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平成19年1月 第2259号(1月17日)

京都外国語大学
  ザビエル生誕500年展開く

 京都外国語大学(森田嘉一理事長・総長、堀川徹志学長)の付属図書館(上野義和館長)では、安土桃山時代にキリスト教をはじめ、西洋文化をわが国へもたらすきっかけとなったイエズス会宣教師フランシスコ・ザビエルの生誕五〇〇年を記念する稀覯書展示会「日本をヨーロッパに紹介した戦国期の宣教師たち」を、去る平成十八年十一月七日から十三日まで開催した。
 会場となった同大学のユニバーシティギャラリーには、同館が所蔵する「ニッポナリア・コレクション」から、ザビエルの書簡集や彼の伝記、さらには、彼の没後に来日して布教にあたった宣教師たちが書き送った布教報告書など、十五世紀末から十七世紀を中心にして刊行された六〇点のキリシタン文献が出展された。
 展示の中心となったザビエルの書簡集は、彼が鹿児島に上陸した一五四九年に日本の習慣、風俗や社会状況を書き綴り、マラッカへ戻る船に託して発信した五通の書簡も含まれた刊行物である。また、伝記類は、彼の死後にその功績を称えるためにオラツィオ・トルセリーノなど、イエズス会を中心とした当時の有名な宗教家が編集したものである。これらは、ともにラテン語をはじめ、ポルトガル語など、さまざまなヨーロッパ言語に翻訳され、出版されたもので、この時代のキリスト教圏でのザビエル人気を偲ばせた。
 さらに、ザビエル以降に日本での布教に携わった多くの宣教師たちが、キリスト教を保護した織田信長から、禁教令を布令した豊臣秀吉の時代を経て、徳川家康以降の同幕府下での鎖国体制の確立へと移り変わっていく社会環境の中で書き綴った布教報告書類が出展された。この中には、約三〇年前にポルトガルで発見された、有名な宣教師であるルイス・フロイスが鳥の子和紙に墨汁を使ってペンで署名した書簡も含まれており、ヨーロッパに向けて発信されていた折々のわが国の様子が窺えた。
 なお、今回出展された文献の中には、安土桃山時代の国内記録の空白部分を埋めるための史料として、出版社やテレビ局などでも活用されているものがあることから、同大学の学生・教職員はもとより、一般市民や同じ時期に同大学で開催された全日本学生フランス語弁論大会と全国学生スペイン語弁論大会の関係者ら多数も見学に訪れ、好評を博した。

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