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平成22年1月 第2388号(1月27日)

科技・学術審
  私大の利用にも支援を
  研究環境基盤部会がヒアリング

 去る1月21日、科学技術・学術審議会学術分科会の第43回研究環境基盤部会(部会長=白井克彦早稲田大学総長)が文部科学省で開催され、「大学共同利用機関法人及び大学共同利用機関の今後の在り方」について、関係団体による意見ヒアリングを行った。

 今回、意見発表を行ったのは、日本私立大学団体連合会のほか、国立大学協会、公立大学協会、日本学術会議の四団体で、日本私立大学団体連合会からは、黒田壽二氏(同連合会高等教育改革委員会委員長、金沢工業大学学園長・総長)と中島啓幾氏(早稲田大学研究戦略センター長)が出席して、意見発表した。
 黒田氏は、日本の学術研究の更なる飛躍のためには、大学共同利用機関の一層の充実が必要であると述べるとともに、私立大学に所属する研究者や学生が同機関の施設を利用するためのサポートシステム、地方大学に所属する研究者間の連携体制等の構築の必要性について発表した。中島氏は私立大学が設置する共同利用・共同研究拠点や海外共同研究拠点、地域や産業界との連携拠点の例を紹介し、これらの充実支援を求めるとともに、大学共同利用機関における研究者や大学院生などの「人財」活用の必要性を強調した。
 これらの意見を踏まえ、同機関の運営方法に関する大学との協議の必要性や、同機関と大学が設置する大学共同利用拠点との関係、科学技術と人文社会科学の連携・統合等の諸課題について議論が交わされた。
 同部会では次回も関係団体によるヒアリングを行う予定。

 「大学共同利用機関法人及び大学共同利用機関の今後の在り方について」(これまでの議論の整理)の要旨

 1.大学共同利用機関法人等の位置付け・役割
 ▽大学共同利用機関は、大学を中心とする我が国の学術研究全体の基盤を支え、新たな学術研究の展開を目指す上で重要な役割を果たしており、今後ともこの制度を充実させ、我が国の学術研究全体に貢献する中核的な機関としてCOE性を一層高めていくことが重要。▽大学セクターにおける重要性はこれまで以上に高まっており、大学との緊密な連携を推進することが必要。▽共同利用・共同研究拠点(大学の全国共同利用の附置研究所等)を牽引する役割を期待。▽研究開発法人との関係においては、各々が固有の役割を果たした上で、研究面や人材育成面での協力や相互連携を推進。
 2.大学共同利用機関法人等の運営
 ▽新たな学問領域の創成や共同利用・共同研究の更なる飛躍を図るため、機構法人は、機関間の連携を促進し、法人としての一体的な運営体制を一層強化することが重要。▽安定的・継続的に運営していくため、社会や国民に対する情報発信や積極的な社会還元を行い、幅広い理解と支持を得ることが必要。▽大学共同利用機関は、大学全体の教育研究を支援し、大学を中心とする学術研究を支える重要な役割を果たしており、基盤的経費の確実な措置等、財政支援の格段の充実が必要。
 3.大学共同利用機関法人等の研究活動
 ▽新たな学問領域の創成を図るため、機構法人において、領域融合の将来像等について、一定の計画性を持ちつつ、具体的な取組を進めることが必要。▽「研究者コミュニティにとって最適な研究組織」であり続けるため、研究分野の動向や将来見通し等を踏まえ、組織の在り方について不断の検討が必要。▽将来的には、各機構法人の構成やカバーする領域の見直し、四機構法人全体の再編等について検討が必要。まずは、各機構法人や大学共同利用機関を含めた研究者コミュニティにおいて、主体的な検討が速やかに行われることを期待。▽「大学の共同利用の研究所」として、多様な分野から様々な研究者が集い、異分野間の交流が積極的に行われる創造的な研究環境の整備が必要。
 4.大学共同利用機関の教育活動
 ▽大学共同利用機関の魅力ある教育環境と人材育成機能を生かした「研究・教育一体型」の大学院教育は極めて有意義であり、一層の充実が必要。▽高校生や学部学生を対象としたサマースクール等の様々な教育活動の位置付けや充実方策についても検討することが必要。

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