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平成22年2月 第2391号(2月17日)

新刊紹介
  知的でわくわく
  「TOKYO大学博物館ガイド」
  大坪 覚 著

 本を読むにあたって、テーマ以外に、副題というか、これらが載っていればいいなあ、と思うことがあれば嬉しい。この本には、それがあった。それは最後に…。
 東京にある大学に限らず、学校ゆかりの施設で、一般公開している博物館を約100館紹介。〈知的でわくわくする出会いがあるということを伝えたくて〉という著者の志が気に入った。
 一番手の東京大学総合研究博物館小石川分館には、最初からわくわく。「学術標本からアートに昇華したジャンクたち」の見出しのように、〈時が止まったような不思議な雰囲気〉が写真から伝わってくる。
 東京農業大学「食と農」の博物館は、イグアナやリクガメのいる温室、卒業生の働く蔵元の日本酒のコーナーがある。〈大人も子どもも楽しめる充実した施設〉はテーマパークと見紛うくらい。
 早稲田大学の演劇博物や旧東京音楽学校奏楽堂など伝統ある博物館からは〈歴史の重厚さ〉が、女子美アートミュージアムなど新しくできた博物館からは〈新鮮な刺激〉が、日大生物資源科学部博物館や東京海洋大学水産資料館などからは〈驚きと発見〉が、本から飛び出してくるよう。
 どの博物館の写真も文章も、光を帯びている。二つがコラボして博物館そのものを輝かせる。聞けば、北大、名古屋大、京大、阪大などの博物館も見どころがあるそうだ。同じ志と目線で、取り上げてほしいもの。
 冒頭の件は、博物館に併設するカフェや喫茶室のメニュー、販売する大学グッスを紹介していたこと。昨今の美術館人気は、こうした食堂や美術館グッズが背中を押しているそうである。こっちも知りたいのは人情。

 「TOKYO大学博物館ガイド」 大坪 覚著
 ブルース・インターアクションズ
 п@03―6234―1220
 定価 1800円(税別)

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