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平成18年9月 第2246号(9月20日)

東北支部が事務研修会開く 「学生と職員」で分科会

 日本私立大学協会の東北支部(支部長=高柳元明東北薬科大学理事長・学長)は、去る八月三十一日と九月一日の両日、岩手県盛岡市内のホテルを会場に、平成十八年度の事務研修会を開催した。今年度は盛岡大学の協力を得て、支部所属二一大学のうち、二〇大学から七五名が参加して熱心な研修が行われた。

 開会式では、高柳支部長に代わって、鈴木 征支部事務局長・運営委員長(東北薬科大学理事・事務局長)と、当番大学を務めた盛岡大学の山崎武彦学長代行がそれぞれ挨拶を行った。鈴木支部事務局長・運営委員長は「大学の社会的貢献とは何か、自分の勤務している大学が社会的に果たすべき役割と責任とは何かを考えるとともに、事務職員として、大学の充実・発展のためにどう関わるべきかを考えて欲しい。この研修会で、何か一つでも成果を持ち帰っていただきたい」と述べた。
 山崎盛岡大学学長代行は「現在は競争社会、あるいは格差社会と言われているが、われわれ私立大学が生き残っていくということは大変なことである」と前置きしたうえで、国立大学法人と学校法人・私立大学との格差について具体例を話した。そして「今回の研修会をきっかけに、大学の発展のために更に貢献されることを願っております」と激励した。
 続いて事務局が二日間の研修日程を説明した後、早速、全体会に入った。
 一日目の全体会では、盛岡大学の大矢邦宣教授による「世界遺産と平泉文化」と題する特別講演が行われた。世界遺産とは、一九七二年の国連教育科学文化機関(ユネスコ)の総会で採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)に基づいて登録された文化遺産・自然遺産・複合遺産のことで、二〇〇六年六月現在、全世界で八一二件が登録されていること。また、文化庁が、ご当地岩手の平泉町、一関市、奥州市にまたがる「平泉―浄土思想に関連する文化的景観」をユネスコの世界遺産(文化遺産)に推薦することを決定し、二〇〇八年七月に正式登録される予定であること。そのほか、十二世紀の奥州平泉・藤原文化が日本北方領域の政治と行政の拠点であったこと。中尊寺の名称の由来など、資料に基づく数々の興味深い話が披露された。
 そして同氏は、平泉文化の意味するものとして、往時の歴史背景の中で「中央の京都より、地方の平泉に一流のものを導入しながら、更に一歩上の先見性のあるものを創りあげてきた」と力強く主張し、私立大学の発展にとっても大いに参考となった。
 この後は「学生と職員の関わり合いについて」を共通テーマに、四つの分科会に分かれての熱心な討議が行われた。第一分科会(総務・庶務関係)では、学内における個人情報保護の状況と運用上の問題点、高年齢者雇用安定法改正に伴う学内の対応、円滑なコミュニケーション(部門・部課間における意志疎通)、教職員の勤務時間管理(休日勤務の振替等)について、第二分科会(経理関係)では、旅費の取り扱い、授業料徴収、学納金管理について、第三分科会(教務関係)では、履修登録及び成績管理方法、学業不振学生及び進路変更希望学生等への対応、授業日数確保への対応と学生の授業出席管理方法、他大学等で修得した単位等の認定について、第四分科会(学生関係)では、学内の行事に対する学生への取り組み、学生のマナー向上に対する取り組み、学生を取り巻く危機管理対策について、それぞれの運営委員による進行のもと、実情報告や活発な意見交換などが行われた。
 夕刻からの懇親会では、盛岡大学と同大学短期大学部の学生有志による、ご当地の「さんさ踊り」が披露されるなど、終始和やかな雰囲気に包まれた。
 二日目は、同協会の小出秀文事務局長による「高等教育情勢と私学振興上の今日的課題について」と題する講演が行われた。同氏は、地域に根ざした大学であることの重要性、また、一八歳人口減少期にある今日、生涯学習対応型のいわゆる団塊の世代(シニア世代)を受け入れる方策など、世代間の交流を意識した概念の切り替えの必要性等について、資料を交えながら、さまざまな方向から詳細に解説した。
 講演終了後は、各分科会から昨日の研究協議内容の概略が発表され、「今回の研修会が大変意義深いものであり、持ち帰って仕事に役立てたい」との意見が多数あげられた。
 閉会式では、鈴木支部事務局長・運営委員長からの参加者への労いの言葉と「時代の潮流変化を見極めながら更に充実した研修会にしていきたい」との次年度以降の方針が述べられ、二日間にわたる研修日程をすべて終了した。
 なお、次年度の事務研修会は、いわき明星大学を当番大学に開催する予定となっている。

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