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平成22年2月 第2389号(2月3日)

干支の弁
  「小さくとも、キラリと光る存在でありたい」

(学)静岡理工科大学理事長 佐々木和男

 謹んで初春のご挨拶を申し上げます。
 私は、昭和13年、江戸時代から三代続く下町・浅草の履物問屋の四男坊として生まれました。幼い時から、忙しく立ち働く7、8人の奉公人に囲まれて育ちました。
 そうした商人のDNAを持ち合わせた為か、色々な選択肢があったにも拘らず、大学卒業後は所謂、大手商社に就職しました。以来、65歳までの人生は、俗に言う国際派商社マンとして、経営の任にも当たってきた根っからの企業人でした。
 請われて、平成19年に学校法人・静岡理工科大学の理事長に就任しました。少子化の進行による18歳人口の減少と学校間の競争激化の折、学校改革と経営改革が不可欠との認識から学校法人・理事会より企業経営の知見・経験を生かして欲しいということでありました。
 爾来、早くも3年が過ぎようとしています。
 現在、学校法人・静岡理工科大学は、静岡理工科大学を中核とし、他に二つの高等学校、六つの専門学校から成り立つ学園グループであります。この中で、静岡理工科大学は、平成3年に、袋井市と地元企業を代表する(株)鈴与が発起人となり“技術者の育成をもって地域社会に貢献する”を建学の精神として設立されました。理工系学生を育てる一学年360人の小規模・単科系大学です。
 私は、理事長就任以来、毎週月曜日には欠かすことなくこの袋井の大学キャンパスに出勤します。朝、最寄の愛野駅より学生たちと一緒にシャトル・スクール・バスに乗って凡そ10分間、大学まで通います。車中では、時折学生たちと会話を楽しみ、大いに笑ったりすることもあります。時には、屈託なく話す学生たちの教授の悪口・雑言を耳にすることもあります。
 現在大学は、多くの教授の賛同を得て、荒木学長の強い提唱による“モノから入る教育”に専心しております。
 こうした背景から、大学内では、モノ作りが盛んに行われております。“モノ作りセンター”に足を運び、モノ作りに専念している学生と邪魔にならないように会話をするのも、今や私にとっては楽しみなひと時です。
 月曜日の昼は、学長、学部長などの教職の皆さんと意見交換や特定事項の協議を行う昼食会を開いております。これは、経営側と教職側の意見のすり合わせと意思の疎通を図ることに主眼があります。
 学長は常々、“大学は小さくとも、キラリと光る存在でありたい”とし、教授陣の陣頭指揮に当っていますが、私の役割は、これを経営を通して実現することと考えております。
 平成19年11月に、大学では日本高等教育評価機構による認証評価のための実地調査が行われました。翌年、最終評価結果の発表をいただきましたが、望外の高い評価をいただいたようです。又、その後、私ども大学の評価判定が、評価に携わる方々の参考資料に供されているとお聞きし、大学がゆっくりではあるが、確実に進化していることを実感している近頃です。

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