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平成22年1月 第2385号(1月1日)

変換期を迎えた私大の新たな挑戦

 日本私立大学協会副会長/東京電機大学学事顧問  廣川利男

 新年明けましておめでとうございます。
 新しい年を迎え、日本私立大学協会加盟各大学の更なる発展充実を祈念し、教職員の皆さまのご健勝に心からお慶びを申し上げます。
 昨年8月末の衆議院選挙で民主党が大勝して政権交代が起こり、鳩山内閣が発足して三ヶ月程経過しました。
 政権政党である民主党のマニフェストや政策集INDEX2009の文部科学の所で教育に関する政策が掲げられ、政治家主導で進めるとして子ども手当て、高等学校の原則無償化、大学生の奨学金の充実及び医師不足解消等教育に関わる沢山の政策が出ています。
 財政面では、教育に対する公財政支出がGDP比3.4%と先進国の平均値5.0%より低いので先進国の平均値までは引き上げるとしています。
 また、大学については社会に開かれ、社会と連携・協働する大学を目指して、時代が求める人創り・知恵創りの拠点として大学改革を進め、その際OECDの中でも最も低い高等教育予算は見直しが不可欠であるといわれています。
 しかし、世界的な経済危機が続き、わが国も財政危機の中から抜け出せない状況の中で、来年の概算要求が出されましたが、私学からの意見が届かず、私学振興面の先行きは不透明です。また、大学生の年間一人当たりの国庫負担が私立大学14万円でOECD最低に対して、国立大学197万円でOECD最高という格差も見直されないままになっています。
 さらに、行政刷新会議の「仕分け作業」でも科学技術の中心が削減の対象になり、資源のないわが国が科学技術創造立国を基盤として発展を図るという国家観が崩れるのではないかと懸念されます。
 一方、中央教育審議会大学分科会から、「中長期的な大学教育のあり方に関する第一次報告」が発表され、大学教育の質保証システムとして国際的に通用する新たな学士課程教育の構築が求められています。
 少子化が進む中、留学生対策にしても国際基準を念頭に入れた大学の質の保証問題から避けて通ることは出来ませんので、しっかりと取り組んでいかねばなりません。
 正に、ターニングポイントを迎えていると思います。
 従って、ますます多様化する社会構造の中で、時代が求める人創り・知恵創りのためには産業界・地域社会の支援・協力の下で、各大学が改めて建学の精神に基づく現実的な質の向上プログラムに取り組んでしっかりとした方向性を打ち出していくことが必要であると思います。
 本年も、皆さまの一層のご支援とご指導をお願い申し上げます。

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