Home日本私立大学協会私学高等教育研究所教育学術新聞加盟大学専用サイト
教育学術オンライン

平成18年11月 第2253号(11月8日)

関東地区連絡協議会を開く
 「少子化」対策を内閣府参事官増田氏が講演

 日本私立大学協会の関東地区連絡協議会(大沼 淳会長、平成十八年度議長=松田博青杏林大学理事長)では、去る十月二十七日、東京・九段のホテルグランドパレスにおいて、同協議会所属の一二二大学から九二大学・一二四名が出席して連絡協議のほか、私学振興上の課題協議のほか講演、懇親晩餐会が行われた。

 開会の挨拶で大沼会長は「小泉内閣の時代には規制改革の下で特区における株式会社立大学等、私学にとっての難題が数多くあった。今般、安倍内閣が誕生して『教育再生』が謳われ、教育が重視されている。また、教育基本法の改正も審議中であり、それらに伴って私学の対応の在り方も慎重に考えていかなければならない。さらにまた、各大学にとって学生確保という大きな内部課題にも対処していかなければならない」と挨拶した。
 次に、松田議長の挨拶があり、引き続いて同協議会の役員の現状について小出秀文事務局長より報告が行われた。
 同協議会の役員は、会長・副会長のほか常任幹事四名(うち、一名が単年度の連絡協議会議長となる)、監査役二名以内となっており、平成十六年四月から平成二十年三月までの任期で、大沼会長、廣川利男副会長のほか、常任幹事として、十六年度議長=香川達雄女子栄養大学理事長、十七年度議長=佐野博敏大妻女子大学理事長・学長、十八年度議長=松田博青杏林大学理事長、十九年度議長=小田一幸東京造形大学理事長、監査役として、赫 彰郎日本医科大学理事長、中村英夫武蔵工業大学学長が紹介された。
 連絡協議に入り、去る十月六日に北海道・札幌で開催された総会以後の高等教育情勢と私学振興上の今日的課題等について、小出事務局長が解説した。
 まず、予算に関連して、@平成十八年度の経常費補助金の配分方法の見直しについて一般補助の調整方法として「情報の積極的な提供に係る増額措置」を説明した。@財産目録・貸借対照表・収支計算書・事業報告書・監査報告書、A学部別在籍学生数についてインターネットや誰でも入手可能な印刷物による情報提供をすることで補助金の増額措置を図るもの。
 また、十九年度予算では科学研究費補助金の間接補助の拡充を考えていること、特に私学からの応募の多い基盤研究(B)、(C)に間接補助をつける方向の議論があり、「尾身幸次財務大臣も科学関係課題を重要課題の一つに位置づけていることから、皆さんのお力添えもお願いしたい」と要望した。
 さらに、新任の吉村剛太郎文部科学部会長(北九州市出身)をはじめ文教関係国会議員への要請活動も展開していきたいと述べた。
 そのほか、私学事業団の学校法人活性化・再生研究会の「中間まとめ」以後、同研究会の分科会の会長に廣川副会長が就任したことが報告された。
 廣川副会長は「これまで私学の立場を主張してきたが中間まとめには必ずしも十分に反映されてはいないようなので、今後、最終とりまとめに向けて努力したい」と述べた。
 また、来たる十一月三十日実施の六〇周年記念事業についてなど進捗状況を説明した。
 休憩の後、「人口減少社会の到来―新しい少子化対策の推進―」と題して、内閣府参事官(少子・高齢化対策第一担当)の増田雅暢氏が講演した。
 同氏は、我が国の出生数、合計特殊出生率がともに過去最低となり、少子化対策は最重要課題であり、これまで「エンゼルプラン」「少子化社会対策大綱」「子ども・子育て応援プラン」など種々の対策を推進してきたが、少子化の流れを変えることができなかった。今後は、「新しい少子化対策について」に基づき、政府一体となって少子化対策を強力に推進するとの概要を述べた上で、各種データをもとに対策の方向を解説した。
 ▽出生数及び合計特殊出生率=出生数一〇六万三〇〇〇人、合計特殊出生率一・二五(二〇〇五年)
 ▽人口減少社会=総人口/対前年約二万人減の一億二七七六万人(二〇〇五年)、自然減/死亡数が出生数を約二万人上回る。
 ▽総人口の推移と予想=現在の出生率・死亡率を前提に推計すると我が国の人口は二一〇〇年四一〇八万人、二三〇〇年一七六万人、三二〇〇年一人となる。
 そのほか、女性の労働力・就業状況、出生・婚姻の速報値など、表やグラフで実態と推計を解説した。
 その上で、これまでの各種対策の効果を示し、今後の新しい少子化対策についてのうち、教育関連部分の説明を行った。
 子育て支援策では、未就学期の@認定子ども園の活用、A就学前教育についての保護者負担の軽減策、小学生期の@全小学校区における「放課後子どもプラン」の推進、Aスクールバスの導入等、学校や登下校時の安全対策、中・高・大学生期の@奨学金の充実等、A学生ベビーシッター等の推奨、その他として、地域の退職者、高齢者等の人材活用による世代間交流の推進、さらには国民運動を推進することによって「家族の絆・地域の絆」再生国民運動を展開していくことなどを挙げた。
 最後に、OECD加盟三〇か国の家族政策に係る財政支出(二〇〇一年)では我が国は〇・六%で二六番目の低さであることを示した。

Page Top