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平成19年11月 第2294号(11月7日)

教員免許更新制で意見書提出へ 第1回高等教育改革委員会

 日本私立大学団体連合会は去る十月二十九日、私学会館別館において第一回高等教育改革委員会(委員長=黒田壽二金沢工業大学学園長・総長)を開催した。
 はじめに中央教育審議会教員養成部会教員免許更新制等ワーキンググループ「教員免許更新制の運用についての検討経過(案)」に関する意見募集について(依頼)の意見(案)について、意見交換が行われ、修正を加えて提出することを決めた(後述)。
 そのほか学士課程教育の再構築に向けて(審議経過報告)、学校教育法施行規則の一部改正、大学院設置基準の一部改正、共同学部・共同大学院(仮称)の創設(案)などについて、文科省高等教育局の中岡 司大学振興課長らがそれぞれの説明を行った。
 【「教員免許更新制の運用についての検討経過(案)」に対する意見】
 教育職員に専門的職業人としての教育に関わる専門的な知識・技能が求められることは理解できる。しかし、免許状更新講習を形式的な更新のための儀式に終わらせないためには、新たな教育の理念、技術にわたって踏み込んだ具体的なカリキュラムの作成、そして絶えざる更新が求められる。また、その実施にあたっては、周到に組織された実施体制が求められよう。
 しかし、今回の検討経過(案)では、以下の諸点において疑義無しとしない。実施までにより合理的かつ実効性をともなう制度設計としていただきたい。
 一、免許状更新講習の開設者
 P.14には講習の開設を認めるものとして、認定課程を有しない大学にまで講習開設を認めるとあるが、実際に講習を行う能力を有するか、どのように判定するかについての具体的な条件の開示を求めたい。
 また、営利を目的とする法人が教員の質保証を目的に設けられた新制度を支える主体として、十分な社会的責任を担っているとは言い難い。したがってNPO法人や営利法人の免許状更新講習の開設は、適当ではない。
 二、免許状更新講習の修了認定の在り方
 更新講習修了者に対する教員としての資質の認定判断については、本来、任命権者である教育委員会の責務であり、大学が教員としての資質判断の責務まで担当する必要はない。したがって、修了認定試験で認定される内容とともに、任命権者である教育委員会と更新講習開設者である大学等の機関との修了認定に関わる責任分担については、明確に示されるべきである。
 また、P.25「修了認定基準の運用に当たっての評価基準(案)」では、S・A・B・C・Fの五段階評価が示されているが、この講習は免許状が更新できるか否かを問うものであり、このような段階評価とは相容れないように思われる。
 三、開放制教員養成維持の観点
 教育学部等の教育職員専門養成機関を持たない私立大学も、各学科が課程認定を受けて多くの教育職員を輩出してきている。私立大学の初等中等教育に関わる開放制教員養成の重要性を十二分に考慮の上、運用を心掛けていただきたい。
 四、経費負担
 大学等講習開設者の経費負担について、また受講者の経費負担について、平等制の確保とともに、過重な負担とならないよう十分な補助策を検討していただきたい。以上

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