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平成19年1月 第2257号(1月1日) 2007年新春特別号

2007年―年頭所感
  知の時代に相応しい新たな大学づくりを目指して

日本私立大学協会副会長/東京電機大学学園長 廣川 利男

 新年明けましておめでとうございます。
 まずは、日本私立大学協会加盟各大学の発展・充実と、教職員の皆様のご健勝を心からお慶び申し上げます。
 昨年は、本協会の創立六〇周年を迎えての記念式典・祝賀会を行い、これまでの私学振興の歴史と私立大学の果たしてきた業績を再確認するとともに、今後の私立大学の使命・役割に応え、わが国の教育学術文化の一層の発展と時代の要請及び社会の期待に応えるために、三項目の決意表明を行いました。
 そして、あらためて本協会のもとで、加盟各大学の皆様の更なる協力と今後の発展への決意を新たにする契機にして参りたいと思います。
 しかし、少子高齢化社会が進む中で国立大学が法人化して積極的な改革を進め、教育面をも重視して、これまでの私立大学以上に学生募集に本腰を入れることになり、更に聖域なき構造改革により、構造改革特区ということで設立された株式会社立の大学には全国化の動きもあります。
 昨年九月に安倍新内閣が誕生し、教育を重要な政策の柱にして、教育の憲法と言われる教育基本法の改正を図るとともに、教育再生会議を設置して、構造改革により結果的に生じたさまざまな教育問題に対応しようとしています。
 しかし、高等教育にあっては、規制緩和により導入された競争原理・市場原理と地域の過疎化も加わり、教育にとって最も相応しくない格差がますます開きつつあります。
 したがって、本年度、進学希望者と大学の収容定員が同数となる全入時代を迎えましたが、一方では各大学への志願者の増減の二極化が進み、既に定員未充足の私立大学が四割に達していると言われ、学校法人・私立大学を取り巻く環境はたいへん厳しくなっています。
 昨年十一月に日本私立学校振興・共済事業団は、このような状況に対して、文部科学省と協力して「学校法人活性化・再生研究会」を設置して、半年にわたる審議の結果、七月に「私立学校の経営革新と経営困難・破綻への対応」と題する中間まとめを発表しました。
 そこでは、私学の経営革新を求めると同時に、経営破綻を未然に防ぐために私学事業団が中心となり、各学校法人、私学事業団及び文部科学省で対応する、経営困難な学校法人に対する再生・整理支援のスキームを作るべきであるとしています。
 このような時こそ、私立大学は自主的にそれぞれの建学の精神を生かし、自由な発想で学部改組や学科新設等を果敢に行い、高度で多様な教育研究面での特色を出して経営の健全化を図っていかなければなりません。そして、新たな知の時代に相応しい大学として、社会の期待に応える大学づくりに向けて努力する年にしていかなければならないと思います。
 本年も一層のご指導とご支援をよろしくお願い申し上げます。

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