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平成22年3月 第2393号(3月3日)

復元伊能地図
 全国巡回展
 小百科
  伊能研究会

 伊能大図の全国巡回フロア展を企画、実現させたのは、民間団体である伊能忠敬研究会と(社)日本ウオーキング協会(JWA)。JWAに続いて、伊能忠敬研究会を紹介する。
 忠敬が作成した日本地図は、総称して「伊能図」と言われる。幕府に献上された正本は、明治六年の皇居炎上で焼失、東京大学に保管の伊能家控図も、大正12年の関東大震災で焼失した。爾来、日本では、伊能図を見ることができなくなった。
 2001年、アメリカ議会図書館で写本207枚が発見された。これを嚆矢に日本の博物館やフランスなどで副本や模写図が発見された。
 こうした国内外で発見された副本や模写図などを基に、原寸大の「伊能大図」が復元された。手掛けたのは、民間の研究団体「伊能忠敬研究会」。二年越しで縦2m、横1mの塩ビ製パネル255枚にした。
 同研究会名誉代表の渡辺一郎は、1949年、日本電信電話公社に入社。51歳で退職、ソフト会社などを興す。94年頃から伊能研究に専念。95年、フランスで発見された伊能地図を里帰りさせたのを機に伊能忠敬研究会を結成した。
 渡辺は「伊能大図は、日本写真印刷の協力もあり原形に近い形で復元できました。伊能図には、胸ときめかすロマンが溢れています」と話す。
 全国巡回展は今年4月から3年がかりで47都道府県の約50カ所で行う。7月30日から3日間、福岡県土地家屋調査士会が中村学園大学の協力により同大体育館で開催する。
 「17年かけて地図を作った伊能の根気や執念を学ぶとともに、公開のさいには、地図の上を歩いて伊能の偉業をぜひ体感してほしい」。渡辺も胸をときめかせている。


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