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平成19年1月 第2257号(1月1日) 2007年新春特別号

2007年―年頭所感
  私学の根幹課題に対応

日本私立大学協会副会長/日本歯科大学理事 中原 爽

 新春を寿ぎ、日本私立大学協会加盟大学のますますのご発展と教職員各位のご健勝を心からお慶び申し上げます。
 この原稿を取りまとめたのは、旧年十二月であります。この時期は、政府・与党が「次年度〈平成十九年度〉に係る予算編成と税制大綱」を決定する時期で、例年、クリスマスの時点までに予算と税制が決定されます。
 今回、予算については、「私立学校助成費は対前年度一%削減」の方針が示され、私立大学に関しては、助成費の削減に対して「科学研究費予算の拡充」によってバランスを図る方向性とのことですが、本来、経常経費助成と研究費助成は相互に「プラスとマイナス」で相殺するべき性質のものではないとする私学側からの異論があるところです。
 税制については、学校法人に対する個人寄付者に係る所得税控除措置に関して、現行三〇%を五〇%に引き上げる重点要望は、今回、「四〇%に拡大」することが認められました。
 また、年金制度を厚生年金に一元化する制度改正の際には、職域部分(三階部分)を年明けに検討することになり、「私学共済については、別途、廃止する現行の職域部分(三階部分)に代わる新たな年金を設けることを検討する」とされました。更に、一元化における事務組織の取り扱いについては、「日本私立学校振興共済事業団は、年金、医療、福祉事業を一体的・効率的に実施しているため、一元化後の厚生年金についても、これらの組織を活用することが効率的である」とされています。
 一方、学校法人等が債券を発行できる制度化については、医療法改正により、「医療法人」も一定条件の下で債券発行ができる「社会医療法人」を設立できる制度化も進められ、見方によっては、現行の株式会社が教育機関や医療機関に参入できる方途が図られました。また、現行の公益法人制度は、移行期間を経て「新制度」が法制化されるなど、社団法人と財団法人、学校法人及び医療法人などに関わる法人制度改革が、今後どのような方向に向うかについて、個々の学校法人が対応しなければならない問題でしょう。
 この新年は、大学団体と個々の学校法人・私立大学について、私学の根幹に関わる課題が山積していることを申し上げ、本協会加盟大学の関係各位の更なるご活躍を祈念申し上げて私のご挨拶といたします。

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