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平成19年2月 第2261号(2月7日)

[新刊紹介]
  大学教育の思想 学士課程教育のデザイン  絹川正吉 著

 大学のユニバーサル化が叫ばれて久しいが、どれくらいの大学が適切に対応してきただろうか。
 社会は、時代の趨勢に対応して、大学人自らによって大学が改革されることを求めたが、大学はエリートを養成してきた仕組みに留まり積極的に対応しようとしなかった。しかしながら、今こそ、大学のユニバーサル化を文明の進歩と受け止めて、大学の新しいあり方を創造すべき時代なのである。同書は、このような思想のもと、今求められる大学教育の思想的根拠をたずね、それに対応する大学教育の実践について模索したものである。
 具体的には、大学教育のこれまでの経緯や歴史と、これからの施策や取組を簡単に振り返りながら、本論である学士課程教育について、その理念や展望、そして、具体的なカリキュラム開発、授業評価の議論がされている。最後に、大学改革において最も大事な役割を果たす教員のFDについて触れ、大学教員の意識変革において重要な、学生による教員評価についてまとめられている。
 同書は、筆者の前書である「大学教育の本質」を刊行してから以後に発表した、大学教育についての論考を編集したものであるが、著者の思索の底流は一貫して変わっていない。「大学とは何か」を日々考え、真の大学教育改革を目指す関係者にとっては必読の書である。

大学教育の思想―学士課程教育のデザイン

 著者=絹川正吉元国際基督教大学学長
 A5判、265頁
 定価:2,800円(税別)
 発行所:東信堂
 TEL:03-3818-5521

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