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平成22年2月 第2391号(2月17日)

OECD
 国際成人力調査を開始
 国立教育政策研が協力呼びかけ

 国立教育政策研究所は、OECD(経済協力開発機構)が進める新しい国際比較調査「国際成人力調査高oIAAC(ピアック恒rogramme for the International Assessment of Adult Competencies)の国内調査実施責任機関として、現在、各方面に協力を呼びかけている。同調査は、各国の成人が日常生活や職場で必要とされる技能(成人力)をどの程度持っているかを調べるもので、日本を含む27か国がこの調査に参加している。

 PIAACにおける「成人力」は「成人が日常生活や職場で必要とされる技能」であり、知識をどの程度持っているかではなく、課題を見つけて考える力や、知識や情報を活用して課題を解決する力など、実社会を生きていく上での総合的な力を呼んでいる。文部科学省の「学士力」や経済産業省の「社会人基礎力」にも通じると言える。
 具体的には、@読解力(文章や図表を理解し、評価し、活用する力)、A数的思考力(数的な情報を活用し、解釈し、伝達する力)、BITを活用した問題解決能力(コンピュータやウェブ等を使用して必要な情報を収集し、評価し、他の人とコミュニケーションをし、与えられた課題を解決する力)、C属性調査(対象者本人に関する質問)。C属性調査とは、「成人力」に影響を及ぼすのかについて検証するため、調査の始めに対象者本人に尋ねるもの。
 調査の目的は次の四つ。
 一、各国の成人が「成人力」をどの程度持っているかを把握すること。
 二、「成人力」の程度が、例えば雇用状況や生涯学習への参加の状況など、個人の生き方に対してどのような影響を与えるのか、また、国の経済成長など社会全体にどの程度影響するかを検証すること。
 三、現在の教育訓練の制度が、「成人力」を身につける上でどの程度の成果をあげているのかを検証すること。
 四、学校教育、生涯学習や職業訓練などの分野でどのような政策的な工夫をすることが「成人力」の向上につながるのかを明確にすること。
 国や企業が「成人力」を養うための人材育成の方法を考える際のデータを提供する。
 調査対象は、住民基礎台帳から無作為に抽出された、日本国在住の16歳以上65歳以下の男女個人。実施国は、日本の他、韓国、オーストラリア、米国、カナダ、チリのほか、ヨーロッパ諸国。ロシアなどOECD非加盟国も参加する。
 日本では、国立教育政策研究所が、研究者と外部専門家とともに、調査の実施に必要な事柄を議論。関係機関と連絡しながら、国内調査の実施、報告書の作成を行う。平成22年度には予備調査を行い、平成23年度に本調査を実施。結果が公表されるのは平成25年度の予定である。


 


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