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平成18年8月 第2243号(8月23日)

携帯利用し双方向授業 杏林大が独自システム

 杏林大学(長澤俊彦学長)は、すでに二年前から実験的に導入してきた、「CRVシステム」を平成十八年度より、本格的に導入した。これは学生の携帯電話を利用し、授業中にリアルタイムでアンケート、学習効果をみる小テスト、出席確認を行う試みである。
 CRVとは、Catch the Real Voice of studentsの略で、リアルタイムで学生の授業理解度や貴重な声を捉え、即日、学生にフィードバックして、授業の質の向上を図ることを目的に大学独自に開発したもの。
 近年、授業に積極的な学生の減少や学習意欲の低下、さらに教員と学生のコミュニケーションの低下が問題視されており、これらの問題を解決すべく、双方向性の高い授業や、学生の反応を即時的に見られるような仕組みを構築することで授業を魅力的にし、興味を引く工夫が必要であろうという観点からこのシステムが開発された。これをきっかけに教員の教育姿勢に対する変革を促すことと、双方向性が高まることで学生との一体感を生みだす授業の実施へと改善されることが期待されている。
 現在、同システムを授業で活用している外国語学部の熊谷文枝教授は、CRVの導入により「アメリカ社会論」の中で学生参加型の講義を実現できた、という。熊谷教授が使用しているのは、出席管理、クイズ、アンケートの三機能。「出席管理」は、出席集計時刻を予め設定しておくことで、講義への出席、遅刻、欠席の判別登録が可能である。「クイズ」は、英文問題を教授が読み上げ、学生が回答を選択し、送信。集計・平均値のグラフ表示、各学生の得点および平均点が瞬時に表記される。「アンケート」は、「英文記事を事前に読んだか否か」「講義は理解できたか否か」などを問う。個人名が表記されないため、ナマの声が聞けるという。これにより、当初は予習をしてこない学生が、その結果を示すことで、講義を聞く前に英文記事を読んでくる学生の割合も上がり、講義の理解度も高くなったという。
 熊谷教授は、「私のように機器に不慣れでも、簡単に使用できる。要は、教員側の教育姿勢の問題。多くの教員がCRVシステムを講義に活用し、講義の質等の向上を目指されることを期待している」と述べている。

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