平成20年2月　第2304号　（2月13日）

■［新刊紹介］
　 アメリカの学生獲得戦略　山田礼子 著

　同書は高等教育機関が社会と個人の様々なニーズに応える機関へと多様化する方向へ進んでいる現在、顧客である学生を確保し、教育・教師の質的向上、組織の改革のために、各高等教育機関はどのような戦略をとっているのかを、アメリカの大学などのホームページの検索も駆使して解説している。
　第一部「生涯にわたって学習を支援する―学習者の育成と支援」では、エンロールメント・マネジメント、大学間の連携による単位互換システムと履修科目の連続性についての標準化、優れた学生を伸ばすプログラム等から構成されている。
　第二部「地域・社会と連携する大学」では、地域・社会と高等教育機関が関わることによって、優秀な人材を高等教育機関の職員として確保するために開かれた市場とそれを支えるシステム、同窓会との密接な連携により卒業生からの支援のみならず、より地域や社会と連携を深める方策等について述べている。
　第三部「大学の質的向上」では、主に大学評価、教員評価、ＦＤ、学生の教育評価という視点から紹介されている。
　第四部「大学の勝ち残り戦略」では、オープンカレッジであるアメリカのコミュニティ・カレッジや株式会社大学の事例から、いかに高等教育機関としての個性化を進めるかの戦略を提示している。