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平成19年5月 第2274号(5月23日)

平成20年度私大関係政府予算税制改正の要望案協議 日本私立大学団体連合会が総会
  磯田私学部長が諸課題のポイント指摘

 日本私立大学団体連合会(安西祐一郎会長)は、五月二十二日、東京・市ヶ谷のアルカディア市ヶ谷で、第五八回総会を開催し、平成十八年度の事業報告及び決算報告を承認するとともに、平成二十年度私立大学関係政府予算及び税制改正に関する要望案を協議した。また、文部科学省の磯田文雄私学部長が招かれ、「私立大学を取り巻く諸問題」について講演し、代議員等と予算・税制改正等の要望実現へ向けての活発な質疑応答が行われた。なお、総会終了後には、文科省の幹部を交えての懇親会が催された。

 はじめに安西会長の挨拶があり、さっそく協議事項に移った。
 まず、平成十八年度の事業報告については、赤坂雄一同連合会事務局長が@私立大学の教育・研究の質的向上のための交流促進に関する事業、A国の高等教育政策に係わる私立大学の要請・統一見解決定に関する事業、B私立大学に対する公財政支出のあり方及び要求の策定に関する事業、などの内容を取りまとめた事業報告書をもって説明に代えた。また、平成十八年度の決算報告については、決算書に基づいて説明するとともに、福井直敬会計監事の監査報告があった。これら事業報告並びに決算報告については一括して全会一致で承認された。
 続いて、平成二十年度私立大学関係政府予算に関する要望案並びに同税制改正に関する要望案について、同連合会公財政改革委員会委員長の白井克彦副会長が説明した。
 予算に関する要望案の主旨は、私学助成の「対前年度比▲一%」の方針の撤回、高等教育への公財政支出を〇・五%から欧米並みの約一・〇%へ、「大学」及び「私立学校」に関する規定が新設された改正教育基本法施行後はじめての予算編成であり、同法の理念実現のため高等教育に対する国の投資目標額を明確に設定する必要がある、などであり、具体的な重点要望事項は次のとおりである。
 一、私学助成(基盤的経費)の拡充
 (1)地域に根ざした私立大学の教育研究活動への支援
 (2)教育研究施設の耐震等緊急を要する整備事業などに対する支援
 (3)教育研究の高度化推進事業に対する支援
 二、人材育成の推進に向けた支援(競争的経費)の拡充
 (4)私立大学が特色を活かした中心的な役割を担っている分野への支援
 (5)再チャレンジ可能な環境の構築と人材育成に対する支援
 三、科学技術創造立国の推進に向けた支援(競争的経費)の拡充
 (6)私立大学が国の最先端分野へ参入するための条件整備に対する支援
 (7)国の知的財産戦略の推進に向けた支援
 (8)国公私立大学で取り組める新たな学術支援スキームの構築
 四、その他
 (9)認証評価機関の基盤整備にかかる支援
 また、税制改正要望案については、経営基盤の強化を図るため民間からの多様な資金の導入が不可欠であり、さらに寄附税制の抜本的改善と少子高齢化への対応に伴う教育費負担者の経済的負担の軽減を図る必要があるとし、次の要望案を説明した。
 (1)学校法人に対する寄附促進のための措置の拡大、(2)教育費にかかる経済的負担軽減のための措置の創設、(3)再チャレンジ支援寄附金税制の創設、(4)現行特例措置の維持・拡充、(5)消費税に対する優遇措置
 これら予算・税制改正の要望案の説明に対し、代議員等から、「私立大学が地方で果たしている役割は大きい。データを示して重要性を訴えるべき」「国立大も私立大も“教育”についてはイコールフッティングすべきではないか」「何としても▲一%を撤回させなければ」「平成十九年度は科研費の一部に間接補助の導入があったが、二十年度も“科学技術分野”、“地域”等でフォローできないか」「いろいろな審議会等で、国立大の運営費交付金についての意見が出されているが、近い将来には予算等について国公私の枠組みが変わっていくのではないか」など多様な意見が出され、今後とも発言できる場面では大いに訴えていくこと、また文科省の私学部をはじめ各担当官とも連携をとり、効果的な要請活動を展開していくこととし、予算及び税制改正の要望案は了承された。
 引き続き、文科省の磯田私学部長が「私立大学を取り巻く諸問題」と題して講演した。
 同氏は、予算・税制改正問題の流れ、安倍内閣の主な会議における教育関係事項の検討状況(経済財政諮問会議、規制改革会議、教育再生会議など)、中央教育審議会における審議状況(教育振興基本計画、学士課程教育など)、国会審議の進捗状況などについてポイントを概説し、その後、代議員等との活発な質疑応答も行われた。

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