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平成19年1月 第2257号(1月1日) 2007年新春特別号

2007年 新春座談会
  「全入時代の教育と私学経営 高度化と多様化への対応」
  学校法人制度を堅持し私学振興を 建学の精神の下、特色ある教育を展開

高等教育の危機は、国家の危機!

 福井 ちなみに、わが国の高等教育に対する公財政支出の対GDP比は、〇・四%と残念ながら先進諸国の中で最も低い国の一つで、その少ないところを補っているのが民間の教育費支出だと言えます。もちろん、現在わが国の財政には大変厳しいものがありますので、公費の負担を抑制しなければならないのは現実でしょう。しかし金額はともかく、高等教育の危機は国家の危機とまで言われる以上、私たちはいつの日か、公財政支出の対GDP比を、一・〇%に及ぶ他の先進国並みにかなえられるよう、要望を続けていかなければならないのではないでしょうか。さらに、このように公財政支出の割合が低い現在は、公共性を持つ私学教育の安定性と継続性を維持するためにも、まずは第一に、機関補助、基盤整備を充実していただきたいと考えるのは間違っているでしょうか。
 瀧澤 相変わらず、私学の地位向上には理解が示されないままです。そのような中で全入時代を迎えるわけですが、最後に一言ずついただきたいと思います。まずは福井先生、いかがでしょうか。
 福井 一つだけ申し上げていいでしょうか。私学は、今後ますます困難な環境に対処していかなければならない。そのためにはこれまで以上の努力や知恵が必要であり、変わるべき点は変え、反省すべき点は反省しなければならないのは当然ですが、いかに私学が努力をしても、力を入れても、やはりできない問題があるのだと思うのですね。広く地域にかかわる問題であるとか、ますます複雑になる分野別の問題であるとか、将来を見通しての規模の問題とか、このような事柄はやはり国公私立大学が公共性を持つ教育である以上、国がしっかりとした政策を示していただかなければならないと思います。
 また、わが国の財政が困難であるからこそ、わが国の高等教育の七五%を占める私立大学のファンディングについても、長期展望に立ってその改善について考えていただきたいということを、是非お願いしたいと思います。

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