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平成18年11月 第2254号(11月22日)

地方私大の経営環境を協議 中・四国、北海道支部が総会

 日本私立大学協会の中国・四国支部(支部長=石田恒夫広島経済大学理事長・学長)は去る十一月二日に広島ガーデンパレスにおいて、北海道支部(支部長=森本正夫北海学園大学理事長)は同六日に札幌ガーデンパレスにおいて、それぞれ平成十八年度の秋季総会を開催した。いずれの会場でも、地方の私立大学が直面する厳しい経営環境について熱心な意見交換や問題提起等が行われた。

中国・四国支部

 今回の総会は、広島工業大学が当番大学として準備を進めてきたもので、所属する二九大学から二四大学四三名の代表者らが出席した。
 開会にあたり、村崎正人副支部長(徳島文理大学理事長)が「私立大学を取り巻く情勢は年々厳しさを増しており、中国・四国地区もたいへん厳しい状況にある。私の試算によれば、大都市圏にある規模の大きな二〇余りの私立大学だけで、すべての私立大学の入学定員の約四五%を占めるとの結果が出ている。このような状況下、本日は十分な意見交換を行い、また、本部事務局からは小出秀文事務局長にご出席願っているので、最新の情勢などについてご報告いただきたい」と挨拶した。続いて、当番大学を務めた広島工業大学の鶴 衛理事長・総長から歓迎の挨拶があった。
 議事では、平岡建二支部事務局長が、第二四回分科会が去る八月二十一日と二十二日の両日、くらしき作陽大学を当番大学に倉敷市で開催された旨を報告した後、毎年実施している中・四国地区私立大学実態調査について詳細な解説を行った。なお、今後の当番大学については、平成十九年度の分科会を梅光学院大学に、秋季総会を徳山大学に、同二十年度の分科会を福山大学に、秋季総会を四国学院大学に、それぞれお願いする旨の報告があった。そして、昨年七月に同協会に加盟した、宇部フロンティア大学の山田通夫学長から挨拶があった。
 次に、中国新聞社の今中亘顧問が「大学全入時代と私学」と題して、一時間三〇分余りにわたって講演した。同氏は、地元紙である中国新聞社の社長などを歴任、さまざまな分野で地元に根ざした活躍をしている。また、国公私立大学においては、理事や委員を務める立場から、大学全入時代における私学への提言として、@全学での危機意識の共有、A顧客本位のスタンス、B教育優先、C多彩な学部学科の名称、D広報・宣伝の戦略化、E地域に支持される大学、F産学官の連携、G高大連携、H国際化、I点検と評価を挙げた。
 休憩の後は、同協会の小出事務局長が同協会創立六〇周年記念事業について報告するとともに、私学振興の当面する諸課題として、@安倍新内閣への期待、A平成十九年度政府予算・税制改革問題、B公的年金制度一元化問題、C大学教員組織の改革問題など、資料に沿いながら、一時間余りにわたって詳細に報告・解説した。
 総会終了後は教育懇談会が催され、広島工業大学の茂里一紘学長の挨拶、石田支部長の乾杯で、和やかなうちに親睦の輪が広がるとともに、活発な情報交換が行われた。終わりに、来年の秋季総会の当番大学である徳山大学の吉岡 隆理事長から挨拶があり、再会を約して解散した。

北海道支部 

 総会には、所属する二一大学から二〇大学三八名の代表者らが出席。はじめに森本支部長が「去る十月六日と七日に開催された本協会の第一二五回総会については、皆様方のご理解とご協力により、準備段階から実施段階まで、つつがなく事を運ぶことができた。心から感謝申し上げる」と述べるとともに「現在では、先の総会の時に協議された予断を許さない重要課題のその上に、既に新たな諸課題が積み上げられている。本総会では、お互いに理解を深め、一致団結して対処していきたい」と挨拶した。
 議事では、報告事項として、平成十八年度事業の中間報告と第一二五回総会への協力支援の総括報告を承認した。次に、審議事項として、平成十九年度の国費予算並びに道費予算に対する要望を審議した。なかでも北海道に対しては、@外国人留学生の宿舎整備事業に対する援助、A北海道の海外友好提携地域との教育・学術交流事業に対する援助、B教職員に対する長期給付事業掛金の補助の継続について、支部所属大学が一丸となり、日本私立短期大学協会北海道支部(支部長=和野内崇弘札幌国際大学短期大学部理事長・学園長)とも連携を取りながら要望活動を展開していくことで一致し、各要望事項を了承した。
 本部報告に移り、同協会の小出事務局長が、第一二五回総会の準備運営への協力に謝辞を述べた後、私立大学を取り巻く諸情勢とその対応について報告・解説した。そして、研究協議として、私学事業団の学校法人活性化・再生研究会の「中間まとめ」をテーマに詳細な解説を行ったうえで、活性化の部分に関する意見として、@経営革新のための強力な国策提言(私学支援策)が必要、A同事業団の組織体制の強化が必要、B経営判断指標は多様であるべき、C財務情報の一般公開を義務化することは不適切であることを、また、再生の部分に関する意見として、@私学再生機構の創設が必要、A公金の投入は不可避、B学生救済のためのコンソーシアムは国が主導、C大学設置基準等の弾力的運用、D学校法人経営診断士制度(仮称)の創設が必要であることを、同協会の理事会等に諮るべく準備を進めていることを明らかにした。出席者からは「国立大学の入学者に対する、いわゆる水増し率を問題とするべき」「予算要望で地方私学に“光”を当てることの検討」「山積課題には明確な主張をもって対処するべき」などの意見が出された。
 総会終了後の懇親会でも引き続き熱心な意見交換が展開され、連携協力を誓う有意義な機会となった。

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