講。「教育内容の充実」として一八時間の講習。「国際理解」「環境教育」「まちづくり」の三テーマを設定。
 ▽洗足学園音楽大学
 第一線で活躍する演奏家による実習形式の多彩な講座。キーワード「心」=秋山和慶の指揮指導法&感性指導法(一二時間)、キーワード「歌」=生き生きとした日本語の歌唱表現(六時間)、キーワード「躍」=リズム表現の理論と実践(六時間)など。
 ▽常葉学園大学
 静岡市と浜松市の二か所で実施、グループワークや演習形式。「教育の最新事情」(必修)のほか、「小学校教育の最新課題と教材開発」(選択)=基礎教科(国語・算数)の教材開発、内容教科(社会・理科)の教材開発、地域教育課題(国際理解教育・エネルギー教育)への取組等。
 ▽鹿児島大学
 本実施に近い形で実施する。約九〇科目の講座開設。離島での実施、水産学部の水産練習船による洋上講習も実施(小・中・高の教員も受講可)

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